おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2017.03.31infomation

音楽パフォーマー・坂本真理さん「かみしばいこども劇場~リズムと遊ぼう!リトミック」のレポート

昨日終えたばかりの「かみしばいこども劇場~リズムと遊ぼう!リトミック」のナビゲーター役を務めてくださった坂本真理さんから、早速振り返りレポートが届きました。当日の様子をかいつまんでYouTubeにUPしましたので、良ければこちらもごらんください。直前まで、せっかく東京から坂本さんとご子息の剛士さんが来てくださるのに、いったいどれくらいの人が参加していただけるのか、正直とても心配していました。でも開けて見れば場所が足りなくてブルーシートを慌てて広げるという嬉しい誤算も‼ 11時の部、14時の部と併せ、1歳未満のお子さんから小学生まで22人のお子さんがお母様と一緒に来てくださいました。

ホール中に可愛らしい声で、しぐさで、楽器を鳴らしたり、歌ったり、楽器に合わせて体を動かしたり。そして、催し終了後には、珍しい光学玩具なども見て、体験もして貰いました。所蔵する古いオルゴール(シリンダータイプとディスクタイプ)の音色を聴いて貰えたのも良かったです。こどもたちの心に「かみしばいこども劇場」での思い出がずっと残ればいいなぁと思います。私自身は「くまのココ♪」のメロディーが気に入って、ふと気づくと口ずさんでいます。こどもたちもそうだったら良いなぁ…

では、坂本真理さんのレポートをどうぞ。

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「かみしばいこども劇場」振り返り

みなさま こんにちは。

喜劇映画研究会メンバー、From東京、サウンドパフォーマーのまりりん事、坂本真理です。

このたび、ご縁があって、「おもちゃ映画ミュージアム」にて、かみしばいパフォーマンスをやらせていただきました。

私は、長く幼稚園で園長として、リトミックを専門に教えていました。

リトミックについては、私のウェブサイトをご参照くださいませ。

リトミックでは、音楽に合わせて、身体を動かしたり、

その反対に、動きに合わせて、音楽をつくったりするのですが、

そんな活動が、サイレント映画に音をつける作業ととても似ているな、と思っていたのです。

そんな折、東日本大震災があり、私が住んでいる東京の多摩地区では、何日も計画停電で、電気が使えない日々が続き、園長をしていた幼稚園でも、保育に工夫を凝らし、園児たちも、自宅に帰っても、通常のテレビ放送もなく、電気が来ないので、ビデオも見られない日々がありました。

そんな中、やはり役立つのは、想像力!

幼稚園の中で、ヒーローになるのは、

「昨日、俺の兄ちゃんが、面白い話をしてくれた」

という話を披露してくれる弟くんの周りに、話に飢えているこどもたちの輪ができました。

この経験をもとに、

私は、園長として、幼稚園あげての「サイレント映画」対応の授業を始めました。

今時のママは、映画が最初モノクロだったことは知っていても、

音がない時代のことを知らない人もいます。

リトミックの専門家として、

映画の中の動きに着目し、それをこどもたちに参加をさせるために、

こどもたちに、それぞれ楽器を配り、こどもたちがそれぞれ楽士になる体験をする方法を、

教えながら、確立させていきました。

その後、幼稚園が閉園することになり、私は、幼稚園跡地に、小さなリトミックの研究の場「むらさきmusicラボ」を立ち上げ、それまで、ホームグラウンドの「こどもの城」(惜しまれつつ閉館した日本唯一の国立の児童館)の仲間たちと続けていた音楽活動も、幅を広げ、そして、細々と行っていた「映画に音をつける活動」を喜劇映画研究会の新野代表の協力を得て、本格的にトライしてみることにしたのです。

と、いうのも、映画も、リトミックも、同じ1900年代の初めのヨーロッパを素としており、身体でコラージュするような様式美には、共通点も多いことを、新野代表とよく、意見交換をしていたのです。

