おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2019.04.03infomation

渡部 眞・名古屋学芸大学教授の「第12回映画の復元と保存に関するワークショップ」のノート②

第12回「映画の復元と保存に関するワークショップ」(2017年、3日目)

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柳下美恵氏(サイレント映画ピアニスト)

常石史子氏(フィルムアルヒーフ・オーストリア)
村川英氏(城西国際大学・映画評論家・映画史)
松戸誠氏(株式会社マツダ映画社)
 
村川氏;成瀬巳喜男発見
東京国際映画祭での映画の復元(発見)
新潟の岡山氏が持っていたコレクションが下の写真
映写機が壊れたことをきっかけに蓮實重彦氏などがチェックに行き、小津の最初期の作品を見つけた。
 
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松戸氏;雄呂血(阪妻プロ最初の作品)弟子が語っていた伝説を息子の田村高廣氏に聞いた。阪妻が死んだ時は客が写真を持って行ってしまったので、不明。大阪の人が持っているが病気で亡くなり、遺族が譲ってくれた。それはオリジナルネガ。それを松戸の父が譲り受けた。阪妻の命日(7・7)に共立講堂が偶然空き、公開した。超満員。
(雄呂血の上映)
ボローニャの復元映画祭
早稲田松広先生
村川氏;サイレント映画も現代映画としてみなさい、と学生に伝えている。サイレント映画は映画の宝庫である。初々しさ。フランスのメリエスのシナリオをもとに現代作家に作らせたら、メリエスの方に評価が高かった。
松戸氏;古い新しいは関係なく子供は面白がる。
常石氏;齋藤寅次郎の喜劇が残っていない。オーストリアの「喜びなき町」(2時間、弁士坂本頼光)をDVDにしたらフィルムと長さが違っていた。「メトロポリス」もアーカイブで散逸したものをヨーロッパで修復したら、直後にアルゼンチンで完全版が見つかった、という悲喜劇。
(齋藤寅次郎の豚の話を上映)
常石氏;「斬人斬馬剣」の話。9.5mmのパーフォレーションは真ん中にあるので、フィルム巾をほぼ全部使える。「斬人斬馬剣」は、1929年製作・公開、伊藤大輔監督による日本の長篇劇映画である。サイレント映画、剣戟映画である。現存しないフィルムとされてきたが、2002年にフィルムの一部が発見され、復元された。
22mm,17.5mmのゲートを作ったハーゲフィルムの話。
ロブスターフィルム(仏)はコレクターが探してきた「ユダのいない町」(反ユダヤ主義に対抗する映画)の復元をクラウドファンディングしようと立ち上げた。900万円位の額が集まった。ここで450ユーロ(5万円)寄付してくれたら、ワークショップをしてあげる、としたら6人の申込みがあった。別にユダヤ関連の人ではなく、純粋にリストレーションに参加したい人たちであった。
村川氏;飯島正さんの話。
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ヨコシネDIA 清水禎二氏
AuroraS 可搬型フィルムスキャナー
最大4K
16mm,35mm,NEGATIVE,
コンパクトで出張してスキャンする。
デジタルビュアー(手巻き式でのビュアー)イマジカのテテレではない(笑)
日本映画テレビ技術協会 吉野香子さん
70周年記念企画「アーカイブシンポジウム」11・13日(木)14;00-18;00
10月号に座談会を記載したので見て欲しい。
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セッション3 
「フィルムラボの技術継承」
郷田真理子氏 (IMAGICAウエスト)
1915年代は穴の空いたバンドでプリンターをコントロール
1930年代からプリンターコントロール
1935年代からはコマごとに調整するグレースケールができた
1970年代前半まではカット尻を見た目で調整
1960-コマーシャルでプリント発注増加
アナライザーが出現。
減色プリンターはフィルターを使って色調整(ファクターがかかってその調整が難しい)
加色プリンターは光の色を変えて色調整(60年から徐々に変わって行った)
CUEシステム フィルムの端にノッチを切ってそれで変換
プリントフィルムも選ぶことができた(プレミアは少し硬め)
 
