おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2021.04.16infomation

開館6周年記念に、ドキュメンタリー映画監督森田惠子さんの映画愛に溢れた三部作を一挙上映‼

2015年5月18日に開館した「おもちゃ映画ミュージアム」は、来月6歳の誕生日を迎えます。コロナ禍でなかなか厳しい状況が続いているのはどこもかしこも同じでしょうけど、当館も例外ではありません。そんな中でも、今できることをしようと、映画フィルムを愛し、映写機を慈しみ、映画を映すことに尽力する人びとを丁寧に撮った森田惠子監督のドキュメンタリー映画3作品を上映することに決めました。

実は森田監督は、現在療養中です。再起して、お好きな庭の花の映像を9番目の作品に撮ってもらいたいので、そのエールを込めて企画しました。

◎1作品目は『小さな町の 小さな映画館』(2011年、105分)。

北海道にある人口1万4千余りの牧場と漁業の町「浦河」に、創業100年を超える映画館「大黒座」があります。大正時代、船大工だった三上辰蔵氏が、ドサまわりの講談師や浪曲師を家に招いたのが始まり。現在、映画館は3代目で館主は4代目。ミニシアターに生まれ変わった「大黒座」にも舞台があります。過疎化が進み人口が減り続けている浦河町に揺れながらも映画館の灯が点っています。

映画館を続けようと決心した4代目館主三上雅弘さんと佳寿子さん夫妻ですが、現実は厳しい。「大黒座」の灯を灯し続けてほしいと応援する人びと、「大黒座まつり」を主宰する人、「サポーターズクラブ」を立ち上げる人、遠方から手作りの番組表を送ってくれる人…。

木造で桟敷席だったという最初の「大黒座」を知る人から、上映されるすべての番組を観ているという人まで、多くのインタビューから、映画館を、町の文化を、大切にしたいという熱い思いが伝わってきます。

◎2作品目は『旅する映写機』(2013年、105分)。

日本で一番古い映写機を訪ねてみたい!1台の映写機を使って行われる“流し込み”という神業を撮りたい!映写機のメンテナンスを見てみたい!という思いを形にするべく、映写機を訪ねる旅が始まりました。そして、映写機を訪ねる旅は、映画館を訪ねる旅になり、映画館のある町を訪ねる旅になりました…。

神業のような”流し込み”の技術は、たった1台しかない映写機を活用し、35mmフィルムならではの上映です。8巻とか9巻に分かれたフィルム巻を映写を止めることなく、繋ぎながらの上映は感動すら覚えました。『旅する映写機』は映写機を訪ねるロードムービーです。北は北海道「大黒座」から南は高知「大心劇場」まで、いろいろな場所の映写機を訪ねました。

◎3作品目は『まわる映写機 めぐる人生』(2018年、110分)。文部科学省選定作品です。

「川越スカラ座」で『旅する映写機』を上映した初日に、映写技師の石川直二さんが、「映写技術者免状」を持って埼玉県の大宮から駆けつけました。上映後のトークイベントで急遽石川さんにも登壇願い、お話をしてもらったら、そのお話がとても興味深く、魅力的な表情に「これは撮らなければ」と思ったのが始まりだそうです。方針も何もないまま、石川さんのご自宅を訪問し撮影をスタート。台本もないまま芋づる式の撮影を重ねていくうちに、映像が時代ごとにどのような形で使われてきたのか、ということにも関心が深まったのだそうです。

ありがたいことに、この作品には当館も登場します。初めておもちゃ映写機をご覧になったのは、当館がまだ誕生していない2014年8月「鎌倉市川喜多映画記念館」の子ども向けワークショップを撮影されたときのこと。貸し出し中のおもちゃ映写機を参加している子ども達が興味深く触れていたのを目にされました。その2年後の2016年12月4日エッセイスト武部好伸さんの講演「映画の渡来、120年目の真相~日本の映画発祥地は京都ではなく、大阪だった~⁉︎」を開催した折りに、映画発祥にまつわる話が聞けると撮影に来てくださいました。

これは、その時の様子。一番後ろに立っておられるのが森田監督です。この時は、武部さんのお話が面白いので、みんな笑顔。

講演会が始まる前に、たまたま見学に来られたお客様に、おもちゃ映写機について説明をしてくださっている森田監督です。『まわる映写機 めぐる人生』には、手回し映写機を操作し、映画の仕組みを説明する連れ合いが映っています。シャッターが外に付いているおもちゃ映写機だと、より一層映写機の仕組みが分かるので、「映写機の仕組みと人間の目との関係がよく分かって、これは良いなぁ~と思いながら撮影をしました」と、ブログで書いて下さっていることに今頃気付きました。

この作品には、映写技師、自主上映会のベテラン、若い人たちの挑戦まで“映画を映すことに心を傾けた人”が次々登場します。この作品をもって、映画に対する思いに溢れた三部作は完結します。ぜひ、この機会にご覧頂きたいです。

午前中は毎朝10時半から、大阪芸大映像学科歴代学生映画を上映していますので、午後から3作品一挙上映となれば、時間的に入れ替えの難しさもあります。それで、恐縮ですが2日間にわたって上映することにしました。

15日は13時から、1作品目の『小さな町の小さな映画館』。その後、16時から2作品目の『旅する映写機』を上映します。

16日も13時から、3作品目の『まわる映写機 めぐる人生』を上映します。

各作品1000円(入館料込)ですが、3作品通しでご覧頂く方には、当館特製の戦前のアニメーション「底抜けドン助」をあしらった利き酒お猪口を1個プレゼントします。

参加して下さる方は、どうぞコロナウイルスに感染しないよう、道中くれぐれも気を付けていらしてください。入場の際は、マスク着用、手指消毒と検温にご協力をお願いします。消毒や換気に気を付けて安全最優先で行います。よろしくお願いいたします。

【4月23日追記】

病気療養中の森田惠子監督は、4月22日23時、病院にてご家族に見守られながら黄泉国へ旅立たれました。この上映会を楽しみに何とか永らえて欲しいと願っていましたが、とても、とても残念です。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。合掌

葬儀は、4月27日(火)11時半、埼玉県さいたま市大宮区大成町にある曹洞宗の寺院「普門院」で、近親者のみで執り行なわれるそうです。喪主はご長男の東條大介様です。

 

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