「京都ニュース」No.1 昭和31(1956)年
〇 夏は招く
〇 ニュースフラッシュ・市民憲章強化月間
木村チヨ(参議院京都地方区候補)葬儀
祇園祭まであと1ヶ月
〇 食べものに御用心
〇 比叡山ロープウェイ開通
〇 特報 第4回参議院議員選挙
若人たちの太陽の季節が来ました。晴れ上がった青空、くっきり浮かぶ三角帆、若人たちの青春は、夏から生まれます。
エンジンの音も軽やかなスクーターは、スピードもスリルもあり、今の若人たちの感覚にピッタリマッチして、今年の夏の流行の一つになりそうです。
七月は、市民憲章普及月間。私たちの京都を美しく豊かにするために、皆様により深く市民憲章を理解してくださいと、去る一日、13台の宣伝カーを動員、市中パレードが行われました。
参議院京都地方区、唯一人の婦人候補者木村チヨさんは、去る7月2日午前6時20分、心臓病で死亡されました。その葬儀が4日午後1時から駆け付けた関係者でしめやかに行われました。昨日までの選挙事務所には、チヨさんの遺骸が静かに横たえられ、流れる読経の声は、闘い半ばで倒れた木村候補に同情を呼びました。
祇園祭をあと近日に控え、四条通りにお囃子の音が流れ始めました。これは各町内が祭に備え、競って練習を始めたもので、揃いのゆかた姿も清々しく、打ち出す鉦や太鼓の音は京童(わらべ)を華やかに祭りへ招待します。
暑さと共に、伝染病シーズンが近づき、ただ今、衛生局では、その対策として食品衛生指導に大わらわです。夏の伝染病は、口からと言われます。衛生設備の整った店には必ず「秀」のマークが出ています。伝染病は自分だけでなく、市民全般の迷惑となります。市民一人一人が、十分注意して、このいやなサイレンの音を京都から追放しましょう。
京福電鉄、叡山ケーブル終点から比叡山頂上までのロープウェイが12年振りで復活、7月5日、その開通式が行われました。3本のロープで運行される車体は、定員31名で、現在日本最大のものです。これでいままで30分も歩いて登らなくてはならなかった山道を、終点までわずか3分で、びわ湖、京都市内、遠くは大阪、日本アルプスなどが一望に見える、海抜840mの比叡山山頂に行けるようになったわけです。この日、祝賀式場に集まった在洛名士も、これは便利と大満悦。これで京都に、名物がまた一つ増えたわけです。
第4回参議院選挙の投票は、8日午前7時から全国一斉に開始されました。この日は全国的に好天候に恵まれましたが、京都市は4割2分3厘という投票率です。前回を上回ってはいますが、まず、中くらいの成績というところでした。府下は午前7時半から即日開票に移りました。明けて9日、午前8時からは市内が一斉に開票されました。午前中に早くも大勢が結審、結局、社会党の藤田藤太郎さんが、21万4652票、自由民主党の大野木秀次郎氏が20万8,952票で当選と決まりました。開票ごとにどっと歓声があがる両陣営です。