おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2024.08.31column

去り行く8月

年々作業が遅くなって、日常の出来事を紹介したいと思いつつ、なかなか書けずにおります。その中から記憶に残った出会いをいくつか、遅まきながらご紹介。

8月14日はロシアのウラル山脈近くのエカテリムブルクのナタリアさんとチェレポヴェツからレナさんが来館。日本語で名前をサインして下さいました。

8月16日は一橋大学大学院生の佐藤 優さんが広島からの帰りに立ち寄って下さいました。毎日熱心な「ヒロシマ通信」を送って下さる竹内良男さんから「是非に訪問するように」と勧められたのだそうです。その日の出会いをFacebookでは、次のように書いています。

……頼もしい若者と出会いました。一橋大学大学院生佐藤 優さん。広島市大時代に知り合った切明千枝子さんが詠まれた短歌を読み込んで、8月6日に1冊の歌集『ひろしまを想う』(レタープレス社)を出版されました。
   若者を戦火に死なせてなるものかと 老いに鞭打つ語り部われは
切明さんは、今年11月で95歳になるそうです。その切明さんの思いをしっかり受け止めて歌集として後世に残せるよう尽力された佐藤さんも凄いです。「被爆者と若い世代をつなぐ集い」などの取り組みもされています。初めて会ったのに、どんどん話が弾んでとても楽しくて有意義な時間を共有できました。会いに来るよう勧めて下さった「ヒロシマ通信」の竹内良男さんにも感謝です。「是非に」と勧めて、立命館大学国際平和ミュージアムへ向かう後姿を目を細めて見送りました。……
翌日にメールが届いて、立命館大学国際平和ミュージアムの常設展示の一角に、当館から提供した戦争記録映像集を自由に閲覧できる端末が設置されているのにも気が付いて、しっかり見て来たと書いてありました。実は私どもも8月13日に見学してきたばかり。昨年9月23日にリニューアルして1年も経とうというのに、今頃になって申し訳なかったです。同館で開催していた戦争柄着物展とあわせて見学しました。私が学芸員資格取得の為放送大学で受講した「博物館概論」で感銘を受けた吉田憲司先生(現・国立民族学博物館長)の「武器ではなく農具を」の展示が常設展最後のコーナーにあったのがとても良かったです。立命館大学国際平和ミュージアムでの展示、皆さんもぜひ見学なさってください。

16日、17日、21日は台湾の映画関係者の人が訪ねて下さいましたが、生憎写真が撮れてなくて。ごめんなさい。
 
18日は10時~正午、13時~15時、16~18時、19~21時と4部に分けて、映画『沈黙の50年~国から子どもをつくってはいけないと言われた人たち』を上映しました。各回とも満員御礼で、お断りせざるを得ない人が幾人もおられました。強制不妊問題について、多くの方が関心を寄せて下さったのが嬉しいです。
10時からの部は、7月3日最高裁判決で国に勝訴した原告1組による当事者のお話が聞けました。皆さんが真剣に聾のお二人の話に聞き入っておられました。手話通訳者と読み取り通訳者の連携でお二人の体験を直にお聞きすることが出来、貴重な場となりました。
第2部と第3部は上映後に映画のエンディング曲を担当した二胡duo、吉川組(Ann Sakai& 一圓尚都)さんの生演奏も。事前下見でマイクなしでもOKと判断して、両部はAnnさんの司会進行と息の合った二人の演奏で、会場は優しい雰囲気に包まれました。『魂風』『見上げてごらん 夜の星を 』『故郷』『風になりたい』の4曲。手話劇団「箱!」座長の小西貴美子さんが手話歌の通訳をしていただけたのも良かったです。
 
第4部は上映後に「旧優生保護法による被害者とともに歩む京都の会(仮)」メンバーによるお話がありました。第1部に体験を話して下さった方の話も披露して下さいました。9月28日(土)同会の結成集会が、ウイングス京都で開催されます。当日10:30、15:10からの2回映画『沈黙の50年』が上映されますので、今回ご覧になれなかった方は、京都府聴覚障害者協会事務局fax075-841-8433、ayu.shino.syo.nana@gmail.comへお問い合わせ、お申し込みをなさって下さい。盲聾者の方は9月10日までに要申込。1000円(当日1500円、障害者1名につき介助者1名無料)。
 
大変蒸暑い一日で、熱中症で倒れる人が出ないかと心配しましたが、スタッフの皆様と参加者の皆様のおかげで、心温まる良い催しになりました。関係者の皆様には大変お疲れ様でした。無事に終えられてホッとしています。
 
