おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2018.10.04infomation

10月18日~11月11日「映像作家 髙橋克雄の世界」を開催します

 

芸術の秋を迎え、10月18日(木)~11月11日(日)に、映像作家「髙橋克雄の世界」を開催します。最終日の11日には、お馴染み天宮遥さんの生演奏付きで、貴重な作品の数々をご覧いただきます。解説は、髙橋克雄さん(1932-2015 )ご息女の佳里子さんと、愛弟子にあたるダンボール・アニメ―ション作家として活躍する千光士義和さんのお二人。

丁度展覧会期間中の20日(土)と21日(日)に、ビアトリクス・ポターの原作『ピーターラビット』を皆さんご存知の絵本シリーズに翻訳した石井桃子さん(1907-2008)のドキュメンタリー映画『子どもに本を―石井桃子の挑戦』3作品連続上映会(監督は森英男さん)をしますが、髙橋克雄さんはポターの『ピーターうさぎの冒険』(1957年)を世界で初めて映像化した人です。

髙橋克雄さんの代表作の一つ『かぐやひめ』(1972 年)は、東宮御所以来、人形三体を展示するのは30年ぶりだそうです。特別な機会を頂戴したことになります。音楽は林 光さん、劇中歌は吉田日出子さん。この作品は日本文化を海外に紹介する目的で12か国語が製作され、海外に配給されましたが、残念なことに日本語版がないのだそうです。展示では、作品スチール写真や英語版シナリオなどの製作資料をご覧いただきます。製作に際し、髙橋さんは京都御所へロケに行き、写真撮影が出来なかったため細部までスケッチして、セットを組んで再現されたそうです。京都に縁があるこの作品を鑑賞できる幸運を分かちあいたいです。

やはり代表作の『一寸法師』(1967年)は、沖縄返還に向けて青少年健全育成のための映画として、全国の民間映画館で上映され、キネマ旬報ベストテン入りした人形アニメ―ション映画。カナダ万博で上映された際、アニメーションの大家であるノーマン・マクラレンが、特撮の謎解きの為に「フィルムを貸して欲しい」と依頼した逸話も。

もう一つの代表作『野ばら』(1977年)は、レオニード・モギー賞のほか数々の賞を受賞。スペインのマドリッド国際映画祭で「20世紀に残すべきベスト100」に入った人形アニメーションです。途中大病をされたので、完成まで3年を費やされたそうです。作品に込められた平和への願いが人々の共感を呼び、国際的にも再評価されています。

『動物オリンピック』は、1964年の東京オリンピックに向けて「子どもたちに元気を与える映画を」という意図から製作され、国内外に広く配給された文部省選定の教育映画です。「教育映画銀賞」「文部大臣賞」受賞作。

今現在もミュージアム内で、セラミック・ドール「人魚姫」を展示していますが、この独自な陶器人形は、1978年4月~1985年3月まで毎夜7時59分から全国ネットで放送されていたNHK「番組のおしらせ」のバックに流れていた1分間の『メルヘン・シリーズ』の中の一体です(1977年から「番組のおしらせ」の後『2分メルヘン・シリーズ』が6月まで続いたので、実質9年半のロングランとなり、NHKから感謝状が贈呈されました)。当初はフィルム撮影でしたが、やがて、ビデオでのコマ撮りへと進化し、世界初の放送規格としてのビデオアニメーションとなりました。このシリーズの作品スチールや絵コンテ類も展示するほか、11月11日は千光士さんも関わった『ねずみの嫁入り』などがご覧になれるでしょう。

今回の目玉の一つは、大阪万博の時に「21世紀の生活」をテーマにした日本政府館で上映された『ミセス21世紀』(音楽は冨田勲さん。今年、橋克雄著作権事務所が復元!)の映像上映と、その原画を描いたイラストレーターで紫綬褒章受章者の杉浦範茂氏直筆のセル画展示でしょう。EXPO’70大阪万博資料や、その時、髙橋さんが企画設計した日立グループ館(表チラシ左下写真)のコンペに提出した企画書や絵コンテなども展示します。

丁度今、「渡辺泰展」で、瀬尾光世さん作画・演出で、海軍省後援の子ども向けプロパガンダ・アニメーション『桃太郎の海鷲』(1942年、最初の長編アニメ)の雑誌広告9枚が展示されています。髙橋さんは、小学館の絵文庫シリーズの『トッポジージョ』で文を担当され、絵は「せおたろう」さんが担当されましたが、当初は、その方が「瀬尾光世」さんと同一人物だったことをご存知じゃなかったそうです。小学館絵文庫シリーズ『サンダーバード』『スーパージェッタ―』『トッポジージョ』の実物も展示されます。

その他、テレビ開局時代の野際陽子さん主演ドラマのシナリオなども展示される予定です。原爆で家族を亡くされ、故郷も失くした髙橋さんは、「子どもたちが平和で暮らせるよう」と願って、イソップ寓話や日本の昔話、アンデルセン童話など200作品以上の脚本を書き、演出や監督をされました。

正直に言えば、私自身声を掛けていただいて、初めて髙橋克雄さんのことを知りました。でも、こうしてこれまでのご活躍を知ると、もっともっと多くの人に「映像作家 髙橋克雄」さんのことを知って貰いたいと強く思うようになりました。小さな町家での展示と上映会ですので、天国の髙橋さんに申し別けないという思いで一杯ですが、こうした場から、改めて髙橋さんの思いに触れ、作品をご覧になって、いろんなことを感じていただく機会にしていただけたら嬉しいです。

皆様ご多忙とは存じますが、秋の京都観光の足を延ばして、ぜひともご覧いただだきますよう、よろしくお願いいたします。

【追記】

10月20日は11時~正午、千光士さんによる「高橋克雄展」ギャラリートークを開催します。石井桃子さんのドキュメンタリー映画をご予約のお客さまは、上映会参加料(第1部または第2部のみ1000円<当日1500円>、第1部と第2部参加1500円<当日2500円>)とお引き換えに、このギャラリートークもお楽しみいただけます。なお、当日の一般見学(入館料一般500円)は、上映会開催のため正午で終了とさせていただきます。

同じく21日も13~15時、石井桃子さんのドキュメンタリー映画第3部上映会(予約1000円、当日1500円)ですので、当日の一般見学は、正午で終了とさせていただきます。悪しからず、ご了承くださいませ。

 

 

 

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