おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

果てしなき空間の果て / 関口 貢監督作品 2021年3 月10日(水)~14日(日)10:30~

果てしなき空間の果て

1976年度(V3)、関口貢監督作品、16mm、モノクロ、スタンダード、32分

受賞歴(招待上映を含む)

卒業制作展において研究室賞受賞

スタッフ

制作:高根浩明、脚本:関口貢・村山晃、監督:関口貢、撮影・録音:黒瀬政男、編集:山添元晴、復刻版音楽: 天宮遥 

コメント

この作品は今から遡ること46年前の大学卒業制作で仲間たちと作った作品です。当時の私たち世代は学生運動の主役だった団塊世代と比較してノンポリと呼ばれ思想も気力も無い世代と言われていたように思います。

とは言えまだ学生運動の残り火がくすぶっていて、この作品も少なからず影響を受けて社会問題をテーマにしています。

この映画は真っ白い空間の中、色々な設定で空間は変化し内と外、時には母体の中というようにシュールに展開し、未来に来るであろう情報化社会への恐怖や管理され希望さえ奪われる世界、そして内に篭って無気力になって行く世界、そんな怖い世界を描きたく作った作品です。

社会生活の実体験が乏しく頭でっかちな学生ならではの作品です。

ただ半世紀近く経って観て思うのは、作り方は稚拙でも現代の母体回帰とも言える引きこもりや、個人のデータが自由に飛び交うネット社会や、情報過多の世界で何を信じていけばいいのか判らない今の時代に重なるようで不思議な感覚であります。

今回、関係者の尽力により錆びかけていたフィルムが蘇り改めて鑑賞できるようになったことを感謝するとともに皆様にも観ていただけたら幸いです。 (関口 貢)

 

 

1976年度大阪芸術大学映像計画学科卒業制作として創られた本作品は、当時予算の関係などでフィルムに音声トラックを付けていなかったためネガフィルムと録音テープを別々に保管したままとなっていました。

作品の復刻にあたってはネガの状態も決して良好ではありませんでしたが、(株)ヨコシネディーアイエーのご協力によりフィルムの修復とネガテレシネによるデジタル化を行うことができました。

ただ、録音テープの状態はよくなく、特に音楽に関しては創り直す必要が生じたため、サイレント映画ピアニストとして活躍されておられる天宮遥さんに1970年代の現代音楽風の曲をということで作曲と演奏を依頼し、原版の雰囲気を踏襲する形で音楽を復刻させることができました。

大学4年に制作した未熟な作品ではありますが、1970年代の若者や社会の一面を垣間見ることができるのではないかと思います。

若い方々にも是非観て頂きたいと願っています。(黒瀬政男)

「果てしなき空間の果て」の予告編