おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2018.09.23infomation

9月9日「木村白山って、何者?」の寄稿感想文とディズニーのロスト・フィルム『NECK′ N′ NECK』(邦題『ミッキー漫画 スピーデー』)と思われる作品上映のお知らせ

9月9日に開催した「木村白山って、何者?」には33名もの方が参加してくださいました。当日の様子はこちらで書きました。その時の参加者で最年少の谷廣和哉さんに感想文を寄稿して貰いました。彼は今年3月26日付けブログで「若き草創期アニメの研究者現る」と紹介した高校二年生。私の中では「天才少年」としてしっかり位置付けられています。

では、早速どうぞ!


先日、おもちゃ映画ミュージアム様にて開催された『木村白山って何者?』に参加いたしました谷廣と申します。

先月頃でしょうか、いつものようにネットサーフィンをしていると、おもちゃ映画ミュージアム様にて、日本アニメの黎明期といえる1920年代中盤から1930年代にかけて活動した幻の作家・木村白山についての研究発表が行われるとの情報を発見。しかも登壇される方々はその道の研究においての第一人者。これは行かねばならぬと、イベントが開催される9月9日を楽しみに待っていました。

そして、イベント当日。その内容はまさに濃厚。現在に至るまでその素性が一切謎であったアニメ作家・木村白山についての研究発表を、数々の貴重な映像と共にお聞きする事ができました。

上映された作品群は、主にミュージアム様が所蔵されている玩具フィルムがソース。これがなかなか面白く、元は同じ作品でもフィルムによって抜粋シーンやフィルムの色調といった細かい部分がかなり異なっており、「玩具映画」という媒体の面白さを実感しました。

そして特に印象に残ったのが、「日本アニメーション映画史」でその存在は知っていたものの観た事はなかった白山の初作品、『赤垣源蔵徳利の別れ』(1924)。画調は以降の作品とは大きく異なる超写実的な絵柄で、動きは少ないもののかなりリアリティを重んじた作品となっていました。一生観る事はないかと思っていたこの作品が鑑賞できただけでも、このイベントに来たかいがありました。

他の作品も、刺激的で彼らしいユーモアと写実性に溢れた楽しい作品ばかりでした。戦場が舞台の愛国主義的な作品も多数見られ、後に彼が手がけた挿絵や背景画と共通する何かを感じさせるものもちらほら。

そしてメインとなる研究発表ですが、こちらも興味深い話ばかりで、大変勉強になりました。特に1938年以降にアニメーションから身を引いてからの白山の軌跡は殆ど存じ上げていなかったので、近年発見されたという彼が手がけた背景画や挿絵、そしてスライドはまさに目から鱗。アニメーションでもその片鱗を見せていた、写実的で細密な描写は目を見張るものでした。

そして研究発表をお聞きする事で改めて強く実感したのが、イベント名にもなっている「木村白山って何者?」という感情です。そう、断片的な情報が少しずつ発見されてはいるものの、やはり「木村白山」という人物が謎のヴェールに包まれていることには変わりません。日本で商業アニメーションが誕生してから100年が経った今だからこそ、黎明期に活動した幻の作家たちを研究する必要があるのではないでしょうか。

イベントでは、渡辺先生を始めとする偉大な研究者の方々と交流する事もできました。まだとても研究者とはいえない青二才の私ですが、これからもこうしたイベントに積極的に参加し、精進していこうと強く思いました。


谷廣さん、どうもありがとうございました。9日は彼から、早速当館所蔵映像『ミッキー漫画 スピーデー』(約50秒)について貴重な情報を提供して下さいました。それで、その映像を30日の渡辺先生トークイベントの日にご覧いただこうと思っていましたら、それよりも幾分長い映像(2分)を渡辺先生がお持ちだということが判明し、その両方を見てもらうことにしました。

