おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2016.10.07infomation

「地域映像アーカイブ2016in京都・公開研究会」の報告文

 9月1日(木)に開催した「「地域映像アーカイブ2016in京都・公開研究会」の報告文が、立命

館大学の北村順生先生から届きましたので、早速UPします。

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 地域映像アーカイブ連携プロジェクトは、国内の各地で地域の映像アーカイブについて研究
や実践を行ってきた研究者たちが、緩やかに連携しながらこれからの映像アーカイブのあり方
や映像アーカイブを活用した研究方法などについて議論をしているプロジェクトです。これま
で、東京や神戸、新潟などでシンポジウムや研究会を行ってきましたが、今回は日本の映像文
化発祥の地のひとつである京都を会場に公開研究会を開催することになりました。
 研究会に先立ち、おもちゃ映画ミュージアムの太田米男館長より、「ミニ・ギャラリーツア
ー」と称してミュージアムの建物や展示物、所蔵品の内容、そして一般社団法人京都映画芸術
文化研究所の活動についてご紹介いただきました。全国から集まってきた参加者はもとより、
関西在住の方にも初めての来館者が多く、貴重な展示物等に興味深く見入っている光景が見ら
れました。
 研究会では、まず最初に東海大学の水島久光さんより、「いまいちど“アーカイブとは何か”
について考える」と題した発表がありました。水島さんの発表の中では、アーカイブ概念が多
様な立場や文脈、目的のただなかで、さまざまな差異や対立をはらんだものとして存在してい
ることが指摘されました。例えば、古典的な「文書館]を前提としたアーカイブ学の流れと、よ
り技術中心主義的なデジタル・アーカイブ推進の潮流。あるいは、アーカイブを収集、保存、
活用していくための文化資源の面に重きを置く立場と、そうした活動のアクティビティもしく
はムーブメントとして側面をより重視するスタンスと。こうした現状の中で 水島さんが重視す
るのは、一つの大きな(ナショナルな)かつ網羅的なアーカイブのあり方ではなく、それとも
結びついていく小さな(地域の)無数のアーカイブの姿でした。そして、そうしたアーカイブ
を構築していくこと、それにまつわる研究を蓄積していくこと、そしてアーカイブ実践を行っ
ていくことの間のサーキュレーションの中でこそ、そこに関わる人々の間のシステムとコミュ
ニケーションのダイナミックな関係性が紡がれていくとのことでした。
 続いての発表は、新潟大学の原田健一さんが「コミュニケーション・デザインとしての地域
映像アーカイブ~新潟大学地域映像アーカイブ映像データベースと新潟県立図書館郷土新聞デ
ータベースの統合をめぐって~」というタイトルで行いました。原田さんは、近代以降の映像
資料がもつコピー可能な複製性が、かつての資料の唯一性を前提として研究のあり方を大きく
変える可能性があることを指摘しました。また、地域映像アーカイブの資料が、マス・コミュ
ニケーションが形作るような<大きな歴史>ではなく、中間的でヴァナキュラーな性格をもった
資料による<小さな歴史>と結びつくものであることを示しました。その上で、 <大きな歴史>
のデータである新潟県立図書館の郷土新聞データベースと、<小さな歴史>のデータである新潟
大学地域映像アーカイブのデータベースとの統合型データベースの構築に関して、その意義や
生じている課題について事例を紹介しました。例えば、通常の新聞の検索が見出しという言葉
を手掛かりに行われるのに対して、映像の検索においては言語の比重は減つため、Googleの画
像検索のシステムのような設計が適しているとのことでした。また、公共図書館と大学という
性格の異なる組織機関が連携していく上で、新聞の見出しだけが見れる<公開版>と本文も含め
て特定の場所でのみ閲覧可能な<閲覧版>を分けていくという工夫が必要なことや、そうしたア
ーカイブを利用者もまた創り出す立場にあるということが強調されました。
 最後に、京都精華大学の佐藤守弘さんの司会でディスカッションが進められ、映像アーカイ
ブが持つ思想史的な意味などについて議論が発展していきました。
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当日の様子です。指で示しておられるのが新潟大学の原田健一先生。その左、スクリーンを背にしておられるのが東海大学の水島久光先生です。参加いただきました皆さまと、ご多忙の中、快く報告文を書いていただきました北村先生に、心から御礼を申し上げます。

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当日参加者に配布された資料の一つLRG別冊第2号「『記憶と生活』から問い直す 地域映像アーカイブの未来」(2016年3月26日発行)は、少しばかりストックがありますので、ご希望の方は来館時にお持ち帰りください。

 

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