おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.06.03infomation

影絵アニメーションの先駆者ロッテ・ライニガー没後40年記念「影絵展」開催中‼

6月2~27日まで、影絵アニメーションの先駆者ロッテ・ライニガー没後40年を記念して「影絵展」をします。先月30日に終えたばかりのペン画展と入れ替えに、影絵アニメーションの世界を創り出しました。

具体的に光と影の世界をご覧頂こうと、ライニガーの手法を用いて影絵アニメーションを創作されている河野亜季さんにご協力いただきました。30日の飾り付けには、同じくアニメーション作家渡辺栞さんもお手伝い。お二人には、「アニメーション・パレット」の上映会や「東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻立体ゼミ伊藤有壱先生とゼミ修了生有志による立体アニメーション展」(2019年3月23日~4月7日)の時に知り合いました。

河野さんの作品は、とても色彩が美しいという印象があります。今回実際に作品で用いた人形を飾っていただいたのですが、想像以上に小さくて、繊細な造形です。関節を動かす金具も小っちゃい。

背景に使う和紙やセロファンなどの色や素材を替えると、雰囲気が異なりまた違う表現に。自分が描きたいものを照明も含めて、突き詰めながらひとコマずつ根気強く、丁寧に。

今日見学に来て下さったトバイヤスさんは、本業が車のデザインだそうですが、アニメーションも作っておられてアメリカのテレビでも流れているそうです。そんなこともあって、展示をとても興味深くご覧頂きました。今回の展示用に連れ合いが手作りした線画台擬きを上から覗いておられます。

4層にした線画台(マルチプレーン・カメラ、多層式撮影台)の上から覗くと、このように見えます。人形は河野さん手作りで、ロッテ・ライニガーの『シンデレラ』の一場面。ぜひ、皆さんも上から覗いてみて下さい。撮影もできます。

ロッテ・ライニガーは、ウォルト・ディズニーやアブ・アイワークスより10年も前にマルチプレーン・カメラを使用しました。今回「Nachlass Lotte Reiniger, Stadtmuseum Tübingen」(チュービンゲン市立博物館)から、ロッテ・ライニガーがカール・コッホ(ライニガーの夫)や助手のヴァルター・テュルクとアレクサンダー・カールデンと一緒に、マルチプレーンで作業している写真をお借りして展示しました(チラシに掲載)。同博物館にはライニガーの多くの資料が保存されていて、ドイツの無声映画演奏家ギュンター・A・ブーフヴァルトさんとドイツ在住の山下さんのご尽力で借用することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

そもそも今回の企画は、山下さんがいつも買いに行くパン屋への道すがら、中央に写る建物の1階壁面にあった一枚の青いベルリン記念プレートに目が留ったことから始まりました。

ここでロッテ・ライニガーが生を受けたのだそうです。「へぇ~」と思って、SNSで山下さんがupされたプレートの写真をシェアしたところ、「今年はロッテ・ライニガーの没後40年ですね」とフィルムコレクターの三品さんが書き込んでくださいました。ロッテ・ライニガーの作品は以前映画祭で上映したことがありましたから、「それなら6月に影絵アニメーションの展覧会をしてはどうか」と河野さんに持ちかけて、今回実現した次第です。

シンデレラコレクターとしてギネスブックに認定されている川田雅直さんにも、直ぐに協力をお願いしました。ライニガー命日の6月19日に河野さんに講演「現代における影絵アニメーションの作り方~ロッテ・ライニガーの手法を用いて~」をして貰うとき、参考に2種類の川田さん所有『シンデレラ』を上映します。1922年のちょっと残酷な場面が登場するグリム童話『灰かぶり』原案版と1954年シャルル・ペロー『サンドリヨン、あるいは小さなガラスの靴』原案版。後者は1950年にディズニーが作り大ヒットしたアニメーション映画『シンデレラ』の原案になったので、多くの人がご存じのお話。両作品の違いをお楽しみ下さい。演奏は天宮遙さんにお願いしました。

川田さんからは『シンデレラ』などが所収されている絵本や、1920年代と60年代にドイツで作られた素敵な切り絵フレームもお借りして展示しています。

影絵繋がりで、今年3月上旬に亡くなったアン・ヘリング法政大学名誉教授からいただいた幻燈機用ガラス種板『カチカチ山』(12枚組)と下掲「志ん板うつし絵」も展示しています。

行燈や蝋燭しか照明がなかった江戸時代の文政期から明治にかけて「うつし絵」が流行しました。展示しているのは明治17(1884)年のもの。

〇の中に、コマ絵を写して往時の子どもたちのように、試してお楽しみください。

ロッテ・ライニガー命日の6月19日の講演会は、河野さんの作品も見せて頂きながら、影絵アニメーションの専門的なお話もしてくださる予定です。小さいお子さんにも楽しんで貰えるようプログラムを組んでおりますので、お楽しみに‼コロナの感染拡大状況も気になりますので、定員はいつもの半分の15名です。既に申し込みがありますので、ご覧になりたい方はお早い目にどうぞ‼

 

 

 

 

 

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