おもちゃ映画ミュージアム
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2024.09.13infomation

10月14日、鉄道記念日企画 上映とお話『特急三百哩』

毎月第4金曜夜に開催している無声映画上映会でお世話になっている伴市プロジェクトの正木さんからお声がかかり、鉄道記念日の10月14日に映画『特急三百哩(マイル)』をビデオ上映し、太田米男がこの映画復元についての話をすることになりました。

『特急三百哩』は、1928(昭和3)年に日活京都撮影所で製作された作品で、監督:三枝源次郎、原作脚本:木村千疋男、撮影:気賀靖吾、主演:島耕二、滝花久子、山本嘉一ほかです。昭和3年は御大典の年で、日活が大将軍から太秦に移った年でもありました。

九州で発見されたフィルムを上映できるように復元しました。その成果を2004年の第4回京都映画祭の前夜祭として、JR京都駅大階段前を会場に、ドイツの映画音楽家ギュンター・A・ブーフヴァルトさんの演奏付きで初披露しました。その時のライブ版(デジタル化したもの)を今回上映いたします。京都の表玄関での開催とあって大いに盛り上がりましたが、その後、JR伊丹駅での事故があったことから、JR京都駅も大事をとって、大階段でイベントをすることが禁止されることになりました。今も、京都駅でブーフヴァルトさんの演奏で上映した時のことを思い出すことがあります。良い光景でした。その後、当館でも開館翌年の2016年11月19日に「懐かしの《鉄道映画》上映会」としてこのバージョンを上映しました。

モダニズムの時代、大正から昭和10年代は、鉄道と蒸気機関車の発展期でした。当時の鉄道省が全面的に協力・監修した日本最初の本格的な鉄道映画として作られたこの映画は、現存する日本の鉄道映画としては最古のものと思われます。話は少しそれますが、当館に寄贈頂いた中に8㎜で撮影された洞爺湖電気鉄道(1928~1941年)のホームムービーがあります。内容から撮影されたのは紀元二千六百年(1940年)ではないかと推察するのですが、こうした映像も貴重なものと思われますので、いつかご覧に入れたいと思っています。

『特急三百哩』が作られた頃は日本映画の第一次黄金期で、日活京都撮影所はその中核でした。伊藤大輔や池田富保、辻吉郎など時代劇全盛の中にあって、現代劇部で活躍したのが世界的に有名な溝口健二とこの映画を監督した三枝源次郎でした。けれども三枝監督のフィルムがほとんど残っていないことや、戦後の活躍の場をテレビに移されたこともあって、残念ながら今や知る人も少ないです。

出演した島耕二は戦後大映の監督になり、滝花久子は田坂具隆監督夫人となります。また話がそれて恐縮ですが、国立映画アーカイブでは、田坂監督の没後50年展を11月24日まで開催中です。『真実一路』、『路傍の石』、『湖の琴』、『五番町夕霧楼』など今見ても名作揃いです。フィルムが残っていると、このように評価されるのですが、三枝監督のフィルムも他に見つかれば再評価が進むのでしょうけど。

上掲チラシの№3に載っているのが、田坂具隆監督夫人の滝花久子です。とはいっても、映画『特急三百哩』の主役は圧倒的に蒸気機関車です。1画面に6台の機関車が行き交うシーンや、今では存在しない当時最新鋭の蒸気機関車が次々に現れます。鉄道博物館がある梅小路機関車庫、京都駅構内などで撮影され、京阪間での列車の追いかけシーンは圧巻で、鉄道省や当時の国鉄の力の入れ方が並大抵でないことがよくわかります。

貴重な映画ですので、ぜひこの機会にご覧下さい。500円で、予約不要です。会場は京都市下京区五条河原町下ル東側の「ひと・まち交流館 京都3階の第5会議室。どうぞ、宜しくお願いいたします。

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