「京都ニュース」No.12 昭和32(1957)年
〇 国際文化観光会館実現へ
〇 カメラの眼・キョウト号入港 スウェーデン船(ローデンバーグ市)ブラットマーク船長
おどりの春 北野、鴨川をどり
市電十号線 開通
たのしい一年生
〇 32年度市予算成立
〇 山火事ご用心 小倉山での防火訓練
〇 伸びゆく京都市 淀町など市編入
京都市念願の国際文化観光会館建設のための審議会の初会合は、17日午前10時から京都ホテルで開かれました。審議会は高山市長のほか、田中自治庁長官(?)、市村(?)前大蔵大臣らの顧問を始め、その他の全メンバーが出席、席上、高山市長は、観光都市にふさわしい立派なものをつくりたいと力説。田中長官も立って挨拶のあと、初の審議に入りました。また、第2回審議会は、4月5日に開かれ、小委員会に分かれて、ただ今、着々審議が進められています
水ぬるむ春の神戸港に、スエーデン船「キョウト号」が入港しました。この船は、この船は1955年10月、スエーデン・ゴーデンバーグ(ゴーセンバーグ?)市で進水し、私たちの京都の名を船名としたもので、今回が初めての日本への寄港です。そこで、高山市長は、ブラッドマーク(?)船長を訪問、スモーキング・ルームで会談しました。席上、ゴーデンバーグ市には、メッセージと共に、狂言の面の模型を、船長には、西陣織のテーブル・センターを贈りました。また、その日、ドイツ神戸総領事館を訪れた市長は、先般、京都市交響楽団にドイツからの楽譜寄贈に多大な協力をした、バルター・ミレンタール(?)氏を尋ねて、謝意を表しました。
桜とともに、京都に踊りのシーズンが訪れました。去る1日からは祇園「都をどり」が開幕です。「みやこをどりは、よーいやさぁ」 今年の演し物は、謡曲「平家物語」。
また、5日からは、上七軒の「北野をどり」が始まりました。
これは、15日から始まる「鴨川をどり」の稽古場です。
三つどもえの踊り合戦に、今日の春の情緒はひとしお深まっていきます。
交通局で今年の初めから工事を進めていた千本今出川と北野紙屋川町を結ぶ0.8kmの今出川延長線が完成、4月3日に開通式が行われました。これで市民の足が一段と便利になったわけです。
今日は楽しい入学日です。良い子たちはお母さんと一緒に、夢にまで見た学校に初めて行きました。6年生のお兄さん・お姉さんたちと「君が代」を歌い、校長先生がにこにこと挨拶されました。それから受け持ちの先生が紹介されて、みんなの仲間入りをしました。
1か月にわたり審議を続けていた予算市会は、31日午後4時53分、異例の日曜本会議を開きました。まず、原水爆実験禁止に関する意見書を決議の後、32年度予算案など29件を上程、普通予算特別委員長報告に、社会党市議団代表、共産党議員団代表からの少数意見の報告があり、6時34分、一旦休憩、8時50分再開、討論に入りました。その後、評決に入り、社会・共産両党の修正案を否決、委員会決定どおり、付帯決議や希望条件を付け、原案が無修正で可決されました。また、事業予算(?)も事業予算特別委員長からの報告があり、社会党市議団からの少数意見が報告されましたが、委員長報告どおり、原案が可決され、午後9時54分閉会、177億32年度京都市予算がここに成立しました。
春は山火事のシーズンというので、ある日、山火事の防火訓練が小倉山で行われました。これは小型搬送ポンプの中継で、どの程度の高さまで放水出来るかという実験を兼ねたもので、急坂(きゅうはん)を署員が額に汗をしてえっちらえっちらと機材をひきあげ、見ている方が気の毒なくらいでしたが、約20分ほどして山頂に水柱(みずばしら)が上がりました。なお、4月10日から、山林火災予防運動中です。
産業都市・京都への躍進を目指して、1日から、久世郡淀町と北桑田郡広河原の市編入が実現しました。この日9時半から、淀・明親(?)小学校校庭では、全校生徒が集合、編入祝賀式を開きました。
また、同校講堂でも、来賓を迎えて祝賀式を開催、席上、高山市長は、編入後の協力を望みました。