おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2024.08.29infomation

第13回無声映画上映会「ちゃんばら時代の女たち」

旧伴家住宅(京都市登録有形文化財)で月一で開催している無声映画上映会は、回を重ねて13回目を迎えます。9月27日(金)19:30~20-:30は「ちゃんばら時代の女たち」です。

日本の無声映画自体がほとんど残っていないのですが、辛うじて上映後に家庭用に切り売りされた“おもちゃ映画”によって、剣戟映画全盛期時代の様子を窺い知ることができます。とはいえ、フィルムは決して安くはなかったので30秒からせいぜい2~3分と短いものです。手回し映写機でくるくる回して映写して楽しむには、動きの激しい剣戟シーンが喜ばれました。そのため、動きの少ない女優さんの登場する“おもちゃ映画”はそう多く残っていません。

剣戟シーンですら短い状態で、瞬間にしか出て来ない女優さんたちですが、所蔵している“おもちゃ映画”の中から集めてみました。1925年~37年につくられた女優さんが登場する映画の断片を観て貰います。

☆マキノ智子(牧野輝子)…『江戸怪賊伝 影法師』(1925年/東亜マキノ。二川文太郎監督、阪東妻三郎主演)で、女盗弁天お栄の役。マキノ智子は牧野省三の四女で、長門裕之、津川雅彦のお母さんです。

☆酒井米子…『実録忠臣蔵』(1926年/日活大将軍。池田富保監督、尾上松之助主演)で、刈藻太夫役。

☆森 静子…『尊王』(1926年/阪妻プロ松竹。志波西果監督、阪東妻三郎主演)で、舞妓雛菊役。

☆木下千代子…『血煙高田馬場』(1927年/日活太秦。伊藤大輔監督、大河内傅次郎主演)で、堀部弥兵衛の娘お幸の役。中山安兵衛が堀部家の婿になり、赤穂浪士の一人となる『忠臣蔵』外伝の一つです。

☆梅村蓉子…『地雷火組』(1928年/日活太秦。池田富保監督、大河内傅次郎主演)で、芸妓歌次役。『平手造酒』(1928年/日活太秦。志波西果監督、大河内傅次郎主演)の夏江役、『血煙荒神山』(1929年/日活太秦。大河内傅次郎主演)の吉良仁吉の女房お菊役でも知られる。

☆千早晶子…『浪花かがみ』(1930年、松竹下加茂。小石栄一監督、林長二郎〈長谷川一夫〉主演)の相手役。のちに、林長二郎の多くの作品を演出した衣笠貞之助監督の奥さんに。

☆山田五十鈴と川上弥生…『元禄快挙大忠臣蔵』(1930年/日活太秦。池田富保監督、大河内傅次郎主演)で、雛菊役の山田五十鈴と深雪太夫役の川上弥生。

☆滝花久子…『元禄快挙大忠臣蔵』(1930年/日活太秦。池田富保監督、大河内傅次郎主演)で、刈藻太夫役。

☆星 玲子…『自来也』(1937年、日活京都。マキノ正博監督、片岡千恵蔵主演)で、綱手姫役。後に東映の重役になったマキノ光雄夫人に。

等々、30本ほどの玩具映画を集めたものです。おもちゃ映画ですから、ほんの数秒しか出てきませんが、男優に負けず、無声映画時代を支えた女優さんたちです。残念ながら今ではほとんど忘れられていますので、こうした機会に知って頂きたいです。昭和初頭は剣戟映画全盛の時代でした。殺伐とした剣戟映画、殺陣が格好いい男優さんを支え、花を添えた煌びやかな女優さんたちにも目を向けてお楽しみいただけたら幸いです。

定員12名(予約優先)。一般1500円(学生とカンデオホテルズ京都烏丸六角宿泊者は1000円)です。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

なお、当館では戦後から昭和30年代にかけて活躍した映画スターを描いた団扇約150点を展示しています。そこに描かれている女優さんたちも、ここに紹介した女優さんたち同様に大変美しく魅力的です。9月29日まで開催していますので、この機会にご覧頂ければ幸いです。

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