2020.12.23infomation
新年1~2月上映の大阪芸大映像学科歴代学生映画「FIRST PICTURES SHOW 1971-2020」
今年4月から始めた大阪芸大映像学科歴代学生映画「FIRST PICTURES SHOW 1971-2020」は、新春からも続きます。以下に、上映作品を紹介します。
☆1月6~10日は『アップル・スピリット』(2003年)…林健二郎監督。2005年、第14回あきた十文字映画祭 新人監督コンペティション・北の十文字賞▼2005年、The Washington DC Independent Film Festival 招待上映。
ある夏の日、敬太のもとに吉報が届く。彼の書いた文学作品が由緒ある文学賞で大賞に選ばれたのだ。しかし喜びも束の間、敬太は恋人を後輩に寝取られてしまう。 失意のどん底にあるなか、高校時代の友人・都茂から「ツカサの病気」を告げられ、見舞いのため故郷へ帰ろうと提案を受ける。 道中、高校時代の仲間たちと再会を果たし、文学賞を獲った物語を彼らに聞かせるうちに、敬太の沈んだ気持ちも落ち着いてゆくのだった。
9月2~6日に上映した『水歌町マーメイド』は監督が学部生時代の作品ですが、本作は大阪芸大大学院時代の制作。前作に続く“青春活劇”第二弾で、今回はシナリオも監督が担当しています。
☆1月13~17日は『朝が来る!朝が来る!』(2004年)…志子田勇監督。2013年、せんだいメディアテークスタジオシアターにてフィルム上映。
1995年1月17日、阪神淡路大震災によって崩壊する街の中で、朝を迎えるまでの少年と男の話。自身の震災体験を反映させつつ、当時は三島由紀夫的な屈折したフェチズムみたいなのを描こうとされました。現在、志子田監督は映画監督・メイキングディレクターに、撮影の高木風太さんは映画カメラマンに、美術の宇山隆史さんは美術監督に、録音・整音の香川祥資さんは録音会社に、音楽の保木秋元さんはIMAGICAに勤めて、それぞれ活躍されています。
☆1月20~24日は『未来』(2006年)…大小田直貴監督。
ある日、宏介は彼女の静香から妊娠したことをメールで告げられる。静香は高校生、宏介は20歳。二人は産むことを決め、宏介はアルバイトを増やして出産費用を稼ぐ。順調な静香の妊娠経過。しかし、宏介は喜ぶことができない。そんな中、なぜか宏介は病院の付き添い中もデート中も眠ってしまう。そして、父親の死をきっかけに睡眠時間はさらに長くなり、宏介は現実と夢の区別がつかなくなっていく。
当時は大人になることはどういうことかを考えていたという大小田監督は、「バイトして貯金して寝る間も惜しんで映画を作ったことが制作者としての自分のスタート地点なので、今もその気持ちを忘れず、自主映画を作っています」とコメントを寄せて下さいました。現在はフリーのディレクターとして、ドキュメンタリー番組を制作。
撮影の小林亮太さんはオムニバス・ジャパン所属で、カラリストとしてカラーグレーディング作業に従事。照明の浜田憲司さんは、LAB series WEB CM 、ドラマ『パパ活整形』、『JIKODAN~自己ダン〜』、『宮本から君へ』ドラマ版、映画『旅の終わり世界の始まり』、映画『予兆 散歩する侵略者』で活躍。
☆1月27~31日は『微風』(1983年)…中島康監督。
大阪の下町に住む兄妹が、お互いを思いやりながら、それぞれの道に別れて歩み出す姿を描く。
「ビデオもそれ程普及してなく、レンタルビデオ店もなかった当時、名画座で上映されたボロボロのフィルムやテレビで放映されたCM入りの小津安二郎や川島雄三の映画に魅せられて作った。今の映像学科ではなく映像計画学科と呼ばれていた時代は、あまり16ミリの撮影機材もなく、皆バイトで制作費を稼いで8ミリフィルムで映画を撮っていた」と中島監督。
☆2月3~7日は『羽音』(1999年)…早川竜二監督。TAMA CHINEMA FOURUM コンペティション▼横浜学生映画祭(招待上映)。
他者との関わりを避け、一人で絵を描くことに没頭するツトムにはある秘密がある。冬の終わりに妖精を見つけたのだ。妖精を家に連れ帰り、その存在をひた隠すツトムはますます他者を避けるようになる。
「当時、後味の悪い『ダークなメルヘン』みたいのを作りたいという『初期衝動』に突き動かされて作ったウブな作品という感じがします。仲間と全力で取り組んで映画を作ったことは青春そのものでした」と早川監督。
☆2月10~14日は『八音盒(オルゴール)』(2002年)…向陽監督。
中国人留学生の郭陽は、成功を夢見て日本へ留学してきた。生活は苦しかったが、いつも心の支えになったのは母からもらったオルゴールだった。ある日、なけなしのバイト代をチンピラに盗られそうになった時、助けてくれたのは同じ住居の1階に住む、飲んだくれの前原という男だった。それ以降、郭陽と前原は交流を深めていくのだが、ひょんなことで前原が所属する右翼団体の街宣活動に参加することになり、二人の友情には決定的な亀裂が入ってしまう。
リアル感がある描写手法を取り込むことを第一課題として取組み、郭陽と前原の人物設定には、大阪芸大大学院に留学していた向監督自身と制作・脚本を担当した西村朋樹さんとの関係が投影されています。
☆2月17~21日は『オレの女だ!』(1988年)…森弘/松岡英治監督。PFFアワード1990特別賞受賞。
バブル景気で、パーティやレジャーに明け暮れていた昭和63年、サークルが悪の組織だったら? そこに好きな彼女が入会していたら?…純情一直線な男子学生・良夫の思いは彼女に届くのか?
ジャッキー・チェンにインスパイアされた森弘さんの格闘アクションと、トムとジェリーばりのスラップスティックを標榜した松岡英治さんの追っかけアクションを融合させて、とにかく楽しんでもらえる作品を目指し、ダブル監督で取り組んだ作品。
☆2月24~28日は①『獄穴山B地獄』(2003年)…延田修吾監督。PJ映画祭入選、 さっぽろ映画祭招待上映。
新撰組沖田総司一行は山で迷子になってしまう。 しかしそこは魔性の巣窟だった……!
「とにかくチャンバラアクション+ゾンビをやりたくて作ったと思います。大いに未熟、しかしだからこそ謎の気力に満ちあふれてたように思います」と延田監督。
☆2月24~28日の②『マッチつけの少女』(1994年)…高橋智紀監督。
健気にマッチに火をつけようとする少女。何度もつけようとするが無情に消されてしまう。それは風魔王や棒風王たちの仕業。少女は理想のカレのため、自らの心のともしびを燃やすためにも風魔王たちに挑む。真夜中の地下街で、その死闘(舞踏アクション)が繰り広げられるカンフー・ミュージカル。10分の短編。
なかなかお出かけにくい状況ですが、学生時代に一生懸命仲間と取り組んで制作した“青春”と“熱情”が詰まった映画を、ぜひ見にいらしてください‼お待ちしております!!!!!