2024.10.06infomation
第14回無声映画上映会は「キートンのセブンチャンス」を1925年オリジナルのテクニカラーで特別上映します‼
毎月第4金曜日夜に、素敵な京町家の情緒が楽しめる旧伴家住宅(京都市登録有形文化財)で開催している無声映画上映会ですが、回を重ねて14回目。先月はもう少しで宿泊者の方にも参加して貰えるところでしたが、惜しいことに夕食時間と重なってOUT。何とか宿泊者の方にも参加していただきたいと思っているのですが、もう少し早い時間でないと難しいのかもしれません。でも、今度は喜劇映画研究会新野敏也さんのご協力で、他所では見られない貴重なバージョンを用意しましたので、夕ご飯の時間をちょっとずらして頂いて、是非ともご覧頂きたいです‼
上映するのは、笑わぬ喜劇王バスター・キートンの代表作『セブン・チャンス』。1925(大正14)年日本初公開時のタイトルは『キートンの栃麺棒』でした。栃麺棒(とちめんぼう)とは、トチの実とソバ粉を混ぜた麺を作る際に、練った素材を薄く延ばすための棒で、急いで麺を打たないと固くなるということから、「慌て者」「アタフタしている人」を意味する単語となったそうです。また、夫婦喧嘩で恐妻の使う凶器が麺を伸ばす棒という解釈もあって、邦題は慌てるキートンと怖い女という二つの意味で命名されたようです。
1973年リバイバル上映時のチラシもお借りしました。
新野さんの情報によれば、上掲チラシの通り、1973(昭和48)年のリバイバル“ハロー!キートン”の折に『セブン・チャンス』と改題されました。改めたのは、配給を手掛けたフランス映画社の柴田駿社長で、企画会議では大島渚監督が「昔の題名も文化遺産なので、改題すべきではない!」と猛反対されたそうです。新野さんは「もし、『栃麺棒』なんてタイトルのままリバイバル公開されていたら、古典映画愛好家の懐古趣味に埋没して、21世紀の若い世代には本作が忘れ去られていたかもしれない」と話しておられます。「はて?」。ワタクシ的には大島監督の意見に賛成かな。映画が面白ければ、「栃麺棒」という言葉は今でも生きているに違いない、と「栃麺棒」の私は思うのです。
さて、最初に書いた貴重なバージョンというのは、冒頭のカラー部分を指します。1953年にジェイムズ・メイスン邸(旧キートン邸)の倉庫でこのフィルムが発見されるまでは、冒頭部分が欠損していて“幻のシークエンス”となっていました。1968年から始まるレイモンド・ローハーワー復刻のキートン作品リバイバル(フランス映画社の“ハロー!キートン”もその一環)では、オリジナル2原色テクニカラーが修復不可能のため、黄色や青色などの彩色が施されていました。新野さんに確認したところ「2原色テクニカラーに修復されたのは、1990年代前半のことではないか」とのことでした。その後、2013年に世界的に有名なイタリアの“ボローニャ復元映画祭”で上映もされています。
というわけで、今回は1925年製作時のオリジナル2原色テクニカラーによる再現上映を伴奏付きでお楽しみ下さい。貴重な機会ですので、お見逃し無きように💗
〇作品情報:『キートンのセブン・チャンス/テクニカラー版』Seven chances
〔1925年 アメリカ/58分/冒頭のみ20コマ、24コマ再生/DVD〕 ※パートカラー
製作:ジョゼフ・M・スケンク、監督:バスター・キートン
原作:ロイ・クーパー・メグルー
脚本:クライド・ブラックマン、ジョセフ・A・ミッチェル、ジーン・C・ハヴェッツ
バスター・キートン・プロダクションズ=メトロ・ゴールドウィン・プロダクション社作品
日本語字幕:石野たき子
出演:バスター・キートン(青年実業家ジミー・シャノン)
T・ロイ・バーンズ(ビジネス・パートナーのビリー)
ルース・ドワイヤー(恋人メアリー)
スニッツ・エドワーズ(弁護士)
〇新野さんからキートンのサイン入り写真を添えて、届いたキャッチコピー
何と百年前に、こんなオシャレな演出のコメディーがあった!
他所では鑑賞不可能、しかも未ソフト化の1925年オリジナルのテクニカラー!
走る!跳ぶ!転がる!映画史を代表するアクロバットの喜劇王キートン!
恋と試練と大混乱の代表作!
キートン=躍動のコメディ超巨編!恋と試練と大混乱の代表作!
大勢の方にご覧頂きたいのですが、会場の都合で先着12名(予約優先)限定です。関心がございます方は、ぜひお早い目に当館までお申し込みをお願いいたします。
1500円(学生証持参者と同ホテル宿泊者は1000円)。会場でお会いできますことを楽しみにしております。