2021.11.09infomation
12月は95年前のペン画で甦る『(実録)忠臣蔵』展 PartⅡ
素敵なチラシができました‼ この夏インターンシップに来てくれた京都芸術デザイン専門学校1年松田侑己君と直木稚夏さんの作品です。
今の若者は「チャンバラ」という言葉を知らないようで、以前腰に玩具の剣を差した近所の男の子たち(このこと自体が珍しくて)が遊びに来てくれたときに聞いたら、逆に「チャンバラって何?」と尋ねられてしまって。。。人気の『鬼滅の刃』の波に乗って、死語となりつつある「チャンバラ」の復活を願いたいもの。
昔なら「この印籠が目に入らぬか!」の決め台詞がスカッとする長寿番組『水戸黄門』シリーズや、年末恒例時代劇もあって、子どもたちが「チャンバラごっこ」に興じるのは普通の光景でしたが、今はそういう番組もほとんど見かけなくなっています。
若者にも、日本が誇る「時代劇」を見て貰いたいし、知って貰いたいと思い、若者代表でもある松田君と直木さんに、『忠臣蔵』がどういう作品かを伝え、映像や12月に展示する芹川文彰さん(1911ー84年)が15~17歳の時に描いたペン画(実物)を見て貰いました。
彼らが面白いと思ったままをチラシにデザインしたら、時代劇に興味がない若者も振り向いてくれるのじゃないかと思い、職場体験の仕事にお願いしました。
チラシ表面中央の2人の侍を描いたペン画と裏面のペン画は、無名のままに熊本県山鹿市で一生を終えた芹川さんが、15歳の時に熊本県内の映画館で観た尾上松之助最晩年の主演作『(実録)忠臣蔵』(1926年)を見て描いた作品の一部です。ビデオもDVDも何ら参考にする資料がない時代にあって、映画館で観た記憶だけで、全巻の中から約500コマの場面をペンで描き切っておられます。画力の凄さはもちろんですが、記憶で最後まで描き切ったことに驚愕します。チラシに用いたペン画は、この500コマの中から、松田君と直木さんが選びました。
チラシ表面の若い侍のイラストは松田君がタブレットで描きました。ミュージアム所在地は京都市中京区壬生で、近くに新選組ゆかりの壬生寺、八木邸、旧前川邸、島原の角屋などもあります。丁度今、岡田准一さん演じる土方歳三が主役の『燃えよ剣』が公開中。それを連想してしまう格好良いイラストだと思い、とても気に入っています。
4月1日~5月30日に開催した「ペン画で甦る尾上松之助最晩年『忠臣蔵』展 Part1では、まだ“劇画”という言葉もなかった時代にあって、それを連想してしまうような巧みな描き方をぜひマンガ研究者の方々にご覧頂きたかったですが、コロナ禍で外出がままならない状況が続いたことから叶いませんでした。今は感染者数も減少していますので、ぜひ見に来て頂きたいです。
期間中の18日には、このペン画の元になった『(実録)忠臣蔵』(パテ・ベビー版)を坂本頼光さんの活弁と、天宮遙さんの演奏付きで上映します。本当は4月17日に上映するはずだったのですが、コロナ禍でもあり延期にしました。何故4月に計画したかというと、発端になった浅野内匠頭が吉良上野介に斬りかかった松之廊下の事件が起こったのが、元禄14年3月14日で、現在の暦に直すと1701年4月21日だったからです。
「延期して実施するなら、赤穂四十七士が本懐を遂げた日に」と考えました。彼らが吉良邸に討ち入ったのは元禄15年12月14日寅の上刻。現在の暦に直すと1703年1月30日午前3時半頃(参照https://www.city.ako.lg.jp/kensetsu/kankou/terakoya3.html)。ならば来年1月末にすれば良いようなものですが、赤穂義士祭(今年は規模を縮小して開催)や山科義士祭(今年は中止)は例年12月14日に実施されているので、旧暦に合わせて12月に決めた次第です。裏面イラストには、直木さんがタブレットで描いた男性活動写真弁士さんと女性ピアニストさんを配しています。
なお、今回の活弁上映は、4月にお申し込みを頂いた方を優先して希望を尋ねていますので、残席は僅かです。ご希望に添えない場合があるかもしれませんが、悪しからず、ご了承下さい。寒い季節ですので、来館の際は、できるだけ暖かい服装でお願いいたします。