おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2024.10.11column

京都新聞に開催中の田中佐弥さん「トリックスターズ 愚かなるものたち」展紹介記事が掲載‼

今朝の京都新聞市民版で、今月2日から始まった田中佐弥さんの「トリックスターズ 愚かなるものたち」展を紹介して頂きました。写真に写っているのがアーティストの田中さんです。比べてみるとお分かりかと思いますが、キツネの毛皮を首に纏ったブルジョアの「スンッ」としたシカはとても大きいです。その左足は戦前の義足を用いています。その隣のスカートを穿いたイノシシのメスの義眼が必死さを訴えているようで。「どうしたんだろう、この子」と想像してしまいますが、シカの義眼も他の動物の義眼もですが、見る人間の動きにあわせて、いつどの瞬間も見つめられているような…要するに目が合っちゃいます。「これが何とも、はや」です。

このメスイノシシの隣、田中さんの右手の先には、おそらく腹子(unborn calf)のウリ坊も。9日アメリカの大学生らの団体見学がありましたが、「食べたことがある。とても美味しかった」と言っていました。食文化の違いでしょうか。展示には他に腹子のバンビなどもいます。人間の手によって生を奪われ、ここにいる子たちは観賞用に剥製にされました。そして、「ペンションを閉めるから、取りに来て」などと連絡を受けた田中さんによって、こうして立体コラージュ作品として別の命を吹き込まれ、たまたま今はここに居ます。

記事にもある「愚者たちのカーニバル」を田中さんの冊子から拝借して紹介。

田中さんの世界観が伝わるかと思います。京都では初公開だそうです。ぜひ実際にご覧下さい。

他にも小さな造形物として、セミ、セミの抜け殻、メスジカの頭骨、ハチ、カメムシ、ハエ、ヒヨコにテントウムシなども用いた作品が並んでいます。

期間中は、田中さんの作品集を見てすぐに連想した人形アニメーションを毎日14時から上映します。その作品の日本語訳を担って下さったオリアンさんからチラシを見て「アニメーション監督Jan Švankmajerの"Cabinet de curiosités"にも似ています」とメールが来ました。

連れ合いに聞いたらチェコの映画監督ヤン・シュヴァンクマイエルの名前は知っていましたが、私自身は知らずにいたのでネットで検索しましたら、「珍品のキャビネット」に関する論文の中に例えばこういった写真がありました。
エヴァ・シュバンクマイエルと作った『アリス』(1988年)の1シーンのようです。もう少し知りたいと思って検索したら、当館に来館いただいた映像作家のナガタケンシさんが以前ヤン・シュヴァンクマイエルさんのスタジオを訪問された折の記事がありました。オリアンさんが教えてくださったように、田中さんの人形が醸し出す雰囲気は、スタレヴィッチの人形の世界に似たようでもあり、ヤン・シュヴァンクマイエルの世界にも似たところがありますね。
 
会場に立派な角をはやした羊がマネキン人形の頭を回転させながら髪の毛をバリカンで刈る展示もあります。その頭はキツネが運んできたもの。刈った頭は布袋に詰められて。メリノウールをとる羊と人間が入れ替わった立体作品。みんなどこかすまし顔ですが、ブラックユーモアが効いています。
 
展示は27日(日)まで。月・火曜休館。10:30~17:00。入館料は500円(中学生は300円)です。ぜひ、ご自分の目でご覧下さい。ご来場をお待ちしております。

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