おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2016.06.28infomation

京都新聞特集「松竹下加茂撮影所火災」に関して、取材を受けました

今日の京都新聞10面に、先日取材を受けた内容が掲載されました。

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 新聞1ページという大きな特集の下の方、横組みに連れ合いのコメントも紹介されています。提供した写真のように、劣化が著しいフィルムは、ここまで進むと救えません。先日ある人から、関東在住の知る人ぞ知る戦前アニメーションのコレクター氏の話を聞きました。私どもは会ったこともない人ですが、そのコレクター氏は決して人に見せないのだそうです。保管状況までは知りませんが、「年に何本かはダメになっている」ということらしいです。「なんてもったいない‼」思わず叫んでしまいました。が、返ってきたのは「コレクターとはそういうものだ」という言葉。確かにそういう人もおられるでしょうが、私には理解できない考えです。

骨董が好きな私も、いくらかの好きなものを集めていますが、いつも思うのは「縁あって我が家にやってきただけ。今は私が預かっているけれど、私が死んだりすれば、もっとふさわしい人のところへ行って次世代に継承されるだろう」と。でも、フィルムは別です。劣化は確実に進みます。そうなれば次世代に継承できやしない。救出のために一刻を争うから、身銭を切って私どもは拠点を構えたのです。この記事の小見出しにあるように、フィルム修復と保全は、時間と技術の絶えざる戦いです。

会ったことも、見たこともないコレクター氏とコレクションですが、こうした記事をネットか何かで目にする機会があれば、お持ちの秘蔵コレクションをぜひ世の中の役に立てる方法を選択してください。

さて、上の方の縦組みの記事に目を転じると、当時の記事では、火災の原因は可燃性(ナイトレート)フィルムの自然発火ということになっていますが、それに対して連れ合いは、人間のうっかりミスではないかと疑いを持っています。タバコの火の不始末や漏電がナイトレート・フィルムに引火して爆発的に発火したのではないかと。とにかく世界中で危険視されたナイトレート・フィルムですが、アメリカのジョージ・イーストマン・ミュージアムでは、昨春に続き今春もナイトレート・ピクチャー・ショーを開催し、世界中から注目を集めました。7月9日15時から当館で、ノースカロライナ大学シャーロット校言語文化学部アシスタント・プロフェッサーの小川翔太さんに、その報告をしていただきながら、米国での映画事情をお聞きします。併せて上掲記事に書いてある通り、太秦にあった大映京都撮影所の火災で一部を焼いたとはいえ、灰になる危機を間一髪でくぐり抜けた「羅生門」(今では、日本の宝であるだけでなく、世界の宝になっています)のRKO版を16㎜映写機で上映します。

適切に保存されればこそ、いつの時代になっても名作を楽しむことができます。なお、アイキャッチ画像は、当館にある「羅生門」のポスターとその作品を撮影された宮川一夫カメラマンの実物大タペストリーです。

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