おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2019.11.30column

ドイツの映画音楽作曲家・ピアニストのペーター・ゴッドハルト氏来館‼

昨日は龍谷大学深草キャンパスに初めて出かけました。、広々として美しいキャンパス!そこの3号館201教室で、下記の催しが開かれ、大勢の人々が詰めかけていました。

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この催しは、ベルリンの壁崩壊30年を記念して、龍谷大学社会学部学会がドイツ映画音楽の巨匠ペーター・ゴットハルトさんをお招きして、実施されました。12月1日午後も講演があったり、4日19時には出町座で、東ドイツ映画の傑作『パウルとパウラの伝説』上映とこの作品の映画音楽を担当されたペーターさんをお招きしてのトークイベントが計画されています。その合間を縫って、今日ミュージアムにお越し頂くことに。

それなればと、急遽ドイツで1923年に作られたルートヴィヒ・ベルガー監督、ヘルガ・トーマス主演の実写版サイレント映画『シンデレラ』とピアノを用意して来館を待ちました。にこやかに暖簾をくぐってお越し頂き、挨拶もそこそこに厚かましいお願いをしたところ、快諾‼

ペーター直ぐに演奏を開始。約20分程度の作品をものの見事に演奏されました。1985年映画音楽への貢献が評価され、東ドイツ芸術賞を受賞、1990年東ドイツの政治転換をテーマとしたオリジナル・サウンドコラージュ作品で、エルンスト・ロイター賞を受賞、さらに昨年2018年にはドイツ映画音楽賞功労賞を受賞されているなど数々のキャリアをお持ちなだけに素晴らしい即興演奏でした。これまでに500作品を超える映画音楽を作曲されて、フランク・バイヤー、フォルカー・シュレーンドルフ監督作品にも協力されているそうです。旧東ドイツを代表する映画音楽作曲家で、無声映画の伴奏家として活躍されているので、急な申し出にも「シンデレラの話は知っているから」とこともなげに演奏してくださいました。聴衆が私たちと居合わせたお客様だけの超超スペシャルな無声映画上映会となりました。ありがとうございました!!!!!

DSC03142DSC03143この日、6回にわたって「シネマ・カフェ」をしてくださったイラストレーター西岡りきさんが、東京へ引き上げられるので、昼頃にお預かりしたばかりのレコードや寄贈頂いたView-Masterなどを整理中だったこともあり、早速可愛らしいピクチャー・レコードを蓄音機にかけてご覧頂きました。

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これがピクチャー・レコード。「チーチーパッパ、チーパッパ、スズメの学校の先生は♪」を聴いて貰っているところ。ペーターさんが手にしておられるのは「浦島太郎」ですね。

ペーターさんは「ノルウェーに今も蓄音機の針を作っているところがある。ドイツで無声映画を演奏するときに、蓄音機を持ってきてかけながら演奏したこともある。1メートルの幅のレコードも持っていて、それをかける蓄音機もあり、針は内から外に回るようになっている」とお話下さいました。SPレコード(ドイツではSchallplatteシェラックと言うそうです)を2000枚、蓄音機は3台もお持ちだそうで、お国に帰られたら、ひょっとしたらその珍しい蓄音機の写真を撮って送ってくださるかも。

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 モニターで、アメリカ1955~60年頃のムービー・レコードも観て貰いました。実演したかったのですが、あいにくレコード中央に置くミラーがどこかにしまい忘れているらしく見つからず…。これで我慢してもらいましたが、大層気に入っていただけたよう。日本のナガオカレコードからも似たような商品が発売されていましたので、以前書いたこちらのブログで見て貰いました。

ペーターさんは、ドイツ歴史博物館で25年間もピアノ伴奏を続けておられるそうで、「映画館のプログラムで、このムービーレコードをぜひ紹介したい」と仰ってくださいました。実現すれば良いなぁと夢が膨らみました。他にも戦前の国産アニメーションや錦影絵のダイジェスト版などもご覧いただきました。

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写真左から二人目が、ペーターさん、隣が龍谷大学社会学部専任講師の高岡智子さんとお嬢ちゃん、右から二人目が名古屋外国語大学世界教養学部講師の白井史人さんで、2017年7月15日「1920年代の映画館楽士と楽譜-早稲田大学演劇博物館『ヒラノ・コレクション』の分析と活用」をテーマに講演してくださった先生です。3人とも、今日の14時からの国際シンポジウム「伴奏譜が語る1920年代ドイツ無声映画」の登壇者。こちらも無料で、予約不要です。

昨夜の『メトロポリス』上映会は、前半がペーターさんのピアノ生演奏付き。休憩を挟んだ後の後半は、鳥飼りょうさんのピアノ演奏に大森くみこさんの活弁付きという面白いプログラムでした。演奏者のリレー、活弁ありとなしの対比は、とても興味深く思いました。初めてこの作品を観た私にとって、字幕が多く、読むのに精一杯な前半に比べ、活弁があると内容理解が早くできるので、改めて「活弁って良いな」と思いました。

『メトロポリス』のあらすじ:

21世紀初頭未来世界、メトロポリスは、地下に住む労働者たちが動かす機械によって機能しています。その機械を操るのは地上に住む上流階級指導者フレーデル。その息子のフレーダーは、ある時、地上を見学に来た労働者階級の娘マリアに一目惚れします。恋しいマリアを探し求めて地下へ向かったフレーダーは、労働者の過酷な日常を目にします。SF映画のルーツであり、金字塔。

会場から「台本はあるのですか?」と問われた大森さんは「この作品は映画と同時に小説が出ているので、それを参考にしました。例えば『黙示録』という単語が出てくると、国と時代によってとらえ方が異なると思い、そこを補うように工夫しました」と答えておられましたが、難しい作品を良くわかりやすく説明されたと感心しました。

遊興の場所が「ヨシワラ」なのが気になりました。おそらく日本の遊郭「吉原」の名称引用なんでしょう。作品が作られた1926年当時から、この地名はドイツでも映画に用いられるほど有名だったのでしょうか。地上も地下もそのセットの大がかりなこと。そして、機械にこき使われている地下の労働者たちの疲れ切った姿。AIが幅をきかし、やがてロボットにこき使われる人間どもを予知して描いたとしか思えず、2026年を想定して描いたこの作品は、いよいよ現実味を帯び不気味な印象でした。そこで何度もこの映画で繰り返し出てくる言葉「頭脳と手を繋ぐものは心である」が頭の中を行ったり来たり…114分の作品でしたが、いくつかのバージョンがあるので、また機会があれば観たい作品です。

 

 

 

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