おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2017.07.17infomation

8月5日、研究発表「映画の著作権を考える」と参考上映『末っ子大将(暴れん坊大将)』

昨年11月13日以来、ずっと頭から離れない悩みを抱えていました。それは、その日上映予定だった『末っ子大将(暴れん坊大将)』が私の所為で上映できないままでいることでした。

11月14日はこの作品の脚本を担当された依田義賢先生の命日でもあることから、その前日に上映を企画しました。その経緯につきましてはこちらをご覧ください。そこに今回のテーマである孤児著作物としての『末っ子大将』について書いています。

いよいよ上映当日となって準備している最中に、原作者の村田さんが孤軍奮闘して漸く文化庁裁定制度を利用して再配布するために制作されたばかりのDVDを、大切に思うが故に紛失を恐れて、無知な私は盤面に所蔵印を押してしまったのです。そのインクは特殊なものだったが故に消すことができず、盤面を汚したまま、今日に至っています。悔いても悔いてもどうにもならない愚かさ。

上映を楽しみに来てくださったお客様、そして監督の木村荘十二について講演して下さった鷲谷花先生には、本当に申し訳ないことをしました。結局同じ依田先生脚本の『僕らの弟』と木村荘十二監督の『海軍爆撃隊』を無料上映して、お詫びしました。その顛末についてはこちらで書きました。

先日今回のチラシを同封して、改めて謝罪の手紙を原作者の村田さんにお送りしました。本当は経験者としてお話を聴かせていただければ一番いいのですが、遠方ですし、高齢でもありますし、難しいかもしれません。

今回登壇いただく弁護士の数藤雅彦先生は、今年『映画の孤児著作物のデジタル利用に関する法制度報告書』を出版されたそうですから、村田さんの事例のようなケースをわかりやすく解説していただくのに最適な方だと言えましょう。

その数藤先生を紹介して下さった松山ひとみさんは、現在は大阪新美術館建設準備室のアーカイブス整理に携わっておられますが、それ以前は東京国立近代美術館フィルムセンター研究員として、今公開中の「日本アニメーション映画クラシックス」の開設を担当されました。今年3月23日に松山さんが図書館に関する情報ポータルに書かれた文章「『日本アニメーション映画クラシックス』の公開について」をネットで知りました。その文章の最後に「権利者不明等による理由から公開することができなかった作品も残る」という文言に、村田さんの事例を重ね合わせながら読みました。

昨秋の失敗もあって、ずっと難解で厄介な「著作権」「孤児映画(オーファン・フィルム)」について分かり易く話して下さる方を探していましたので、松山さんの仲介を本当に喜んでいます。

その松山さんとは、今年4月23日に開催した国産アニメ誕生100年「凸坊新画帖からアニメへ」の時に初めてお会いしました。当日朝「参加希望」のメールを受け取った時点では気付いていなかったのですが、終了後の懇親会で、「『日本アニメーションクラシックス』の公開について」を書かれた方だと漸く気付きました。随分驚き、出会いに感謝しながら、厚かましくも今回掲げたテーマで研究発表会をして欲しいとお願いしました。

愈々それが来月5日に実現します。興味をお持ちの方もたくさんおられると思います。会場が狭いので、予約受付で先着30人とさせていただきます。そして、昨秋から「いつ『末っ子大将』上映するの?」と楽しみにしてこられた皆さま、お待たせしました。再配布されたDVDは残念ながら届きませんでしたので、神戸映画資料館の安井館長さんにお願いして借用し、日頃からお世話になっている石井義人さんに16㎜映写機で上映していただきます。

暑さ厳しい中ではありますが、皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げます。

記事検索

最新記事

年別一覧

カテゴリー