そんなご縁で、「おもちゃ映画ミュージアム」を訪れると、

「まりさん、幼稚園の先生だったら、絵描ける?」

というおもちゃ映画ミュージアムの文代さんから、驚きのオファーを頂き、

実は、原作は、用意できそうなのだけれども、それを「かみしばい化」してくれる画家さんを探していらっしゃるとのことでした。

私は、音大に行かなければ、美大に行きたかったくらいなので、ホイホイとひきうけてしまいました。音楽活動の中では、自作の紙芝居を何作も作って上演をしているし、紙芝居イベントの司会などの経験があったからです。

また、保育経験の中で、

今のこどもたちに、音楽ととともに伝えたいことは、

「五感を育てること」「想像すること」「耳を澄ますこと」「動きと音をイメージすること」

と、たくさんあるのですが、

それらは、すべて、手を使い、目で見て、空気の振動の音を感じることが必須です。

タブレットや、液晶、ゲームではなく、

本物に触れてもらいたい。

そんな思いは、

「おもちゃ映画ミュージアム」の古(いにしえ)の映写機を見ると溢れでます。

幼稚園の園長室には、古い壊れたスライド映写機などが、いつでも、こどもたちが、自由に分解できるように、触れるように、置いてありました。

歯車があって、これとこれが作用するから、モノが動く。

視覚と手を使っての体験は、重要な文化資産となり、大人になっても失うことのない想像力を生み出します。

すべてのものが、iPhoneのように、いつの間にか、便利になっているのではありません。

そういえば、昔のこどもは、

「テレビの中に人がいる」

「機械の中に小人さんがいる」

という想像ができました。

今は、残念ながら、できないことが、アプリやマシンのせいになってしまうくらい、

こどもたちが、何かを自力でやり遂げる力を育てることができない。

保育現場では、3歳で入園して、自力で食べられない(ア〜ンしてもらう)こが、確実に増えてきています。

必要な時期に、手づかみ食べがあるように、

まだ知覚細胞が増える可能性のある必要な時期に、楽器や、音や、映画、機械に触れ合って欲しいと思います。

大人になって、音や色の違いが感じられないのは、それを育てる時期に使わない細胞は、成長できないからと私は感じています。

感じられなければ、想像できない。

想像できない感性の人は、サイレント映画を好まない予感がしています。

私の続けているテレビに出るわけではない音楽表現活動もそう。

50歳を迎え、これからは、「音楽のためにお金を使う感性を子ども時代に種をまく」をライフワークと思っています。

感性が貧しいと、CDやチケットにお金を払ってまでという気持ちは生まれません。

未来のために!

そんな気持ちで、

「私のいつものスタイルで、よろしければ」

ということで、原作をショーアップした形に構築させていただき、

合わせて、リトミックと、楽器体験もして、

総合的に、五感を鍛える「かみしばい劇場」の企画を立てました。

普段、こどもが出入りしない施設での、こども対応へのマニュアル作りを、文代さんのご協力のもと、

授乳、オムツ替えのルールなどを含めて、対応を考えていただきました。

3302 

(撮影 濱谷紀子氏)   

「おもちゃ映画ミュージアム」CMソングなどを盛り込みながら、こどもたちが、

「ママ、また、このお歌のミュージアム、行こうよ!」

と、次につながるような活動をたくさん用意し、その中から、年齢層にあったものをチョイスしました。

3303(撮影 濱谷紀子氏)

楽器当てクイズをしているところ。

0歳児、1歳前半の皆さんのために、いないいないバー的な展開を強化しております。

狙い通り、

隠れて、出てくるだけで、大ウケです。(ピンポイント)

3304(撮影 濱谷紀子氏)

