おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2018.08.11infomation

9月5日から「渡辺泰展~その研究活動と功績~」を開催します

9月5日~10月14日に、日頃からお世話になっているアニメーション史研究の第一人者・渡辺泰先生に関する展覧会を開催します。

今回、渡辺先生の展示をすることになったきっかけは、昨年7月1日に京都国際マンガミュージアムで「にっぽんアニメーションことはじめ~『動く漫画』のパイオニアたち」関連イベントとして開催された「『なまくら刀』公開100周年記念祭」にまで遡ります。

普段ほとんど外出されない先生が、この時の企画者だった森下豊美さんと新美ぬゑさんと一緒に登壇され、お話をされたのですが、時間に制限があったため、「原稿に書いた三分の一しかしゃべる時間がなく」終わってしまったことをとても残念がっておられました。その残念さが、先生の内面でチロチロと燃える火になり、「東映動画のセル画や動画展をやりたい」とご提案いただきました。何かもっと表現したいというお気持ちになられたのだろと推察しました。

そこで、その話を森下さんにしたところ、「せっかくなら渡辺先生についての企画展をしましょう」と返って来ました。それならばと、今年2月12日に「L.スタレビッチの日本における受容」の演題で発表してくださった佐野明子先生にも声かけをしました。学生時代から今日まで多くのことを渡辺先生から学んでおられるので、適任だと思ったのです。

そうして、若い女性研究者二人による特別企画が実現します‼「僕なんか」といつも謙虚におっしゃる渡辺先生ですが、今回はチラシの真ん中に、ドカンと先生の似顔絵を掲げました。優しくて、思いやりのあるお人柄が伝わってくると思います。

以下に、森下豊美さんから展示の見どころについて寄稿していただきましたので、転載します。

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 「アニメーション研究を牽引してきた功労者 渡辺泰展 〜その研究活動と功績〜」の企画のお手伝いをしました森下豊美です。この展示には、長年に渡り国内でアニメーション研究を牽引してこられ、また後進の研究者へは貴重な研究の蓄積を惜しみなく提供して下さる渡辺先生へ、一若輩研究者としてささやかな恩返しのつもりで携わらせて頂きました。
 現在、多くのメディアでは現在進行形のアニメ文化のみが注目されていますが、国内で戦後アニメーションがどの様に受容され現在に至るのかを知る人は多くありません。戦後上映されたディズニーの長編作品は当時の日本人に多大な衝撃を与え、そして多くの若者が純真可憐な「白雪姫」に夢中になりました。この様な熱狂が戦後の国内アニメ文化の出発点にあったことはあまり知られておらず、またそんなディズニーに魅了されアニメーションに夢中になった若者の一人こそが渡辺泰先生でした。
 本企画では、渡辺先生が長年のコレクションの一部を展示することで、戦中戦後の国内のアニメーション受容の一端を紹介できればと思っています。展示には渡辺先生手作りの雑誌のスクラップ帳から、前半では珍しい戦中戦後のディズニー関連記事を中心に、また後半では東映動画に関する記事を選びました。愛らしいキャラクターたちも戦争に大いに加担し利用されていたことがスクラップされた記事からうかがい知ることが出来ると思います。また渡辺先生が過去執筆した著書、講義レジュメ、現在では存在さえ知られていない戦後発足したディズニー・ファンクラブ会員向け会誌「ディズニー・ジャーナル」、戦後のディズニー長編映画のパンフレット、日本初のアニメーションファンによる同人誌、東映動画スタッフによる労働問題同人誌、公開当時の作品のポスターなども展示予定です。
 日本で最もアニメーションを愛する「渡辺泰」という研究者の目を通して、戦中戦後の国内のアニメーション受容を氏が収集してきた膨大なコレクションの一部から垣間見て頂ければ幸いです。
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お一人でも多くの方に、渡辺泰先生のこれまでの活躍を知って貰いたいと願っています。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

 

 

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