おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2015.09.23column

活動写真弁士片岡一郎さんらの活躍

一昨日の毎日新聞東京版に、活動写真弁士片岡一郎さんと、和洋折衷楽団の「音羽座」の活動が写真入りで紹介されました。見出しは「伊の無声映画祭:練馬の活動弁士、片岡さん 来月『忠治旅日記』解説 和洋折衷楽団の『音和座』と共演」。10月2日から約1週間にわたって開催されるイタリアの「ポルデノーネ無声映画祭」に出演し、幻の名作と呼ばれていた「忠治旅日記」(1927年、伊藤大輔監督。東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵)を上映し、それに活弁と生演奏を付けられるのだそうです。

「忠治旅日記」については、昨年夏の第9回映画の復元と保存に関するワークショップで、当時文化庁におられた佐伯さんから、1991年のフィルム発見にまつわるエピソードをお話頂きました。スライドで見た主亡き後のコレクター氏の家の中は、足の踏み場もないくらい収集品で一杯でしたが、それは我が家で見る光景とさほど変わりなく、苦笑しながら見ていたのが昨日の事のようです。おもちゃ映画ミュージアムができたので、収集品を移したから、すっきりしたかと思われるかもしれませんが、トンデモナイ。開館後に知り合ったコレクター氏によれば、ご自宅だけで収まりきらずに奥様のご実家にも進出したとか、お風呂場にも置いているので、自らは銭湯に行くという人もおられるとか…。

話を戻して、なぜこの記事に注目したかと言いますと、世界では無声映画祭が今も熱心に開催されていることを広くお知らせすることができたと思うからです。同映画祭は34年もの歴史を持ちます。他にもボン無声映画祭やボローニャ復元映画祭などがあります。無声映画というと、日本では古臭いイメージがあり、一般的に親しまれているとは言い難いのではないでしょうか。

 DSC03318これは、9月12日の第3回無声映画の夕べで、片岡一郎さんによる前説の様子です。西洋では無声映画に伴奏は付きものでしたが、文楽、講談、落語など話芸が発達していた日本では、それに活弁を付けて楽しむ独特の文化がありました。

この夜も尾上松之助の「中山安兵衛」「荒木又右衛門」「忠臣蔵」(実録忠臣蔵)の天の巻を上映したほかに、収集フィルム内の「燃ゆる渦巻」や「狭骨三日月」の断片をお見せしようとして、機械の操作に手間取りましたが、その微妙な空気を察して「今も昔も、こういう場合は活動写真弁士に苦情が向けられるものでして…」と切り出して、見事な話芸で繋いでいただきました。おかげで松井須磨子さんが尾上松之助さんの声をしていたというような面白い話も聞くことができました。上掲毎日新聞の小見出しに「ファンに独特のライブ感を」とありますが、まさにこの臨機応変な話芸を楽しむことができるのが醍醐味です。

今月17日には、韓国の映画祭「インディ・アニフェスト2015」のオープニングに、第2回無声映画の夕べで見事な活弁を披露していただいた大森くみこさんが、仲間と組む「活弁ユニット深海無声團」として招待され、海外初公演を成功されました! 日本のこうした話芸と演奏をこれからも世界に発信し続けて、多くの人に喜んでもらえたらいいなぁと願っています。

さて、京都国際映画祭2015が来月15~18日に開催されます。今年もサイレント映画特集が組まれ、尾上松之助の「雷門の大火・血染の纏」「中山安兵衛」 「荒木又右衛門」「忠臣蔵」(実録忠臣蔵)を上映するほかに、ご家族で楽しめるおもちゃ映画とちびっこギャング、喜劇映画のルーツ:ファッティとキートンが上映されます。澤登翠さん、片岡一郎さん、山崎バニラさん、大森くみこさんの活弁や、柳下美恵さん、川嶋信子さんほかによる演奏でお楽しみください。スケジュール、チケットなどの問い合わせ窓口は同映画祭なのですが、今現在ネットで検索したところ、まだ発表はされていません。今しばらくお待ちくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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