2019.10.03infomation
京都国際映画祭2019 アメリカのサイレント・コメディ映画特集のご案内
今回も喜劇映画研究会新野敏也さんの解説付きで、楽しくサイレント・コメディ映画の勉強をしながら映像拝見と参りましょう。
先ずは10月19日13時50分から「ローレル&ハーディ特集/コンビ芸の美学」ということで、『リバティ』(1929年)。
今年、日本でも公開された伝記映画『僕たちのラストステージ』で人気再燃の極楽コンビ=スタン・ローレルとオリバー・ハーディによる無声映画期の傑作短編です。のちの名匠レオ・マッケリー(『我輩はカモである』『我が道を往く』)とジョージ・スティーブンス(『シェーン』『ジャイアンツ』)が若き日に作りました。
「今回の上映は製作当時の貴重な音楽伴奏版フィルムを使用しているので、オリジナル音源で楽しめます。絶望と危険が織りなす、予測不能な悪夢の展開、男二人の妖しい距離感をお楽しみ下さい♪」とは新野さんの弁。
もう1作品『ミュージックボックス』(1932年、ジェイムズ・パロット監督)は、破壊と不条理に満ちたドタバタ喜劇。しつこいほどのボケとツッコミの繰り返し。それは、ヒステリックでシニカル、かつ暴力的ながらも、ツイ笑ってしまう展開で、こういった作風は好きか嫌いかに二分されてしまうのかもしれません。「好きな人にはたまりませんなぁ」という感じでしょうか。同年のアカデミー最優秀短編映画賞を獲得しています‼ 神業とも言える天才的な反復ギャグ、コンビ芸のリズム感をご堪能下さい!
当日は、現役最高峰の道化師コンビ、ロネ&ジージがローレル&ハーディの演技、タイミング、呼吸法を検証するほか、なべおさみさんも登壇‼ 想像するだけでも賑やかなステージになりそうです。
続いて、19日16時20分から「努力と勇気のハロルド・ロイド」ということで、喜劇王ロイドが、欧米で最大ヒットを飛ばした『福の神』(1926年、サム・テイラー監督)を上映します。しかも今回上映するのは、喜劇映画研究会が発見したプライベート版‼ 新野さんによれば、劇場公開~近年のブルーレイまでのバージョン(ハロルド・ロイド財団版)と比べると、カメラ・アングルや演技の違う別バージョンなのだそうです。
なぜ、これが存在するのか、製作の背景などを考察してお話ししていただけると思います。のちにジョージ・ミラー監督が『マッドマックス 怒りのデス・ロード』創作の参考にしたとされるアクションは必見です!22コマ映写。大森くみこさんの活弁と天宮 遙さんの生演奏でご覧いただきます。
20日14時から、もう一つハロルド・ロイドの作品から『猛進ロイド』(1926年、フレッド・ニューメイヤー監督)を上映します。ロイドが自ら興したプロダクションで作った第1作。ハロルド・ロイドとジョビナ・ラルストンが共演する純愛ドラマと爆笑コメディの融合に挑んだ野心作。細やかな心理描写、印象派の絵画を想起させる画面構成、そして驚愕のアクションなど、見どころ溢れる傑作です。22コマ映写。サイレント映画の第一人者、柳下美恵さんの生演奏でご覧いただきます。
いずれも会場は大江能楽堂で。
同能楽堂では、19日19時から「活弁でGO!」も開催します。今年も立川直樹さんと片岡一郎さんプロデュースで、片岡さん、なだぎ武さん、トットさん、堀川絵美さんが活弁に挑戦します。素材には当館が保存と活用を訴えている「京都ニュース」も使用されますので、懐かしい京都の映像をご覧になりながらお楽しみいただければと思います。演奏は鳥飼りょうさんと天宮 遙さんです。
各回前売り1000円、当日1200円です。詳しくは京都国際映画祭2019公式サイトをご覧下さい。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。