持って回った言い方をしてしまいましたが、その作品はディズニーが探している「ロスト・フィルム」7本のうちの1作品、原題『NECK′ N′ NECK』(1928年1月23日アメリカ公開。5分)です。先生が若いころ大金(当時のお金で1巻500円)をはたいて購入された16㍉フィルムは、神戸映画資料館の安井館長に寄贈されましたが、当日はデジタル化したものでご覧いただきます。今日来館いただいた渡辺先生から「随分前にディズニーのロスト・フィルム『NECK′ N′  NECK』がおもちゃ映画ミュージアムにあると伝えましたよ」と言われ、赤面しました。知識がなくてそのままにしていたのを、9月9日に谷廣さんに教えて貰って漸く気が付いた次第です。

なお、参考までに、先日谷廣さんに『ミッキー漫画 スピーデー』の原題を教えて貰った時のメールもコピペして紹介します。


さて『ミッキー漫画 スピーデー』ですが、映像やスチールが失われているため推測の域を出ないとはいえ、恐らくこの作品ではないか?という一定の結論は出ましたのでご連絡させていただきます。

原題…Neck 'n' Neck 
公開日…1928年1月23日
監督…Walt Disney
製作…Winkler Productions
(オズワルド・ザ・ラッキーラビットシリーズの一篇)

この『Neck 'n' Neck』は「Oswald the Lucky Rabbit: The Search for the Lost Disney Cartoons」という本にて現存する脚本が記載されているのですが、その脚本の一部がミュージアム様が所蔵されているフィルムと一致していましたので、この作品ではないかと推測した次第です。
参考までに、該当ページの画像を添付いたします。お役に立てれば幸いです。

当館所蔵映像は、35㍉のおもちゃフィルムですが、渡辺先生のものよりもカットされているのが惜しまれます。今日、渡辺先生から、下掲資料をいただきました。
これを見ますと、『日の丸旗之助』を例にすれば、経済力に応じて5種類の長さが販売されていたことがわかります。『ミッキー漫画 スピーデー」も、いろいろな尺のフィルムが販売されていたのでしょう。ちなみに1尺=約1Feet=1秒(サイレント映画のスピードで)。おもちゃ映画を巡るこうした動きがわかるだけでも面白いです。
先生が若いころ『ミッキー漫画 スピーデー』を購入された当時の商品目録。
 
渡辺先生が所持されていた16㍉『ミッキー漫画 スピーデー』も当館所蔵35㍉おもちゃ映画のそれもタイトルは同じなのですが、
 16㍉の方は「終」の文字なのに対し、
当館所蔵35㍉おもちゃ映画フイルムの「終」の文字。販売した会社が異なるのでしょう。
 
ともあれ、今後35㍉『NECK′ N′  NECK』が見つかれば一番良いのですが、それまでの繋ぎにディズニーの目に留まれば良いなぁと思います。
 
邦題にミッキーと付して販売していますが、玩具メーカーは、オズワルドよりミッキーの方が売れると判断したのでしょう。
 
「オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット(しあわせうさぎのオズワルド)」は、ミッキーマウスよりも早く1927年に誕生していたキャラクター。ディズニーはオズワルドの短編シリーズを26作品作り、大人気になりますが、オズワルドの所有権を巡って配給元と争いになり、ディズニーは版権を手放すことになります。失意の彼はやがて新たなキャラクター「ミッキーマウス」を誕生させます。1966年に65年の生涯を閉じたウォルト・ディズニーの生前にオズワルドが戻ることはありませんでした。しかし、2006年、78年ぶりにオズワルドの諸権利がユニバーサルからディズニーに戻って来ました。今回ご覧いただく『NECK′ N′  NECK』(邦題「『ミッキー漫画 スピーデー』)は、26作品のうちの失われていて、ディズニーが探している7作品のうちの1作品と思われる貴重な映像です。
 
なお、30日の渡辺泰先生のトークイベントは、既に定員に達しましたので参加受付を終了しております。悪しからずご了承くださいませ。
 
 

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