「京都ニュース」No.3 昭和31(1956)年
〇 消防腕くらべ
〇 ニュースフラッシュ・宝池花火大会
納涼能(円山音楽堂)
大文字(鴨川納涼床)
〇 特集 靖国の遺児 東京え
〇 カメラルポ 暴力追放、楊枝刑事部長
京都市消防局では、去る8月1日、猛暑の中に、消防技術研究会を開催しました。これは各消防署が日頃研究している技術をこの日発表したもので、消火法、水防法などが、連日36度の島津工場横広場で終始熱心に行われました。
特に油に対する消火実験では、直径5mの火柱が黒煙とともに上がり、見物人も汗びっしょりでした。
第3回宝ヶ池花火大会が29日夕暮れの宝ヶ池池畔で火の祭典を繰り広げました。この日、12台の仕掛け花火と間断なくあがる打上げ花火の音は、山々にこだまして夏の夜を七色に彩り、10万の観衆はただうっとりとしていました。
8月1日から3日間、円山音楽堂で市民納涼能が行われました。涼しい屋外でのこの能楽の夕べは、京都観世流能楽師全員出場という豪華なもので、浴衣掛けの市民で賑わいました。
行く夏の掉尾を飾る大文字五山の送り火は、16日8時過ぎから、例年の通り相次いで点火されました。今年は平安の鐘を合図にネオンも消され、一段と京情緒豊かな眺めでした。
今次の大戦で父を失った靖国の遺児の6年生500名が、まぶたのお父さんに対面するため、去る9日、上京することになり、出発に先立って市長の挨拶を受けました。この日、子ども達を見守るお母さん達の目には、過ぎにし日々が蘇っていることでしょう。午後4時2分、京都発の特別列車が1番ホームに入ると、見送りに来た家族達と別れを交わす遺児の心はもう東京へ飛んでいます。
翌10日早朝、東京着。憧憬な町。靖国神社の社頭へ。まず拝殿でお祓いを受け、代表の「父に捧げる言葉」の朗読があって、雅楽が流れる本殿へ上がりました。 さらに11日は、東京都内をバス見学、この年の靖国神社参拝旅行も無事終了しました。
京都からあらゆる暴力を追放するため、去る8月7日午前5時30分、村井本部長指揮の下に、京都府警本部では、一斉検挙を行い、特飲街・繁華街など日頃の暴力温床地帯を急襲、236名を検挙しました。暴力犯罪がはびこるのは、被害者が後難を恐れ、届け出でを怠るためです。府警本部では、この種犯罪を根絶するため、目下徹底的取り締まりを行っています。
七条署では、ジープ広報車で、特飲街で呼び掛けています。
また、3名1組で、対暴力班パトロール十数組が、毎夜出動、職務質問などで徹底化を期しています。また、8日には委員会を開いて、民間側の協力を求め、石川京福電鉄社長がその会長に決定しました。
楊枝刑事部長は暴力取り締まりについてその決意を、「またお礼参りを禁止する特別の方法をとっておりますので、皆さんは後難を恐れずに届けて下さるようお願いいたします。」