19日は休館日でしたが、夜7時から「ラジオ体操 百年・三代の記憶―初代ラジオ体操を現在に-」をしました。北海道大学大学院教育学研究院准教授の崎田嘉寛先生と苫米地里香さんのトークセッションで、1928年11月1日に始まった初代ラジオ体操第一から1952年6月16日に始まった三代目にあたる現在のラジオ体操第二まで、実は8種類ものラジオ体操がありました。こうした体操は各自治体が作ったり学校などが作ったものも含めると相当な数の体操があるようです。京都だけでも16種類もあるのだとか。何でこんなに多いのでしょう。ラジオ体操を切り口に歴史的背景から、初代ラジオ体操第一~第三、二代目ラジオ体操第一~第三の動きを、歴史的映像から可能な限り正確に再現し、現在に活かす研究をされている研究者がおられることに先ずは驚き、感心しました。
次いでラジオ体操や健康づくりイベントなどで活躍されている当山倫子先生の指導で、今や忘れ去られている初代と二代目、6種類のラジオ体操をみんなで一緒にやってみました。夏休みの自由研究にラジオ体操を選んだ小学3年生も加わって、楽しい時間を共有しました。
ミュージアムお決まりの集合写真は、私の発案で、教わったばかりの体操の動きの中から各自お気に入りの動きのポーズで決めました。こんなに多くの人がラジオ体操に関心を持ち、集まって下さったことが何よりも嬉しかったです。
最後に苫米地先生から参加のハンコを押してもらって、子どもの頃毎朝ラジオ体操に出かけて上級生から押してもらったラジオ体操カードを追体験させて貰いました。
 
21日も夜6時からの催し。今開催中の「団扇を彩る銀幕のスターたち」でたくさんの貴重な団扇をお貸しくださった永本ツカサさんが京都に来られると分かって、急遽開催することにしたトークイベント。
対談相手を引き受けて下さったのは同志社大学教授の佐藤守弘先生(向かって右)。実はこれまでにも何回かお会いしていたにもかかわらず、私の中では初対面だとばかり思っていました。おしゃべりしていて、「あ~、あの時の!」と💦大変に博識で、永本さんが広告の歴史を披露しながら、いろいろコレクションを見せて下さると相応しいコメントをして下さって、二人の会話を楽しみながら勉強をさせて貰いました。東京大学大学院で韓燕麗先生の下で研究されている方が19日に次いでこの日も参加して下さり、熱心に研究されている様子も頼もしく思いました。持ち広げているのは、様々な家電をイラストで描いた布地。「これは何の道具かな?」とワイワイ盛り上がりました。
この前日に、大きな段ボール箱が東京から届き、中にどんな宝物が入っているか、ワクワクしていたのですが、期待を裏切らないというか、それを大きく上回る珍しい永本コレクションを次々に披露して下さいました。上掲は女優さんの写真を用いた着物。前掲の家電柄もそうですが、着物柄もメディアの一つだとよく分かりますね。
珍しい女曲馬の法被。
永本さんが着ておられるのは、在留米軍の法被だそうです。これも珍しいですね。
戦時中の新聞柄の着物も。戦争柄の着物は結構目にしますが、これは珍しいですね。
私は、『メトロポリス』をはじめとする映画を扱ったマッチ箱に目がいきました。永本さんはモノを集めるだけでなく、それらを調べて一生懸命発表内容を準備して下さいました。次回また永本さんのコレクションを拝見する機会ができたなら、その時は是非に見にいらして下さいね。
 
22日はニューヨーク出身の2人。
アレクサンダーさんとマックスさん。マックスさんは日本語が上手。日本の戦前のアニメーションを活弁付きバージョンでご覧に入れたら、声を出して笑って下さって。紙フィルムも興味を持ってご覧になっていました。
 
23日は南カリフォルニア大学でサイエンスを研究されている台湾出身の曾國彰さんとお友達のシェルビー・バルドッグさんが来館。映画、音楽、編集に、マンガまで幅広く活躍され、受賞も重ねておられます。
そんな彼が下掲写真のフィルムに直接絵を描いて、世界でひとつだけのアニメーション作りに挑戦。その仕事の早いことったら!早速おもちゃ映写機にかけて、みんなで見ました。「特別な体験ができた。ありがとう!」とご満悦💗その様子を撮影してYouTubeで公開しました。どうぞご覧下さいね‼https://www.youtube.com/watch?v=9ObP2rFmCUs

24日はカナダのバンクーバーから、レノさん。

広い国土のカナダにピンが2本目。カナダ最東端のセント・ジョンズと西のバンクーバーに。

28日は昭和女子大学現代教養学科の福田淳子教授と相 尚寿講師引率で17名の女子大生が「社会調査研修」の一環として見学に。

ミュージアムの説明、京都ニュースの保存と活用、おもちゃ映画の活用例としてアニメーションを観て貰った後、おもちゃ映写機の映写体験や、展示品の説明をしてあっという間の1時間でした。今回の目的はオーバーツーリズム問題を、実際に停留所における「バス待ち行列」や「積み残し」などの様子を観察してデータ収集を行うことだそうです。大型と言われながらノロノロして動きが読みづらい台風10号のとばっちりを受けて、東京への帰りは大変だったそうです。この日から、テーブル手前に座る京都芸術デザイン専門学校1年生二人がインターンシップに来てくれてます。

30日はロンドンからブラーナさん。

タイロン・パワーに似ていて尊敬しているおじいさんとお父さんの写真を、彫師さんに見せて両腕に彫って貰ったそう。

こちらは、大好きなおばあさんとお母さん。刺青と言ってもいろんな考え方、表現がありますね。愛する家族といつも一緒で安心感が得られるのかもしれませんね。7月末で終わってしまった「毛利清二展―映画を彩る刺青展」を見せてあげたかったです。楽しく、刺激に満ちた3か月間の展示でした。

そんなこんなを振り返りながら書いているうちに時計は9月1日になろうとしています。さて、9月にはどんな出会いが待ち受けているでしょうか。楽しい出会いがありますように。

 

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