おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2019.04.30infomation

5月26日「沖縄の8ミリ映画(デジタル版)上映会~市民が映した沖縄の戦後史~」

沖縄アーカイブ研究所と㈱シネマ沖縄の映像提供を得て、5月26日(日)13時半から、第2回「沖縄の8ミリ映画上映会をします。2017年9月8日に開催した第1回の時は、フィルムでの上映もしたのですが、今回はデジタル版でご覧いただきます。2017年の時は「集まったフィルムは50時間を超えました」とチラシにありますが、今回のチラシでは「111時間を越えた」となっていますので、着々と貴重な映像の収集と保存が進められていることがわかります。

第1回目の時は元国会議員の野中広務さんも見に来て下さってびっくりしました。戦争経験者の野中さんは一貫して反戦を訴え、弱者に対する眼差しを大切にし、最後まで沖縄に寄り添う心を持ち続けておられました。後日秘書の方にお聞きしたところ、沖縄戦前後の様子をもっと見られると思って参加されたようですが、真喜屋さんたちが沖縄の映像を残そうと努力しておられる様子に感心されていたそうです。

出演は、映像作家で8ミリフィルムを収集して保存し、上映する活動をされている真喜屋力さんと絵画と音楽で活動しておられる奥様のしほさん。当日は、力さんの活弁解説としほさんの生演奏付きで上映します。トランペットの音色は当館初の試み。どのように響くのでしょうか。沖縄の地域映像だけでなく、せっかく京都で開催するのだからと、沖縄の人々が旅行で訪れた折りに撮影した祇園祭や’70年大阪万博の様子を記録した映像も初披露して下さいます。どうぞ、お楽しみに‼

先着30名で予約優先。参加費は1000円(大学生と当団体正会員は800円)で入館料込みです。終了後に懇親会(500円)もございますので、ぜひご一緒にどうぞ‼

さて、こちらは立命館大学国際平和ミュージアムで6月29日まで開催中の「よみがえる沖縄1935」です。2日前の27日には座談会&ギャラリートーク「ネガ発見秘話と記者たちの思い」が開催されたばかり。2013年のことですが、1935年に大阪の朝日新聞記者が沖縄で撮影し、「海洋ニッポン」の題で連載(1935年7月に全10回)した折りの取材記録と277コマのネガが同新聞社で見つかりました。その写真を手掛かりに沖縄タイムスの堀川幸太郎記者が約1年を費やして160人に取材されたことも27日のトークイベントで話題に上がったようです。

沖縄戦で多くの建物や資料が失われてしまいましたので、市井の人々の生き生きとした日常の生活がそのまま記録されている写真は、往時を知る貴重な資料となります。一方で、4月7日付け京都民報に寄稿された田鍬美紀・同ミュージアム学芸員さんの文章からは、写真から見える別の視点提示も。

「(略)沖縄連帯区司令部が作成した文書では『国体』への帰属意識が薄いとされ、固有の風俗、言葉をもつ沖縄の人々に対しての偏見をうむことにつながった(略)。昭和恐慌以降の砂糖価格の暴落によって、『ソテツ地獄』と呼ばれるまでの貧困にあえぐ状況にあったにもかかわらず(略)、サトウキビ畑で青年たちが集団で夜間作業する姿は、青年団が国家のため生産力向上に努力していることを強調している。また尋常小学校で『世界に広がる糸満人分布』地図を前に子供たちが並ぶ様子は、糸満の漁師たちが海外で活躍している様子を通して、日本が南洋諸島へ植民地を広げていく南進政策を宣伝している。『海洋ニッポン』という連載自体も、国策宣伝の要素も兼ねていた。何気ない日常の中にも、人々が戦時体制へと徐々に組みこまれ戦争へとつき進む社会の不穏な空気が潜んでいるのである」と。

ふと、野中さんがご覧になりたかったのはこうした写真だったかもしれないと思いました。

あいにく立命館大学国際平和ミュージアムは日曜日休館でした。良ければその前後にご覧いただいて、5月26日13時半、当館で戦後の沖縄を市井の人々が記録した映像をご覧いただければ幸いに存じます。

折しも、今日は平成最後の日。災害が相次いだ平成時代でしたが、戦争がない時代であったことは誠に幸いです。新しい令和の時代においても、戦争のない平和な時代であって欲しいと心から願います。

 

 

 

 

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