おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2021.05.27column

開館前の京都新聞記事

資料探しをしていたら、2015年2月6日付けの京都新聞夕刊の記事が出てきました。この5月18日で満6歳の誕生日をどうにか迎えることができましたが、当時の様子を思い浮かべながら、写真に見入りました。確か前年の10月始めに町家専門の不動産屋さんを勤務先上司の方に紹介していただいて下見しました。初代理事になってくださった皆さんにも見て貰って、12月26日に契約。

築100年以上経つ織屋建てのこの町家は、10年ほど空き家だったそうで、相当な厚さの土をのせた本瓦葺きの京町家はその重さもあって傾いていました。年明けからまず瓦を降ろし、柱を水平にするための根接ぎ作業、作業場だったホールに1㍍幅の耐震壁を東西に拵えるため、昔ながらの藁を刻んで使う土壁の下塗り、中壁という作業を踏みましたが、新聞掲載の写真は、2月になっても大工さんたちの作業着手がなされないままの状態の時。

型染め友禅の家だったので、長さ約7メートルの樅の一枚板(友禅板)をのせるための金具が上から下がったままです。この幅45.6㎝(1尺2寸)、厚さ1.5ミリの「友禅板は貴重だからこのまま残しておいて欲しい」と言ったにも関わらず、次に見に行ったら全て3つに切断されていて絶句。

「5月18日国際博物館の日に開館したい」という思いだけは、学芸員の勉強を始めたときからキープしていましたので、遅々として進まない作業に不安を抱えてはいましたが、夢を叶えようと一歩歩み出した連れ合いが、河村記者さんの問いかけに答えている写真。漸く工事が進み始めたのですが、重さが集中する北側の柱への対応が悪く、それをやり直すためにまた瓦を全部降ろして葺き直し…等々家主さんサイドの大工さんの作業にトラブルが続き、それでは間に合わないとしびれを切らして内装に取りかかったのが開館を間近に控えたころ。

京都新聞の記者さんが5月18日付け新聞1面コラム「凡語」で当館が開館の予定稿を出しておられたことから、前々日に「本当に18日開館できますか?」と念押しされたことを良く覚えています。結局は未完成のままの17日内覧会、そして18日開館でしたが、ギリギリでもよく間に合わせられたものだと今でも思います。

東映京都撮影所美術のベテランさんたち、「映画美術春組」代表の宇山隆之さんとお仲間さん、大工の津田さん、初代理事の皆さん、そして、連れ合いの活動に共感してくださった皆さん。大勢の皆さんのご協力があって、このミュージアムは動き出すことができました。本当にありがとうございました!!!!!

そうそう、劇団前進座さんとの交流が始まったのも、この新聞記事から。前進座京都事務所のスタッフさんが記事を読んで、「できることがあれば手伝いたい」と仰ってくださいました。山中貞雄展、歌舞伎の「隈取」のワークショップ、ベテラン俳優さんによる朗読等々、彼女の申し出のおかげで開催することができました。

懐かしい新聞記事を読みながら、お世話になった方々のお顔を思い浮かべて、改めて感謝の思いを深めています。

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