2016.03.28infomation
林長二郎(長谷川一夫)の資料を預かりました
昨日、ミュージアムに立ち寄っていただいたのは昨年6月17日に来館され、当館が「タイトル不詳」としていたフィルムを観て、それが林長二郎出演『京洛秘帖』だと教えてくださった男性です。その時のことは、以前スタッフブログで書きました。彼、岩本浩明さんは林長二郎、後の長谷川一夫ファンで、まだ有名になる前のデビュー作のポスターを始め、おびただしい数のポスターを蒐集されていて、いつか当館で「長谷川一夫のポスター展をしましょう」と話していました。その後何度か来館いただき、七剣聖のブロマイド写真を寄贈いただくなど交流が続きましたが、最近お見えではなかったので、どうしておられるのか気になっていました。灯台下暗し、今は当館の近くにお勤めでした。
どうして気になっていたかと申せば、4月16日に坂本頼光さん主催で開催する「無声映画の昼べ」で、林長二郎出演の『黒手組助六』を上映するからです。NPO法人映画保存協会の協力で上映が可能になったものです。この案が提示されて以降、「彼にこそ観て欲しい」とずっと願っていました。ですが、私の心配は全くの不要だったようで、彼は当館のホームページを良くご覧になっておられ、この作品が上映されることを既にご存知。「せっかくの機会ですから、コレクションを役立てて欲しい」と来館されたのです。勿論もろ手を挙げて大賛成。
ポスター類は遠方のご実家にあるそうですが、『黒手組助六』のブロマイド帳、フィルムコマなどのほか、戦前・戦中・戦後の写真、パンフレット、劇場が配ったグッズなども用意していただきました。いずれも貴重な品々です。4月16日は、いくらかのポスターと併せて、これらを額装するなどしてご覧いただこうと思っています。お楽しみになさってください。もちろん映画自体も滅多に観ることができない作品ですので、お見逃しなく‼
お話ししながら、手が回らず整理できずにいたたくさんのフィルムコマなどの分類も手伝っていただきました。「こういうことが好きなので」とおっしゃっていましたが、開催中の特別企画展「懐かしいSPレコードを観て!聴いて‼楽しもう!」も、3人の熱心なコレクターによって進行しています。何かを「好き」な思いは、そのことに関心を持っている相手にも伝わり、好循環が生まれます。人手が足りないミュージアム運営は、こうした熱心な人々に支えられて成り立っていると感謝感激の日々です。
3月11日に来館された別の男性は、私どもの活動に共感してくださり、お友達を誘って特別企画展にも足を運んでくださいました。その後いただいたメールに1936(昭和11)年松竹下加茂撮影所前で撮影された撮影所関係の人々の集合写真がありました。パズルを解いてもらった衣笠貞之助監督『京洛秘帖』は1928(昭和3)年に、今度上映する冬島泰三・古野英治監督『黒手組助六』も翌1929(昭和4)年に、この松竹下加茂撮影所で製作されました。残念ながら1950(昭和25)年に、この撮影所はフィルム倉庫から出火して姿を消しました。
今では、どなたがどなたかわかりませんが、写真に見覚えがある方がおられましたら、ぜひご一報くださいませ。
この写真の持ち主の男性は、かつて下加茂撮影所の近くにお住まいで、ご自宅2階には時代劇映画の手書きのタイトルや俳優さんの名前を書いていた人が下宿されていたそうです。「映画のまち京都」ならではのお話だと興味深く拝聴しました。
ともあれ、4月16日の上映会は、一人でも多くの方にご覧になっていただきたいので、皆様も良ければ、ご家族、友人、ご近所など知り合いの方にもお声掛けいただければ幸いです。お力添えのほど、どうぞよろしくお願いいたします。