おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2015.08.23column

第10回映画の復元と保存に関するワークショップ(1)

着手が遅れ、間に合うかとても心配していた「第10回映画の復元と保存に関するワークショップ」ですが、関係者のみなさんのご尽力のおかげで無事1日目を終了しました。全国各地から参加いただいた皆さんにも、心から御礼申し上げます。

DSC02978DSC02976

 これまでの京都文化博物館から会場を京都国立博物館平成知新館に移して開催。上の写真は明治30(1897)年開館の本館、片山東熊氏設計。下の写真が昨年9月に開館した平成知新館で、設計は谷口吉生さん。東京国立博物館法隆寺宝物館と同じ設計者です。

DSC02979この地下に映像設備を完備した講堂(客席数200)があり、午前10時から、真新しいこの講堂でワークショップの第1日目をスタート。受付をしながらだったので、全て聴講したわけではありませんが、最初に代表が挨拶。後の講師の方の話から「10回目ということで、一つの区切りではないか」というようなことを言ったようです。ミュージアムの来館者についても同様の傾向があるのですが、京都からの参加者が少なく、圧倒的に東京など遠方からの参加者が多く占めます。例年宿の手配で苦労される話を耳にすることもあり、運営方法をそろそろ変える時期に来ているのではないかとよく話しています。それにしても手弁当でよく10年も続いたなぁと思います。趣旨に賛同し、ご協力いただいたお一人、お一人の力添えの賜物です。改めて感謝申し上げます。

続いて京都文化博物館・森脇清隆さんの「京都文化博物館の取り組み」、神戸映画資料館・田中範子さんと神戸映画保存ネットワーク・羽鳥隆英さんの「神戸映画資料館収蔵フィルムの網羅的調査」の発表。

DSC02964フィルムセンターの栩木さんはこの会の活動10年を振り返り、「自分の仕事をきちんとまとめて、一般の人に伝える有意義な機会を与えられている。映画を公共的な財産として、映画保存推進にどれだけ貢献できたかと自問自答している」と切り出し。昨年度フィルムセンターが新たに複製したフィルムは2902本を数え、以前に比べれば増えているが、「複製すれば、本当に保存なのか?」と問いかけました。「このことは技術論だけでは決定できず、キャパの問題などから廃棄された映画フィルムなどに対し、政策的倫理的課題として今後浮上してくるだろう」と述べ、パオロ・ウザイ氏が言う「映画をあるがままに生かし、死なせなさい」という文言と、「映画は公的に保存されて当然だ」という2つの極の間に広がっているのは、映画保存に対する社会の無関心であると訴えられました。DSC02982午後は代表の「おもちゃ映画に見る昭和史~昭和初頭の実写映像集」をサイレントピアニスト柳下美恵さんの演奏付きで上映。1927年の「大正天皇御葬儀」~1943年「潜水艦進水式と日華同盟締結」(トーキー)のニュース映像の断片25点を集めたもの。今年は戦後70年の節目ということで、企画しました。2003年から集めたおもちゃ映画は約900本を数え、チャンバラやアニメだけでなく、研究者が見れば立派な研究テーマになるようなニュース素材も多くあります。今後はコレクション情報をもっと積極的に発信していきたいと思っています。それにしても見たばかりの映像に即興で伴奏する柳下さんは、とても素晴らしい。映像の印象が全く異なります。

続いて羽鳥さんの台北映画祭報告。これについては既に書いているので省きますが、台風の為延期されていた星空上映会が7月26日夜に行われ、「怒涛のおもちゃ映画」などがDJの音楽付きで上映された時の写真を見せて貰いました。約3千人の観客が詰めかけて大盛況。同じ26日にミュージアムでは「第2回無声映画の夕べ」で台北映画祭の報告上映会をしていたので、その偶然にビックリ。台北映画祭で活弁を付けてくださった大森くみこさんと「いつか絶対星空上映会しようね」と誓いました。

DSC03012㏠目最後は5分間のライトニングトーク。今年は12 組がそれぞれの活動について発表。毎年これを聞くのが楽しみです。印象に残ったのは東京藝術大学三好大輔さんのホームムービーの活動記録「讃岐の記憶」。昔の映像を見て、懐かしさに手を叩いて喜ぶ人々の様子に、会場の人々もつられて大笑い。温かい雰囲気に包まれました。10月に小豆島で上映するそうです。映像の力を再認識しました。

充実した1日目は予定通り午後4時20分に終了し、続いて懇親会会場へ。毎年開催する同窓会のような趣です。

 

 

 

記事検索

最新記事

年別一覧

カテゴリー