おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2017.08.16column

おもちゃ映画コレクターの野中さん

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6日に関東から来館いただいたおもちゃ映画コレクターの野中さんは、目がとても優しい印象の方でした。日本アニメーション史研究者の渡辺泰先生から、5日に連絡を受けていた方です。渡辺先生から「先ずおもちゃ映画ミュージアムに行ってから、僕とこへ来なさい」と言われたとか。先生には、私たちのことをいつも気にかけてくださっていて、本当に感謝しています。

さて、写真に並ぶこの二人、お昼時間を過ぎても、あれこれ、あれこれと静かな中にも話が尽きない様子。漏れ聞こえる言葉から、昨年6月初めに神戸映画資料館の安井館長さんからお聞きした「コレクターは他の人が持っていないものを持っているのが嬉しいので、抱え込む人が多い。コレクターとは、そういうもの。関西のコレクターは結構開放して見せてくれるが、関東のコレクターは秘密主義の人が多い」とお聞きした人物ではないかと想像を巡らせました。他の方からも「関東にはすごいコレクターが居られる」と聞いたこともあったので、そのコレクターのお一人ではないかとソワソワしていました。

お話相手の野中さんは、はたして、その凄いコレクターのお一人でした‼ 所蔵リストを見せていただいたところ、おもちゃ映画のアニメーションでは、当館にないものが多数あり、はるかに多くのコレクション数です。でも、リストの中で劣化し失われた作品も多く、今では、「フィルムを開けるのが怖くて、年に何本かダメにしている」とおっしゃっていました。

安井館長さんからお話を聞いた時、「貴重な映像は、社会の財産として活かさなきゃ、もったいない。今度その人をここに案内してください。説得しますから」と鼻息荒く言ったことを思い出しました。でも、この日、二人が話す様子を見ていたら「きっとうちの活動に共感して下さり、いずれ連携できる日が来るかもしれない。そうなれば、ダメになる前にギリギリ救えるフィルムもあるだろう」と思いました。

「お会いできて嬉しかったです」と言いながら、渡辺先生宅へ向かわれる後ろ姿を見送りました。

そして、今日16日、宅急便屋さんが素敵な贈りものを届けてくださいました。その送り主は、写真の野中さん‼

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紙フィルム「レフシー」専用の映写機です。普通の映写機は、フィルムに光を透過させて上映しますが、このレフシー映写機は、紙フィルムに光をあて、絵を反射させて上映します。だからランプハウス(光源・写真では黒い網目状をした筒の部分)が前の方にあります。フィルムは高価なので、紙で作られた日本独自のフィルムです。レフシーも、レフシー映写機も「めちゃくちゃ珍しい」ので、外国のコレクターが欲しがるのだそうです。

来館の折、連れ合いが「レフシーの映写機はあるのですが、映写機型のものはないんです」と話したのを覚えていてくださり、コレクションの中から1台寄贈していただきました。このレフシーの映写機を見るのが初めての連れ合いは、野中さんのプレゼントに大感激‼ すぐにお礼の電話をしていました。

野中さんのおかげで、展示品がまたひとつ豊かなものになりました。ありがとうございます。大切にして、皆さんにご覧いただきます。

と書いたところで、京都と大阪から女子大生二人組が来館。私たちの会話に興味津々の様子なので、早速一緒にレフシー・アニメーションの鑑賞会。

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 手持ちのレフシー・フィルム・アニメーション「からすとみみずく」をかけました。どうやら、鳥の色を変えるお話しのようです。

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初上映。シャッターをつけると暗くなるので、シャッターは初めから付いていません。掻き落としですから、ハンドルを早く回すと絵が流れて上手く見えません。

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ゆっくり回して、辛うじて見えます。昔は今のように電気が充分ではありませんから、家の中も、今よりずっと真っ暗だったわけですし…

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連れ合いが、35㎜フィルムのおもちゃ映写機(手前)を操作して、掻き落としのレフシーとクロスカムの35㎜おもちゃ映写機との違いを説明しています。後者はハンドルを早く操作しても綺麗に映像が見えます。

二人には、ハンドル操作も体験して貰いました。「貴重な体験をさせてもらえて良かったです」と笑顔で帰っていかれました。普段レフシーはガラスケースの中に入れているので、彼女らは、本当に運が良かったです。そして、貴重なレフシー映写機を寄贈して貰った私たちも、本当に運が良かったです‼

野中さん、どうもありがとうございました‼

 

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