2017.10.25infomation
チャーリー・チェイス主演の失われた作品『WHY MEN WORK』の一部を発見‼
京都国際映画祭2017で、14日18時~19時半、大江能楽堂で開催したプログラムは、よしもと芸人による「活弁グランプリ」。課題として上映したのは当館のフィルムです。その様子について映画祭事務局レポートは、こちらをご覧ください。そのいくつか上映した作品の中から、その直前のプログラム「伝説のコメディエンヌ~喜劇の女王 メ―ベル・ノーマンドPart1」で解説を担当されたクラシック喜劇研究家いいをじゅんこさんが、貴重な映像を見つけてくださいました。いつも思うことですが、見るべき人がご覧になると、いろんなことが明らかになるものです。
その作品の日本でのタイトルは『キゲキ・キャメラマン』。わずか53秒で、35㎜のおもちゃ映画です。プログラムをご覧になっていた彼女が「今まで見たことがない映像」だったことから、知り合いのスティーブ・マッサ(Steve Massa)さんに問い合わせて映像を見てもらったところ、『WHY MEN WORK』(1924、監督:レオ・マッケリー、主演:チャーリー・チェイス)と確定しました。現在では失われているとされていた作品の一部が発見されたということで、以下に転載しましたように、すぐに世界の無声映画ファンに発信され、拡散されました。
彼女によれば「チャーリー・チェイスはまだまだ見つかっていない作品が多くて悲しいですが、研究はかなり進んでいて、フィルモグラフィーはほぼ完全になっています」。さらに驚いたのは、『WHY MEN WORK』は、『ヒューゴの不思議な発明』(2011年、アメリカ。マーティン・スコセッシ監督初の3D映画。同年アカデミー賞で撮影賞、美術賞など5部門受賞)の劇場シーンで、ポスターが使われていたことです‼ マーティン・スコセッシ監督が、チャーリー・チェイスへ敬意を込めて用いられたのでしょうか。
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いいをじゅんこさんが主宰されているFacebookのサイト「サイレント喜劇のすばらしき世界」10月19日付け記事から転載。
サイレント喜劇ファンのみなさん、ビッグニュースです!チャーリー・チェイス主演の失われた作品の一部が京都で発見されました。幸運にも発見に関わらせていただくことができました。
見つかったのは、1924年制作『WHY MEN WORK』のクライマックスシーンの一部。レオ・マッケリー監督の一巻物で、おもちゃ映画ミュージアムが35ミリフィルムの玩具映画として、53秒のフッテージを所蔵しています。
玩具映画とは、家庭で映写して楽しむために市販されていた短いフィルムのこと。その性質上、極めて短い尺しかないのは残念ではありますが、ごく一部でも発掘できたのは、自分で言ってしまいますが、快挙。しかも、「第4の喜劇王」とまで言われるチャーリー・チェイスの作品なのですよ!これが興奮せずにいられるでしょうか。
映画の中で、チャーリーはニュース映画のカメラマンを演じています。飛行機に追っかけられたり、逆にバイクで飛行機を追っかけたりと、珍追跡を繰り広げ、最後には乗っていたバイクごとビルに突っ込んだところで「をわり」のクレジット。
*重要な追記!:最初に映像を観たのは、15日まで開催されていた京都国際映画祭の「芸人活弁グランプリ」のプログラムでした。芸人さんたちが無声映画のクリップを観ながら活弁に挑戦する!という企画の第二回。審査員は片岡一郎さん、伴奏を鳥飼りょうさんがつとめ、すごく盛り上がりました。あの場にいたみなさんは(わたしも含め)、はからずも超貴重な映像を目撃していたわけです。ダイノジさんがチャーリー・チェイスのことを「のちにチャーリー浜のお父さんになる人!」と言ったのは大爆笑でしたww
最初に映像を観た時、「チャーリー・チェイス主演作なのに詳細不明はあり得ない」と直感して調べてみたところ、『WHY MEN WORK』ではないか、とほぼ確信しました。ところがさらに調査すると、この作品はフィルムが失われているいわゆる「ロスト・フィルム」だとわかり、びっくり仰天。片岡一郎弁士が発掘した『ペギーのお手柄』の特定にも関わったSteve Massaさんに画像を送ったところ、確かに『WHY MEN WORK』であると確認が取れました。
Steve Massaさんが一足先にフェイスブックで情報公開するやいなや、世界中のファンや研究者が狂喜してくれています。このような発見に関わったのはわたしにとっても初めての経験で、少しでもクラシックコメディの神様に恩返しができたかな、と感慨無量であります。
しかも、なんと明日10月20日はチャーリー・チェイスの124回目の誕生日!幸運な巡り合わせに、心から感謝です。
フィルムを所蔵し、調査を許可してくださったおもちゃ映画ミュージアムのみなさまに、深く御礼申し上げます。
作品の詳しい紹介、特定の経緯などは、また後日ご報告いたします。
〜いいを
サイレント喜劇のすばらしき世界(The Wonderful World of Silent Comedy and more)(10月20日付け記事から転載)
もちろんちゃんとフランス語版ポスターになってます。
Pourquoi Homme Travaillent = Why Men Work
よーく目をこらすと、キートンの『大列車追跡』のポスターも見えますね。
〜いいを
ひと足早く世界発信して下さったSteve MassaさんのFacebookの記事も転載(10月18日付け)
Grateful thanks to Film historian, author and fellow Chasephile Steve Massa for sharing the happy news.
いいをさんによれば、スタンさんは有名なアーキビストで、チャーリー・チェイスの大ファンだそうです。チャーリー・チェイスの1分にも満たない短い映像が見つかったことが、世界中を駆け巡った出来事に、ポカンとしているのは当時者である私どもかもしれません。ひょっとしたら、まだ気付いていないだけで、世界のお宝映像がまだ眠っているかもしれませんね。お楽しみは、これからということで。