おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2016.11.07infomation

懐かしの《鉄道映画》上映会

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11月19日に昔の鉄道・電車の映像をみんなで観る催しをします。パテ・ベビー(9.5ミリ)上映会のように、お手元に懐かしい鉄道映像があれば、ぜひご持参ください。なお、その場合は事前にご連絡をいただけると助かります。

9月1日に「地域映像アーカイブin京都・公開研究会」を開催した折りに、参加して下さった森安正さんから、その日手作りで発行されたばかりの『動く京都・20世紀-鉄道絵葉書の世界』を見せていただき、委託販売をさせてもらうことになりました。本屋さんでは売っていない本です。

このあと、以前発行された『全国絵葉書市街地総覧』と絵葉書の販売も委託されました。つい先日も来館され、19日の上映会時に飾るための古い地図や写真を届けてくださいましたので、一部をチラシに掲載しました。コレクター同士で気も合い、いろんな話題に花が咲くのですが、その話の内容を連れ合いは「映画」に結び付け、森さんは「絵葉書」に結び付けて考えられるのが、傍でみていて面白いです。

今回の催しは森さんとのおしゃべりから思いつきました。秋も深まり紅葉を求めて旅する季節であり、4月末近くに鉄道博物館が開館したこともあり、撮り鉄、乗り鉄さんも世に多く、広く関心を持ってもらえるのではないかと企画しました。9月には小型映画の展示と研究発表会をしましたが、パテ・ベビーや8ミリなど自分で思うように撮影できるようになると、自分の子供の成長や地域のお祭りなど身近な出来事を撮りたい心理は今と変わらないでしょうし、旅行の記録も残したいでしょう。ホームムービーには、車窓を流れる景色とともに鉄道も収まっているケースが多いと思います。寄贈されたフィルムにも幾本かあります。そうした映像をみんなで楽しく観る時間にしたいと思います。

特別に、2004年に開催した第4回京都映画祭で復元し、ドイツの演奏家ギュンター・A・ブーフヴァルトさんの演奏付きで上映した『特急三百哩』(1928<昭和3>年)を上映します。モダニズムの時代、大正から昭和10年代は、鉄道と蒸気機関車の発展期。本作は、当時の鉄道省が全面的に協力・監修し、日本最初の本格的な鉄道映画として作られました。現存する日本の鉄道映画としては最古のものと思われます。同時期は京都映画のみならず、日本映画の第一次黄金期に位置付けられます。中核にあったのが、日活京都撮影所で、その現代劇部で活躍したのが、世界的に有名な溝口健二監督と本作の監督である三枝源次郎。溝口と比べれば、フィルムが残っていないことや、戦後テレビの世界に移ったこともあり、残念ながら三枝監督の名前は今日余り知られていないのが実情です。

出演する島耕二は戦後大映の監督になり、滝花久子は田坂具隆監督夫人となりますが、主役は圧倒的に蒸気機関車です。1画面に6台の機関車が行き交うシーンや、今では存在しない当時最新鋭の蒸気機関車が次々現れます。前述の鉄道博物館がある梅小路機関車庫、京都駅構内、京阪間での列車の追いかけシーンも圧巻で、鉄道省や当時の国鉄の力の入れ方が並大抵でないことが良くわかります。ちなみに、タイトルの三百哩は、1200キロで、門司から東京までの距離を指します。

『特急三百哩』の復元は、九州で発見されたナイトレートフィルムをもとに、試行錯誤しながらの作業でした。この可燃性フィルムは、現在消防法で大量に所持することが禁止されていますが、7月9日に小川翔太さんから紹介してもらったアメリカのコダック・イーストマン・ミュージアムの昨春、今春と2年連続で開催されたナイトレート・ピクチャー・ショーのように、きちんと管理し、手順を守れば、今でも安全に100年以上前の貴重な映像を見ることができます。海外の映画博物館などフィルム・アーカイブ事業を展開する施設では、ナイトレートでもオリジナルの保存を重視しています。

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写真は、8月26日に見学した東京国立近代美術館フィルムセンター相模原分館の映画保存棟Ⅲ。2014年に竣工した可燃性フィルム倉庫です。2009年に映像で初めての重要文化財指定を受けた『紅葉狩』、2010年に同指定『史劇楠公訣別』、2011年同『小林富次郎葬儀』が保管されています。日本では、ナイトレートフィルム保存が緒に就いたばかりです。

 ともあれ、躍動感に溢れ、画面いっぱいに迫ってくる機関車の映像を、どうぞ観にいらして下さい。たくさんのお越しをお待ちしております。

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