楽器は、トライする順番や、難易度など、計算して準備をしています。

楽器に慣れていない子でも、怖がらずに音が出せる優しい音色の楽器を揃えています。

また、ママの不安を取り除くため、

薬剤を使わない消毒方法であることもお伝えしています。

「おもちゃ映画ミュージアム」のCMをオルガニートに打ち込んで用意をしたので、それにインスパイアされたミュージアムサイドからの提案で、「オルゴール鑑賞タイム」も設けられました。

3305(撮影 濱谷紀子氏)

このイベントでは、「かみしばい」でしたが、同様な活動は、

フィルムでも、もちろん可能だと思っています。

「かみしばい」に、楽器で音をつける活動を経験したこどもたちが、

いつか、「フィルム」での同活動に挑戦できる日が来ると良いですね。

原作の「あまがせ みお」先生も、原作のコピーを配布してくださいました。

また、私の方でも、以前行っていた「かみしばい」活動と同様に、今回も、「おみやげ」を用意しました。手製の、「ミニかみしばい」です。

ご自宅で、お話の続きが自分で作れて遊べるキットです。

おみやげがあるのは、

昔のかみしばいは、「おせんにキャラメル」など、お菓子の売り物がつきもので、それが利益となったというルーツがあるからです。

私は、昭和50年代に、東京で育ちましたが、このころのかみしばいのおじさんは、営利目的かどうかはわからないのですが、とにかく、カードを売っていました。食べ物を販売するのが、難しくなった時代だからでしょう。

この日にミュージアムに来たこどもたちの記憶に残ること。

これが、一番の目標なので、

おみやげも頑張りました。

心に残るメロディは、ミュージアムのCMです。

そして、ミュージアムの展示品に、興味を誘うために、

人の手で工夫によって、作られた「楽器」の紹介を、全身でする。

リトミックで、共通の体験をする。

そんな面白いことをやらせていただきました。

原作の「あまがせ みお」先生の作品と文代さんのおかけで出会い、自分からは生まれない「自己肯定感」というテーマに取り組むことができました。

また、太田館長より、文代さんを通して、原作をアレンジすることへの心構えをご指南いただき、それも勉強させていただきました。

初の京都でのソロ公演。

嬉しい出会いもたくさんありました。

お声がけいただきまして、ありがとうございました。

普段は、ラボでのレッスンの他、

保育園や子育ての場などでも、楽器やリトミックのソロ公演出前も行なっております。

他、楽器作りワークショップや、珍しい民族楽器のメンバーとともに学校公演、サイレント映画の楽士もしております。

どこかで、「まりりん」にお逢いできますように!

お知らせ

5/1  東京  青山プラッサオンゼ

バンダショーロエレトリコ

共演  沢田穣治  渡辺亮  伊左治直  サム・ベネット  向島ゆり子  他総勢15名のビックバンドでパフォーマンス担当

5/3  こどもと音楽で未来をつくる@東大

東大駒場キャンパスに「こどもの城」が1日復活するイベントに楽団「ぺとら」で出演!

共演   近藤治夫(バグパイプ)  福沢達郎(ジャワガムラン的なピアノ)

6/2   東京 葛西  イオンカルチャー

喜劇映画研究会  サイレント映画講座

メリエス監督作品「月世界旅行」「不可能への旅」などを、たくさんの生パーカッションとキーボードでひとりオーケストラしつつ、語り歌う独自のスタイルでお届けします。このイベントのみなら、入会金などは不要です。

おまけ

楽器クイズの楽器の紹介です。

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左から、マウリリオ 鼻笛 / ストームホイッスル / ベトナム口琴

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           マウリリオ 鳥笛 三種

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左前方 ダック笛 / 中央前 ピエロラットル インド / 右後ろ ュージックボール(鳥ポーチ中)

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14時の部に参加していただいた皆さん。子どもたちは恒例になりつつある腕組みポーズで。うっかり11時の部は撮るのを忘れてしまいましたが、アイキャッチはその時の一コマです。次は8月の地蔵盆で、まりりん先生とお会いしましょう‼

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