おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.08.26infomation

講演と上映会:上七軒楓錦会の軌跡ー映画監督石田民三生誕120周年記念に添えて

今年は映画監督石田民三(1901年6月7日-1972年10月1日)の生誕120年で、来年が没後50年の節目を迎えます。主催者は2016年2月20日に石田民三監督生誕115年記念「北野上七軒の芸の継承に貢献した映画監督」に続き、2017年10月21、22日に生誕116周年記念研究発表会「外(よそ)モノの支えた京都花街の芸」でも研究成果をお話し下さった楓錦会の中原逸郎さんです。

ちょうど8月23日付け京都新聞に楓錦会特別公演の案内記事が載っていました。中原さんに確認すると、上掲左の写真が載った本には「楓錦会」の開始は大正2年秋と書かれているそうで、記事で書かれた1921(大正10)年よりも古いようです。9月25日の催しでは、その楓錦会のおそらく現存する唯一の映像もご覧頂きます。

『花火の街』『花ちりぬ』などで知られている石田民三ですが、映画監督として活躍した時期は短く、監督引退後、京都の花街のひとつ上七軒の芸妓と結婚してお茶屋の主人となり、1946年に上七軒芸妓組合を結成し組合長に。1952年に北野天満宮の大萬燈祭に奉納する「北野をどり」を演出・創始するなど上七軒の芸能文化の継承と活性化に寄与しました。

当日ご覧頂く『山まつり梵天唄』は1942年、石田監督が故郷秋田県増田町(現在の横手市)で撮影した作品で、エキストラ出演した地元の人々が映るほか、錦峰山周辺や増田の「内蔵」(2013年国の重要伝統的建造物群保存地区に指定)、麻糸梵天なども映っていて資料的価値もあります。黒川弥太郎、花井蘭子、柳家金語楼、山路ふみ子ほか出演。

また、戦後の石田の重要な活動の一つに戦災孤児への義援金を募るチャリティーイベント「素人顔見世」があり、その記録映像がこのほど見つかりましたので、それもご覧頂きます。京都の師走を彩る南座の吉例顔見世興行は皆さんご存じだと思いますが、その千秋楽翌日に歌舞伎役者の片岡仁左衛門さんの指導を受けた京都各界名士が歌舞伎の演目を演じるのが「素人顔見世」です。石田民三は京都大丸の井上甚之助、京都大学の山本修二(いずれも演劇評論家)と共に発起人に名を連ね、自身も毎年出演していました。

7月の映画『祇園祭』資料展で多大なご協力を賜りました放下鉾囃子方堀真也様から、かつて撮影した8ミリフィルムを見せて貰った中に含まれていました。染色図案界の重鎮で染訪問着図案の大家だったお祖父様の堀紫光さんが、第13代片岡仁左衛門さんの後援会会長だったご縁で出演された「素人顔見世」(1965年12月27日)の様子が記録されています。大変に珍しい映像ですので、ぜひお楽しみになさって下さい。

このように珍しく貴重な映像ばかりですので、大勢の方にご覧頂きたいところですが、コロナの感染拡大が一向に治まる気配がありませんので、定員をいつもの半分の15名に設定しています。ご予約をお待ちしております。

 

 

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