おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.03.07column

3月27日はアニメーション史研究家渡辺泰先生の三回忌

昨日は、3月27日に開催する北波英幸さんの研究報告「『アニメ』誕生のメディア史から」の予約を相次いで受けました。まだお席に余裕がございますので、ご都合よければぜひお越しください。

お申込者のおひとり、真鍋昌之さんと電話で話しながら、確か渡辺先生がお亡くなりになったのは3月だったことを思い出しました。奇しくも研究発表が行われる27日が三回忌。3~4月に若手アニメーション作家の上映作品展をしていることもあり、「3月27日で如何?」とメディア史・アニメ史を研究されている北波さんに提案したのですが、「アニメ」について語るにふさわしい日となりました。きっと渡辺先生も天国から身を乗り出して聞いてくださることでしょう。後継者の活躍を何よりも喜んでくださるはず。

写真は2018年10月6日開催「渡辺泰 アニメーション研究活動を語る」で、連れ合いが描いた先生の似顔絵を喜んでくださっている渡辺先生。写真を撮られるのがとても苦手な先生でしたから、載せる写真がなくて、イラストでチラシを作りました。

この時の司会進行を買って出てくださったのが、北波さんです。一緒に登壇してくださったのが、現在同志社大学准教授の佐野明子さんです。

今年1月31日刊行『戦争と日本アニメ 「桃太郎 海の神兵」とは何だったのか』の共同編者のおひとり。その第1章が渡辺先生によるおそらく最後の著作「『桃太郎の海鷲』の思い出」です。佐野先生が大阪大学の学生だった時分から先生にいろいろお世話になったそうで、2018年9月5日~10月14日に開催した特別企画「アニメーション研究を牽引してきた功労者 渡辺泰~その研究活動と功績~」の時に中心になって尽力してくださいました。

闘病中で何かとご不自由な中での執筆だったでしょうが、1945年4月に公開された『桃太郎の海鷲』(瀬尾光世監督、9巻74分、1943年)のことを詳細に書いておられます。ほかにもあるのに、瀬尾光世監督の『桃太郎の海鷲』と日本初の長篇アニメーション『桃太郎 海の神兵』(1945年4月12日公開)の2作品だけが、戦後になってプロパガンダ・アニメーションとしてクローズアップされたことに対し、「瀬尾自身にとっては不本意で口惜しかったことだろう」と同情しておられます。

今年は、渡辺先生のこの一文を引き受けて、瀬尾光世さんについての講演会を行おうと考えています。偶然ですが、昨朝、探し物をしていて、渡辺先生から受け取った封筒が出てきました。

誠に筆まめだった懐かしい渡辺先生の筆跡です。封筒の中には、2016年に和歌山県立近代美術館で開催された「動き出す!絵画 ペール北山の夢~モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち~」の資料と“ペール北山”こと国産アニメーションのパイオニアの一人、北山清太郎のフィルモグラフィがB4の紙に42項目書き連ねてありました。

そして、戦後にキングから発売されたおもちゃ映画とニッカから発売された16ミリフィルム、それにスライドフィルムの販売目録も入っていました。たくさんの種類の作品がお茶の間用に販売され、楽しまれていたことがわかる貴重な資料です。

改めて渡辺先生の「『桃太郎の海鷲』の思い出」を読みながら、最後の最後まで頭脳明晰でおられたのだなぁと思います。だからこそ、私どもに本当によくしてくださったことを、直接お会いしてお礼をお伝えしたかったです。それは渡辺先生にお世話になった多くの人が抱いておられる思いかもしれません。27日は、渡辺先生を偲ぶ会にもしたいです。思い出話を語り合いましょう‼ご参加をお待ちしております。

 

 

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