おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2019.05.02column

千客万来‼「覗いて、写して、楽しむモノたち展」

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令和元年が始まりました。皆さまにとりまして新時代が健やかで豊かなものでありますようにお祈り申し上げます。さて、令和のスタートと共に、当館でも「覗いて、写して、楽しむモノたち展」が始まりました。

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4月20日に講談師・旭堂南陵さんがお越しくださり、更に厚かましいお願いをして、活弁『荒木伊賀越三十六番斬り』だけでなく、講談も一席設けてくださることになりました。演題は当日のお楽しみ!!!

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今回の目玉の一つは桑原弘明さんのSCOPE「ピラネージ」。覗き穴の他に2か所穴が開いていて、そこにライト(写真でぶら下げているモノ)を当てると、その当て加減によって見え方が変わり、不思議な景色が見えます。こればかりは言葉で言ってもなかなか伝わりません。実際に覗いてみて、あなたも「うゎっ」という感嘆の言葉を発して下さい。

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錦影繪池田組さんから、京都の幻燈師・歌川都司春(本名:山田建蔵、1877-1961)が制作し使っていた「風呂」(写真左)を復元したものと、明治期の大坂で活躍していた四代目富士川都正(生没年不詳)が使用していた種板「道化猪買い(池田の猪買い)」を復元したものの一部をお借りしました。これまでの公演記録の映像ダイジェスト版も後述アニメーション『押絵ト旅スル男』(2018年)上映後にご覧いただけます。江戸時代に日本で誕生した「錦影絵」(関東では「写し絵」)は、「動く絵」と「語り」、そして「音曲」で表現した元祖アニメーションと言える大衆の娯楽でした。その復元に取り組む錦影繪池田組さんの映像から、どのようなものだったのか、追体験していただければ幸いです。

右は当館が所蔵する海外の種板。おそらく「クロマトロープ」と呼ぶものではないかと。5月19日に講演していただく細馬宏通・早稲田大学教授は「花輪車の幻」(『幻灯スライドの博物誌~プロジェクション・メディアの考古学』、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館、2015年)の中で、20世紀前半の児童文学者・編集者の木村小舟(しょうしゅう)が記した「その最後には、極つたように、一個の美麗な花輪を映出して、終幕を知らせたものである」の一文を引用しておられます。「クロマトロープ」が江戸時代の日本に伝来し、変化を遂げ乍ら、「錦影絵」(「写し絵」)の最後の演目「花輪車」として演じられていたのかもしれません。ダイジェスト版には、錦影繪池田組公演最後に打ち上げ花火のようにクルクル色鮮やかな花が次々和紙スクリーンに写し出される美しい様子も記録されています。ぜひ、ご覧ください‼

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改めて5月19日に講演していただく細馬先生のお知らせ。急なお願いで申し訳なかったのですが、ご多忙な中、快く講演を引き受けてくださいました。感謝感激です!!!

大変な博識でお話も面白いので、ぜひご参加ください。交流会もございます。

DSC09444 (3)この写真は、 4月22日、handmanoさん自ら作品を運んで下さり、記念に撮った一枚。2016年12月に製作されたスチームパンク作品「機械狐」です。 ユーモラスでありながらも細部までこだわりが感じられますね。右目には、ちゃんとレンズが組みこまれています。スチームパンク界でその名が知られているだけあって、「さすが!」と唸ってしまう格好良い出来栄え。 このマスク、主な素材は発泡スチロールなので、実はとても軽いのです! プラスチック素材や金属パーツなどでディテールを作り、あとは塗装で金属的な重厚感を表現。技が光ります‼

今日7歳の男の子を連れたお父さんが来館。家にスチームパンクの本をお持ちだそうで興味を持ってくださいました。その子も興味があるようなので、「いつか子どものスチームパンクファッションで着飾って見せに来てね」とリクエスト。同じく京都市内在住3人組男性も興味津々だったので、ツイッターに掲載されている下掲写真をお見せしました。

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最近handmanoさんがミュージシャンから依頼を受けて製作されたマイクスタンド。こちらも細部までこだわりが感じられ、とっても格好良いですね。

handmanoさんとの出会いはおそらく2017年の2月頃かしら。たまたま歩いていて看板が目に入って「何だろう?」と思って足を運んでくださいましたが、あいにくイベント開始の直前。僅か15分程度のおしゃべりでした。「映画と同じ19世紀産業革命の時に誕生した蒸気機関車」という意味合いから、いつか会いたいと思っていた「スチームパンク」との初めての出会いでした。それが嬉しくて、以降ツイッター友達に。お会いしたのは、この日が2回目なのに親しみを感じて。快く作品をお貸しくださり、感謝しています。