小泉洋子氏(東京現像所タイマー)
フィルムタイミングの実際
特性曲線の話
ネガの重要性
 
益森利博氏(IMAGICAウエスト)
1993年入社。「黒部の太陽」、「時をかける少女」の再タイミング
旧作のタイミングデータはそのまま使えない。
情報交換テープ(穴あきテープ)に色と尺のデータが載っている
FCC(検尺)Frame Count Cueing
フェイストーンを見て調整
フィルターを選ぶ
テストフィルムプリンター
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鈴木美康氏(東京国立近代美術館フィルムセンター)の話
監督はワンマンであるがそれで良いのではないか
タイマーは技術者であり、監督の意図をもとに良い映像を仕上げて営業に貢献する。「良いネガを作る」カメラマンに寄り添うこと。カメラマンは患者でタイマーは医者だ、という人がいるけど、「予防医学」が重要である。タイミングをしないタイマーが好ましい。
以前はタイマーであり現在はグレイダーである。しかしそれが欠点になっている。優れた人は全体を見てバランスよく直すことができる。デジタルは見えるが故に、全体に目を通すことができなくなっているのではないか。
色調整をするというより、映画を見て感じながらタイミングをしなさい、と後輩には伝えたい。
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日本映像アーキビストの会
映像関係の実務者が情報交換し、社会認知を目指す
高木希世江氏
山下泰司氏(IMAGICA TV→WOWOWプラス) パイオニアレーザーディスク 
鵜澤由紀氏(松竹ブロードキャスティング)CS放送局 松竹映画
内藤由美子氏(シネマヴェーラ渋谷支配人)内藤篤氏とやっている二本立て映画館
とちぎあきら氏(東京国立近代美術館フィルムセンター)
 
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〈キーワード〉
ライブ感、フェス感、達成感、向上心、希少価値
鵜沢氏;大林監督の「いつか見た映画」をやっている
内藤氏;「山田五十鈴生誕100年」など隙間での話題作りをやる
山下氏;シネフィルDVD 
内藤氏;「監督特集」に観客はこだわらないようになっている。時代なのか。
山下氏;11月に「アマルコルド」が発売。付加価値がないと売れない。いまテレビの吹き替え版の音声を入れるのが流行り。でも残っていない。
鵜沢氏;「ララミー牧場」などのリリース。高画質でお金を取る意味を見出す。録画を考えると数が多いとは思う。
高木氏;課題で見るということが増えている。
山下氏;「アマルコルド」を4K起こしをした時に、ジョゼッペロトゥンノ(95歳)はポヤポヤにした。それが彼の復元であり、鮮明であれば良いというものではない。
とちぎ氏;コンテクストを見せるのではなくコンテンツを見せるものである?
内藤氏;松竹、東宝、に関しては劇場はフィルムしか貸さない。要望としては劇場にデジタル素材を貸して欲しい。アメリカの例によって申し合わせがあったのではないか。洋画はデジタルであるのに、なぜか名画座は、、、がおかしい。考え直して欲しい。
とちぎ氏;無関心であることを止めさせることを目的化したい。
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実習報告
1)東京国立近代美術館フィルムセンター「ノンフィルム資料の保存と修復」
2)㈱IMAGICA東京映像センター「映画の デジタル修復実習」
3)㈱IMAGICA東京映像センター「あなたの映像をフィルムにしよう!-手現像と染色体験付き―」
4)鎌倉市川喜多映画記念館「施設見学+『鎌倉映画地図』探訪」
5)㈱東京光音「ビネガーシンドロームの対策実習」ADストリップ  http://www.kms.gol.com/ads/ads.htm
  ※川崎市市民ミュージアム(森宗厚子氏);ビネガーシンドロームはどちらかというと糖尿病である。分科会セミナーを立ち上げていきたい。アンチビネガーネットワーク?川崎でやりましょう。
6)㈱東京現像所「フィルムワーク体験」
7)東宝スタジオ「『ゴジラ』『七人の侍』を生んだ東宝スタジオ見学」
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閉会の辞
太田米男氏
 
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渡部 眞教授のノートは以上です。勝手な願いを聞いてくださった先生に心より御礼を申し上げます。ノートを読みながら、2年前のことを懐かしく思い出しましたので、それはスタッフブログに綴ります。

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