2024.09.01infomation
10月2日から、田中佐弥作品展「トリックスターズ 愚かなるものたち」
10月の展示は、Artist・占術家田中佐弥さんの作品展をします。タイトルは「トリックスターズ 愚かなるものたち」です。
作品展への思いを次のように書いて下さいました。
「今回の展示は、私の剥製を使った立体コラージュ作品と、擬人化したきつねルナールが登場するアニメーション『きつね物語』との“寓話”という繋がりにおいて、展示の機会を頂きました。私の作品は、行き過ぎた人間社会を動物寓話としてそれぞれの作品に寓話を書き、立体コラージュとして表現したものです。この剥製たちは、元は行き場を失い、壊れ捨て置かれていたのを、なんとかもう一度日の当たるところで人に見てもらいたい…というきっかけで作品に使い始めました。
あまり見慣れない、少々怖く感じることもある剥製ですが、人の手によって物言わぬ姿となってしまった剥製の動物たちだからこそ、私たちに伝えられるメッセージがある様に思います。人間世界の愚かしさや矛盾を静かに冷たく、または悲しく優しげな眼差しで、私たち人間に雄弁に語ってくれる気がします。
作品を通し体感する寓話として、私たちの世界を取り巻くなにかを感じて頂けたらと思います。」
今年6月8日に来館され、その時におしゃべりをしていて話が弾み、その場で「展覧会をしましょう」と提案しました。その後Facebookなどを通して、あちこちの作品展に出品されている人気のアーティストさんなのだと分かり、突然の申し出を引き受けて下さった幸運を思いました。
実は、お会いした3日前の夜に映画『関心領域』(ジョナサン・グレイザー監督、2023年。カンヌ国際映画祭コンペティション部門グランプリ、アカデミー賞で国際長編映画賞と音響賞受賞。アウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る一家の日常を描いた作品)を観たばかりで、ずっとその映画のことが頭を離れないでいました。田中さんと話しながら、その映画のことが思い浮かんで仕方なく、いつまでも繰り返している戦争の愚かさ、“自分さえ良ければ”と他を視界に入れない独りよがりなどを思い、田中さんの作品には通じるメッセージがあるように感じたので、この小さな町家の空間で彼女の作品世界を見て貰いたいと思いました。
と同時に、ミュージアムを介して知り合ったフランスのアミアン大学映画学非常勤講師オリアン・シードルさんと夫君のフランス語講師岡村弦太さんに日本語訳をお願いした古いアニメーション『きつね物語』をこの機会にご覧頂きたいとも思いました。毎日14時から上映します。“寓話”繋がりですが、主人公のルナールはとても悪賢く、他の動物たちは翻弄されて大変な目に遭います。「じゃ人間社会はどうなの?」との問いかけに、どの様に感じて答えられますか?
会期は10月27日(日)までです。ご来場を心よりお待ち申し上げます。
末筆になりましたが、このチラシをデザインしてくれたのは、京都芸術デザイン専門学校1年石橋葵さんと東地美咲さんです。8月28日~9月8日までインターンシップに来てくれて、早速作り上げてくれました。出展者の田中佐弥さんもとても喜んでくださった出来栄えです💗