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今回のチラシをデザインして下さった佳(よい)さんの水彩画4点の前で、にっこり微笑んでおられるのは、佳さんの作品コレクターさん。「いつか佳さんの作品展を」と意気投合。その時は所蔵品を貸してくださる約束も。両手でもっておられるのは、佳さんのサイン入りポスター(A3判)です。限定20枚で絶賛発売中!!!写真のコレクターさんは「今日は来て良かった」とご満悦。佳さんは「どんなに大きく拡大しても美しく見えるように」と腕をふるってくださいました。この大きなポスター(A0判)が欲しいという声を幾人かからお聞きするくらい、素晴らしい出来栄えです。

もう一人、4月6日に「ストップモーション アニミズム展 in KYOTO」を見に来られて知り会ったばかりの家原恵太さんの立体造形「modern house」も展示しています。おしゃべりをしていて「以前、自分の住む家を探しにいろんな物件を見て回った時、誰も住んでいない家の内部に、そこに居住していた人々の気配を感じることがあった。それ以来、家屋をモチーフにした作品を作っている」とおっしゃったので、家の中を「覗く」共通点があるような気がして「展示してみませんか?」とお誘いしました。ボード紙に石膏地塗料(トゥルージェッソ)を用いた面白い表現方法、ぜひ実見していただきたく思い、敢えて写真を載せるのを止めました。

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吉田稔美さんのオリジナル・ピープショー(紙ののぞきからくり)4作品(「ユリイカ・タルホ」「ぼたんどうろう」「体内」「LOVE])と復刻版「ヴェルサイユの庭園」をお借りしてガラスケースに展示。ガラスに片方の目をくっつけるようにして覗いて見てください。「ヴェルサイユの庭園」はなかなか見せ方が難しくて、蛇腹を延ばした展示は断念しました。代わりに大阪で1903(明治36)年に開催されたピープショーの一つ「美術組立目録 第5回内国勧業博覧会」と同博覧会を細密に描いた友禅染袱紗を展示しています。

以上お借りしての展示の紹介でした。他は全て当館所蔵品です。いくつかは実際に覗いて体験して貰えるよう連れ合いがこの展覧会の為に手作りしました。

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写真はその一例を私が体験しているところ。「ポリオラマ・パノプティック」と言って、穴から覗きながら光源に向けて上の窓を開けると、昼の光景が見え、DSC09424 (2)

閉じると、裏から光が透過して夜景が見えます。針で開けた小さな穴が、星々の煌めきや家々の明かりに見えて、とても綺麗です。

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こうやって覗いて体験して貰う19世紀の立体めがねなどもたくさんあります。シンプルだけどおシャレな道具たち。幻灯機の体験もできますよ。

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1903年頃にアメリカの「Underwood&Underwood」が箱入りセットで販売した「STEREOGRAPHIC LIBRALY」シリーズもいくらか所蔵していて、その中から「JAPAN」の立体写真(100枚完品)を複写したものを額装しています。アメリカ人が撮影した明治の日本各地が記録されていて、貴重です。京都の風景もあり、アーチのある四条大橋は驚きです。

また、今回の展示のきっかけにもなった東京の浅草にあった「凌雲閣」も写っています。細馬先生は著書に『浅草十二階 増補新版』もあることから、NHK大河ドラマ「いだてん」にしばしば出てくる「凌雲閣」の時代考証もされているそうです。5月18日のイベントで上映する記録映像『関東大震災翌日の記録』には、1923年の関東大震災で倒壊する前の「凌雲閣」が映っています。十二階には展望鏡が備え付けてあり、関八州の山々まで見渡せると浅草の名物だったそうです。

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その浅草の「凌雲閣」と盛り場の見世物「のぞきからくり」が重要な位置を占める塚原重義監督アニメーション『押絵ト旅スル男』 を期間中の11時、13時、15時に毎日上映します(月、火曜の休館日と5月18、19日除く。なお、18、19日はイベント交流会時にご覧いただきます)。原作は1929(昭和4)年に江戸川乱歩が発表した短編小説。トリメガ研究所さんのご厚意でお借りして上映するものです。老人の声は、お馴染みの活動写真弁士・坂本頼光さんです。こちらも、お楽しみに‼

いつも「良ければ感想を書いてください」とお願いしていますが、今日大阪から来て下さった19歳三人組さんは、「たまたま看板を見つけ、通りがかりで立ち寄ってみました。入るのに少し勇気が要りましたが、思い切って入ってみて本当に良かったです。五月蠅いと思われるくらいに楽しませていただきました‼写真撮影が自由だったことも嬉しかったです。懐かしい雰囲気で楽しかったです。」と書いてくださいました。アナログ時代のものを古い京町家で見ることが、「懐かしい」と思わせるのでしょう。ぜひ、皆さまもお越しください‼

 

 

 

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