おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2024.09.30column

松井孝治京都市長のご来館

9月28日(土)10時、京都市長の松井孝治さんが市職員の方々を伴って見学に来て下さいました‼

きっかけは京都芸術大学学長吉川左紀子先生と山本学長補佐、それに同大学文明哲学研究所教授吉岡洋先生が8月26日に市長様と面談の機会を得られ、その折に私どもが考えているプランについてもお話し下さったことです。市長さんはそれをお聞きになって関心を抱かれ、大学を介してこの日訪問の連絡を頂戴しました。何かと公務がご多忙の中、早速お越し下さったこと、本当に嬉しく思います。

当館の活動について説明しているところ。真剣に耳を傾けて下さいました。このあと、手回しの映写機をくるくる回して“おもちゃ映画”の映写体験をして下さいました。日本には無声映画がほとんど残っていないこと、僅かに上映後にフィルムの面白い所を切って、玩具売り場で家庭用に販売していたこと。それを“おもちゃ映画”と呼んで、それらを何とか発掘して、少しでも日本映画史の欠落を補えればと活動していることなどを説明しました。

市長さんのお兄さんが8ミリに魅せられておられたそうで、展示している小型映画の機材にも関心を示してくださいました。こうした小型映画で撮影されたフィルムにも貴重な映像が記録されているので大切だと、広く映像の提供を呼び掛けていることもお話しました。

丁度、「団扇を彩る銀幕のスターたち」展をしていましたので、「珍しい」とそれらにも興味を持って下さり、自ら撮影も。その上に掲げている布製の幟も見上げて目をとめて下さいました。映画ではとても珍しい布製の幟です。これを見にわざわざお越し下さる人もおられることを話しました。

写真ではなく、綺麗な色遣いで描かれたスターたちなので、どなたか確定するのが難しくて、「う~む、いったいあなたは誰?」と問いたくなる団扇も結構あるという話をして、それらをまとめたパネルを見て貰いましたら、「筒井清隆先生なら、お分かりになるかもしれない」と仰ったので、「そうだ、その手がある」と連れ合いと頷き合って。開館した2015年7月3日に当時、帝京大学大学院文学研究科長だった筒井先生が来館され、ここで中島貞夫監督のドキュメンタリー映画『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』の対談が行われ、収録されました。ということで、早速筒井先生にメールをお送りしてお知恵を拝借しようと思い、先ずは電話をいれました。お元気そうで何よりでしたし、力を貸して下さる快諾も得ました。

市長さんのお話では、かつて霞が関の若い人20人を集めて過去の名作を1作品観る会をしていて、その作品選びを筒井先生がなさっていたのだそうです。お二人にそうした繋がりがおありだというのを初めて知りました。

移動して、常設展の光学玩具や写真、幻燈機、国内外のおもちゃ映写機や、撮影に使っていたカメラや映写機などを所狭しと並べているコーナーへ。同行の市文化市民局文化芸術都市推進室文化芸術企画の朝日千裕さんは「実際に触れて体験できるのが凄い!」とそのことに感心して下さいましたが、ほとんどの国内外の施設では、こうしたモノたちはガラスケースの中でしか見ることができないと思います。市長さんが覗いておられるのは19世紀に誕生した立体ビューワーで、3Dのように立体的な写真を見る道具です。子どもたちに、科学の面白さを知って貰い、夏休みの自由研究にふさわしいものも展示していて、それらも体験してもらいました。

京都は映画産業に大きく貢献してきましたが、その一例として着物柄に映画が反映した例を紹介し、京の染織技術と産業についてもお話をさせていただきました。何らかの形で京都の映画産業に関わってきたお家が今もたくさんあります。多くの映画コレクターさんも、せっかく丹精込めて蒐集した資料の行く末を心配しておられます。映画関係者からの貴重な寄贈品も今なら残っていることも分かってきました。丁寧に調べれば、まだまだ見つかるはずです。それらのお宅に残っている映画に関する資料を何とか保存する施設が欲しいという私どもの希望に賛同して下さる人は、京都だけでなく関西一円におられます。そうした施設があれば、廃棄されたり、散逸したりする可能性があるモノたちを、先ずは一時預かりにしても保存して、調査研究することによって、次世代に貴重な映画遺産として継承することが出来ると話しました。

真摯に耳を傾けて下さった市長さんは、先に筒井先生のところでも書いたように、実は大変に映画ファンでもありました。お話をして初めて知りましたが、参議院議員時代に、映画鑑賞会をされていて、その会は、今もTBSのシニアコメンテーターとしてご活躍の川戸惠子さんによって継続され、赤坂見附で毎月例会をされているのだそうです。市長さんが京都に戻って来られてからは、なかなか参加する時間がないのですが、それでも年1回は参加していると仰っていました。例会で取り上げた映画の本数が200本になった記念のイベントが計画されているそうです。「市長さんが映画好きだ‼」と分かったことが、この日一番の収穫でした💗

見学は秘書の方の他に、京都市文化芸術政策監の草木大さん、市文化市民局文化芸術都市推進室文化芸術企画課課長の牧澤憲さんと、先ほども書いた朝日さんがお見えになり、市長さんは「大変重要な話を聞かせていただいたので、ここにいるみんなと相談してみます」と仰って下さいました。話を聞いて貰える場を設けて下さった吉川学長さんと、この日も同行して下さった吉岡教授に心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。

最後に、市長さんと一緒に記念写真を1枚。左端私の隣が吉岡先生、連れ合い、松井市長さん、草木さん、牧澤さん、朝日さん。皆様、お忙しい中をご来館いただきまして誠に有難うございました!!!!!

そして、市長に就任される前から自分でX (旧Twitter)に投稿されていると秘書の方から伺っていた通り、28日付けで投稿されているのに、今朝、朝日さんから連絡を受けて気付きました💗

松井市長様、早速ありがとうございました。https://x.com/matsuikoji/status/1839958499528454486

投稿では、1週間前の9月21日に完成披露したばかりの初期映像玩具“ミュートスコープ”を自ら手回ししながら撮影してくださった動画も載っていました。「アニメーションの仕組みを理解するのに最適ですね」と仰って。早速再生装置を作ってくださった「映像玩具の科学研究会」を主宰されている橋本典久さんに連絡したら、彼もとても喜んで下さいました。「この“ミュートスコープ”はいつでも体験できますか?」と市長さんから質問も頂きましたが、今、この装置の体験版を橋本さんに制作依頼中です。その体験会を12月1日に計画しています。他にも珍しい初期映像装置を総動員しますので、科学に興味がある子どもたち、元子どもたちの皆さんのご参加をお待ちしています。

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