おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2016.06.14column

月刊『ラジオ深夜便』と「パテ・ベビー映画祭」のご案内

放送から2か月以上経った今も「4月2日4 時05分から放送されたNHKラジオ深夜便を聴いて興味を持った」という人が全国各地から足を運んでくださいます。同番組の中村宏アンカーから「リスナーは全国に約200万人もおられる」とお聞きしましたが、「なるほど」と実感する毎日です。

5月20日に東京の月刊『ラジオ深夜便』編集担当の方から「反響の大きかった放送を誌上再録したいので」と連絡がありました。同雑誌の「アンカーと散歩道」というコーナーで中村アンカーと一緒に再登場願いたいという、夢のような申し出でしたので、即答でOKしました。そして、10日にその追加取材。朝から夕方まで、カメラマンさんも同行して丁寧に取材していただきました。

いつもは比較的静かな館内ですが、この日は人が人を呼んで、いろんな人が足を運んでくださり、取材もあり賑やかな一日。

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とりわけ私が喜んだのは、東京からいらした写真の若い女性二人連れ。ファッションがとにかく可愛らしい。赤い帽子を被った女性は1950年代のファッションなんだそう!古い映画が好きで、昨年7月初めに来館された若い女性とどうやら知り合いの様子。昨年の彼女は、大河内伝次郎のファンで、おもちゃ映画の大河内伝次郎見たさに、新幹線でおいでくださいました。そのこと自体にとっても驚いたのですが、過去に輝いた剣劇スターの魅力は、若いから、年配だからなんて全く関係なく、永遠なのですね。今は、8㎜フィルム、レコードだけでなく、カセットテープなどアナログ文化が注目されていて、若い人たちには、どれも新鮮に映るようです。

せっかくの機会なので、彼女たちにも蓄音機でSPレコードを聴いてもらいました。「あっ、ディック・ミネ‼」「知っているの?」「もちろんです。今はCDも売っていますが、YouTubeでいくらでも聴けますよ。『鴛鴦歌合戦』(おしどりうたがっせん)大好きなんです!」と彼女たち。1939年、マキノ正博監督によって、日活京都撮影所で作られた作品を知っているなんて、舌を巻きました。一緒に覗いておられるのが、中村アンカー。3カ月ぶりの再会です。

この日追加取材を受けて月刊『ラジオ深夜便』に掲載されるのは、7 月18 日に発売される8 月号。何と、13万部も発行されるそうです。音声だけでなく、文字でも残していただけるのは何とも光栄で、ありがたいこと‼ 東京からいらした編集者の要望で収蔵品を色々取り出して撮影。おかげで収蔵したままになっていたものを一緒に見ることができました。集めた本人は、だいたいどのようなものがあるのかわかっているのでしょうが、スペースの関係で全て展示しているわけでもなく、手付かずで仕分け分類ができていないものもたくさんあり、目の前に次々登場する収蔵品に、私自身興味津々。編集者の人もカメラマンさんも「うわぁ!おもしろい‼」と声をあげておられました。

発行される『ラジオ深夜便』の紙幅の関係もあり、どのコレクションが紹介されるのかわかりませんが、今からとても楽しみにしています。

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奥にあるのが1920年頃のアメリカの35㎜映写機「キーストン・ムーヴィ―グラフ」。チャップリンのフィルムなどが切り売りされ、教会のバザーなどで上映されていたようです。6 月1日のABCラジオ「武田和歌子のぴたっと。」で、レポーターンのあずまっちさんにハンドルを回して映写を体験してもらった映写機です。3 日の同番組でもこの映写機の「カタカタ」鳴る音が放送されました。フィルムをループ状にして「タスキ」にしているので、グルグル回転していくらでも見ることができますが、いずれは飽きて「他のを見たい。ねぇ、お父さん、他のも見たいから買って‼」となります。デパートで販売された当初は、このおもちゃ映写機に1本のおもちゃ映画フィルムを付けて売られていましたが、子どもの欲しい欲求を満たすべく、アニメーションやチャンバラで動きのある場面の映像が紙箱やスチール缶に入れられて販売されていました。

映写機もフィルムも高価で、1930 (昭和5 )年の雑誌『幼年倶楽部』2月1日号に掲載された広告には、「6尺写巻き取り機付き活動写真機26円、フィルムは1尺8銭より」とあります。1尺は約1フィート=1秒(サイレント映画のスピードで)。手元の『値段史年表 明治・大正・昭和』(週刊朝日編、1988年)で調べてみると、昭和5年の映画館入場料は、40銭。おもちゃ映画フィルムがどんなに高かったか窺い知れますね。どこの家庭でも見られていたわけではなく、中流よりも上の家庭で楽しまれていたことがよくわかります。今も昔も格差はあり、裕福な家庭は存在していました。そういった家庭がおもちゃ映画を楽しんでくださっていたからこそ、少しは欠落した無声映画の歴史を埋めることができるとも言えます。

手前にあるのは、9.5㎜のパテ・ベビー映写機。こちらはモーターのスイッチを押すと、ウォーンという音がします。ご覧いただいているのは、寄贈いただいた電車の窓から見た昭和初期の景色。

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青く着色されているフィルムの映像は、当時の子どもたちに人気があったチャンバラ。その左上の小さい映像が、パテ・ベビーで撮った昭和初期の映像です。

今月25日(土)13時から、このパテ・ベビーに特化した発表と上映会をします。発表してくださるのは、アメリカのイェール大学大学院で研究している森末典子さん。京都生まれで、東京の字幕製作会社などでの勤務を経て、現在は同大学映画学・アジア言語文学学部博士課程に在籍。小型映画、アーカイブズ学、テレビなどを研究しておられます。テーマは「1920 ~30年代日本におけるパテ・ベビー機の普及-映画学の視点からみる小型映画文化ー」。併せて、当館所蔵の内田吐夢監督「潜艇王」(1927年)、アニメーション「吃驚仰天真珠大王」、寄贈を受けたホームムービーの数々、祇園祭の映像などをパテ・ベビー映写機で上映します。お手元に9.5㎜のフィルムがあれば、ぜひお持ちください。上映が可能な状態ならば、皆さんと一緒に観ましょう。

パテ・ベビーに特化した上映会は、珍しいと思いますので、ぜひお運びいただいて、「パテ・ベビー映画祭」を楽しみましょう‼ お申し込みをお待ちしております。

海外で活躍する研究者40

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