おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2016.05.02column

京都新聞連載「文化百聞」で紹介されました

昨日の京都新聞連載「文化百聞」は、映画監督中島貞夫さんの第5回目。京都御苑で「日本暗殺秘録」を撮影した時の様子をにこやかに話しておられる写真が添えられています。大見出しは「『ちゃんばら』京が最適」。歴史的景観、伝統工芸の力、伝統芸能の歴史の深さ、そのどれもが京都にはあり、さらに、西陣には輸入したカメラを修理できる職人がおられたり、エキストラとしても活躍した人々の存在もあげながら、「京都には、時代劇製作の中心地となる条件がそろっていた」と話しておられます。映画セットに欠かせない材木は府北部の山から伐り出し、嵯峨の貯木場から掘削した西高瀬川を使って水運で運び、後には陸運へと移行しますが、京都で最初の横田商会二条城撮影所が出来たのも、この水利の便の良さも大きな理由でしょう。神社仏閣が多いことから宮大工さんの存在も美術セットを組むうえで大きな支えになったことでしょう。

「お金があれば、思うようなセットが組めるが、ない中でどのようにすれば絵になるものができるか、それを工夫してやってみせるのが美術を担当するものの腕の見せどころ」だというような内容を以前映画美術者による講演会で聞いたことがあります。中島監督が仰るように、京都には今も映画製作を手助けする歴史的景観を始めとする様々な要素がまだまだ残っているのですから、昨今言われている「ちゃんばら映画衰退」を手をこまねいて見ているだけでなく、京都中が一丸となって時代劇を盛り上げる機運へともっていきたいですね。

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9面いっぱいに掲載された「文化百聞」の記事の左下に「付言」のコーナーがあり、そこで当館の活動と代表の思いも紹介されています。その最後の部分「100年後に向け、映像を残す事業を、日本で京都が率先して行うべきではないか」という提案に対し、「そうだ」と賛同の声が上がることを期待します。日本のハリウッドと呼ばれたこともある京都だからこそ、果たすべき使命があるように思います。

ともあれ、メディアの力は大きくて、昨日も「この記事を読んだ」という人が早速来館され、他にも代表が出演したN.H.K.「ラジオ深夜便を聴いた」という人が何人もおいでくださいました。ありがたいことです。そして、最も嬉しかったのは小学男児が「見たい」と希望してお母様と一緒に来てくださったこと。帰り際に「どうだった?」と尋ねると「めちゃくちゃ楽しかった。面白かった」と言ってくれました。幻灯機の実演、おもちゃ映写機の実演と体験、昨朝コレクションに加わったばかりの蓄音機でSPレコードを聴いてもらうなどしたことが良かったのかも。子どもは好奇心の塊。暗闇でガラス板に書かれた絵を投影して見た時の美しさに見とれ、フィルムに書かれた一つ一つの連続した絵が、ハンドルを回すと動きだして見えると「うわぁ~」と歓声をあげ、グルグル回る黒い円盤のどこにデータがあって歌が聞こえるのか?」など目を輝かしていました。

デジタルも良いけれど、アナログな世界も捨てがたい魅力にあふれています。小さな子どもから年配の人まで、様々な展示物に実際に触れてもらい、話をしながら音や映像を次世代に残す意義を伝えていきたいなぁと思っています。

 

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