おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

水歌浜町マーメイド / 林健二郎監督作品 2020年9月2日(水)~6日(日)10:30~

水歌浜町マーメイド

2000年、林健二郎監督作品、16mm、カラースタンダード、52分

あらすじ

 薫は毎年、水歌浜町にある浜辺の喫茶店で夏季アルバイトをしている。今年もその季節がやってきた。この町での彼のもう一つの目的は、人魚探し。これも毎年恒例のイベントである。 そんないつもの夏がスタートするやいなや、突如『人魚』を名乗る少女が姿を現す。  彼女の正体は家出少女、千波。喫茶店の店長が海水浴場の活性化を図って、薫の人魚探しをヒントに仕込んだのである。しかし千波には『人魚』として振る舞うにはネックとなる弱点があった。かなづちなのである。  千波のことを本物の人魚と信じて疑わない薫と、まったく信じないリアル志向のバイト仲間たち。だったらと、みんなはあることを画策する。  それは千波を泳がせるための作戦。溺れる人を助けさせることで、本物の人魚かどうかを見極めるのだ。海に入った彼女の下半身に尾びれさえ現れれば本物だ。  そして作戦は実行に移される。しかしここで思わぬアクシデントが。溺れ役が本当に溺れてしまうのだ。  果たして千波と薫たちは、彼を救うことが出来るのか。  ここで海難事故は許されない。海開きの日は間近に迫っているのだ。

制作意図

 誰にだって、好きなことをとことん自由にやれる時期があるはずだ――  そんな人生のまばゆいひとときを、当時の私たちは〝夏の季節〟に例えたかったのです。 その気候の快活なイメージと爽快さが私たちは大好きで、それを映像で表現することこそ、私たちの使命であると信じて疑いませんでした。夏の海水浴場を舞台に選んだ背景には、そういったところがあります。  願わくは、我が人生よ常夏たれ、といつも理想を描いていたものです。 とはいえ『青春』という若葉の頃を思わせるこそばゆい言葉も嫌いではなく、そこでこの物語のサブタイトルを『海開き青春活劇』と銘打ちました。本編にはそのような文言は出てきませんが、シナリオにはきちんとそう記されていました。

キャスト

木村貴史、佃ゆき美、小原寿生、倉田健一郎、島田曜蔵、辻林俊之、やまもとよしまさ、佐々木亮人、大室真砂子、飛田静男

スタッフ

製作:宮本愛美、脚本:北条俊正、監督:林健二郎、撮影:高橋正信、美術:安井聡子、音楽:篠原良一郎・吉沢克徳、録音:頼本康太、助監督:山口優次・片元亮

コメント

プロット段階から撮影・編集に至るまで、とにかく勢いだけで突き進んだ記憶があります。

なんとも軽率で短絡的な思考の若者だったなぁと、自分の事ながら苦笑を禁じ得ませんが、それも裏を返せば、当時は好きなことをひたむきに遂行するという、正直な生き方が出来ていたということなのでしょう。

その証が『水歌浜町マーメイド』であると認めたいと思います。

そうすれば、現在の私の嗜好から遥かにかけ離れたこの映画を、ある種貴重な一作品として、冷静な気持ちであらためることが出来そうです。

 

 

 

【THE FIRST PICTURES SHOW 1971-2020開催趣旨】

http://toyfilm-museum.jp/news/infomation/6083.html