「京都ニュース」No.50 昭和35(1960)年

| 目次 | 総時間 | |
| シーズンを前に-観光京都の表情- | 02:33 | |
| トピックス | 消防局消防訓練 | 01:03 |
| 市美大 影絵グループ | 00:58 | |
| こども会 お風呂に入るマナー | 01:24 | |
| 京扇子 | 06:02 | |


1年を通じて京都を訪れる観光客は1000万人。山々に雪化粧を残すシーズン前から続々お客が詰めかけます。お客様を迎えるのに素顔では失礼というわけで、春の観光シーズンを前に、今、京都ではお化粧直しに大わらわです。遊覧バスもフル運転に備えて整備中。車も、バスガイドさんの白魚のような手で撫で回されてご機嫌です。シーズンオフでひっそりしている有料駐車場の看板も、今のうちとばかり塗り替えの真っ最中。

名勝嵐山渡月橋の欄干がすっかり取り替えられ、保津川名物屋形船もスタートラインに並んで待機中というところ。街の土産屋さんでも、稼ぎはこれからと仕入れや模様替えに大忙し。

一方、観光客の憩いの場、旅館側(?)ではサービスに手落ちのないよう、番頭さんから女中さんまで、お行儀の講習会。お茶の出し方やふすまの開け方はもとより、京都の地理や歴史、英語会話まで講習しています。

国際都市のお巡りさんが英語ぐらい話せなければと、府警本部でも普段厳めしいお巡りさんが神妙に英会話の勉強中です。

「...、ディス シジョウストリート」「ザ ヤサカシュライン イズ アット ザ イースト エンド オブ ディス シジョウストリート」外人観光客を迎えて悩みの種はホテルです。国立国際会館も約束され、ますます増える青い目のお客様に備えて、京都ホテル、都ホテルなどでは増築工事に急ピッチ。近づく春の観光シーズンへの序曲を奏でる京都の表情でした。


「トピックス」京都市消防局では、折からの粉雪をついて、右京区栂ノ尾の高山寺でヘリコプターを使った空陸一体の消防訓練を行いました。山林火災や山間部の文化財の消防活動にはどうしても飛行機が必要と、自衛隊のヘリコプターも協力。国宝建造物のある高山寺の庫裏から出火という想定で、ヘリコプターが現場に到着します。

間もなく駆けつけた右京消防署の消防車と協力して消火訓練。付近の山林へ延焼しないよう、ヘリコプターからドライアイスの投下作業も行われました。

京都市立美術大学の影絵グループの学生さんたちは、今、カラーで影絵映画の制作に情熱を傾けています。

まず、若人の夢を乗せて幻想的なストーリーが決まると、ビニール板が色々な形に切り抜かれていきます。

照明や録音はもとより、伴奏音楽も自作自演。全て16ミリのカラーフィルムに収めて、ウィーンの国立工芸大学に送られますが、これは、この2つの大学で近く開かれる学生作品交換展に、京都美大の作品として絵画や彫刻などとともに参加するものです。

京都市内にある沢山の子ども会では、よい風習を育てましょうと、いろいろの話し合いが持たれ効果をあげていますが、ここ下京区の豊園子ども会では、去年の総会でお風呂屋さんでのエチケットを議題に取り上げ、湯船の中に手ぬぐいを浸けないよう申し合わせました。

これではせっかくのお湯も汚れ放題です。これらのよい子たちの声に応えて、校長先生や少年補導委員会でもポスターや看板で一般に協力を求め、いまでは見違えるように清潔なお風呂で入浴を楽しんでいます。豊園子ども会では、全市の子ども会にも呼びかけ、強力にこの運動を進めようと張り切っています。


竹は、古くから日本独特の工芸品としてわたくしたちの生活の中に生きている。その一つ、扇子は、万葉の昔から連綿とその技術が伝えられ、丹波の国のトヨマルという人が初めて末広の扇を作り、天智天皇に奉ったと言われている。扇子の骨は竹がほとんどで、特に山城丹波の真竹が適している。輪切りにされた竹を、小刀と槌を巧みに使って割り揃え、さらに薄く削る。次に、要穴が開けられた後、あてつけにまわる。扇の骨を作るのに一番重要なこの作業は、高い技術を必要とする。数十本をあてつけ台の上で側面から、独特の鑿と包丁で仕上げていく。

さらに、これに磨きをかけ、屋外で日光にさらす。京都の扇骨師は、東山山麓に多く集まり、こうした風景は豊国(※ニュース内では「ほうこく」と発音)神社、博物館前、今熊野あたりによく見受けられる。この後、要打ちなど数々の工程を通り、扇の骨が出来上がる。地紙は、土佐で特別に漉いた上質和紙が用いられる。普通、扇子の地紙は、芯紙の両面に皮紙を貼り合わせて作られる。これは地紙の中心に骨を差し込むため、長い経験から考え出されたものである。現在、この作業を機械化したのがこれで、芯紙を中心に皮紙が自動的に合わされ、日本に1台しかないというもの。地紙が出来上がると、絵付けにかかる。絵付けには、型刷り込み、刷毛引き、版画による絵付けなどいろいろあるが、やはり新しい感覚を取り入れたものが一般に喜ばれている。

絵付けされた地紙は、織屋に運ばれ、最初は地紙に骨を差し込む隙間を空ける。織りは、湿りをつけた地紙に型紙を当てて畳み、折り目をつける。次に骨の差込口を作る。さて、いよいよ最後の仕上げは、仕立て屋の仕事である。地紙の穴を口で吹いて骨を差しやすくし、糊付けされた骨を手早く差し込んでいく。さらに、親骨に熱を加え、形良く仕上げる。この仕事は、扇子作りの中でも熟練を要すると言われ、続いて親骨を糊付けし、帯を付ければ扇子が出来上がる。

こうして作られた京扇子は、夏扇子、舞扇、祝扇、ヤカイ扇など種類も多く、単なる工芸品としてだけでなく、伝統産業として全国の60%を生産。国内にも多く移出されている。



