2022.10.23infomation
京都国際映画祭2022「サイレント/クラシック部門」のプログラム「パテ・ベビー誕生100年」映像を無料配信中‼
京都国際映画祭2022が10月15、16日に京都市内で開催され、先駆けて当館所蔵の『狂える悪魔』と『気弱なドライバー』が10~16日にオンライン無料配信されました。ご覧頂きました皆様には厚く御礼を申し上げます。
今年は当館が会場の一つになり、関わらせていただいている「サイレント/クラシック映画部門」の作品を、抽選で当たったお客様にお越しいただいて生でご覧頂きました。せっかく一流の活動写真弁士さんと楽士さんに登場いただいて上映したのですから、もっと広くご覧頂きたいと、映画祭の方で11月30日23:59まで無料配信していただくことになりました。公式サイトの洋画篇 日本映画篇 にアクセスしてお楽しみください💖
このチラシに載せたQRコードからもアクセスできます💗
10月15日本番前の様子。映画祭の紅白の旗が立つのが珍しく、記念に一枚。中では、午前中から上映準備にスタッフ一同キビキビと動き回り、やがて活動写真弁士の大森くみこさんと楽士の天宮遥さん、MC担当の高山トモヒロさん、第二部出演の活動写真弁士片岡一郎さんも合流して、一段と賑やかに。
写真は、第一部「パテ・ベビー誕生~洋画篇~」で上映した『チャップリンの消防夫』の一場面。今年はフランスで9.5㎜幅のパテ・ベビーが誕生して100年の節目というわけで、正月から広く提供を呼び掛けて集まった中から選んで編集してご覧頂いただいた中の一作品です。オンライン配信なので国内外から広くご覧いただける機会になります。当日上映したのは『満洲ベビー・シネマ倶楽部』『エリザベス2世戴冠式』(1953年)『ロイドのショートショート』『美しきサルタン』(1917年)そして『チャップリンの消防夫』(1916年)の5作品。解説は『満洲ベビー・シネマ倶楽部』のフィルムをネットオークションで落札して当館に寄贈頂いたSF評論・映画史研究者の高槻真樹さんにお願いしました。
『満洲ベビー・シネマ倶楽部』の映像は、大連の富裕層だった沖田湯村が撮影したもので、満州事変が起こる前の平和な彼の地で、花見や海水浴をする子どもたちの様子、大連での昭和天皇御大典奉祝風景、満洲牧場、錦洲旅行、清朝時代の祭事などが記録されています。
向かって左から、MCの吉本興業所属高山トモヒロさん、高槻真樹さん、活動写真弁士の大森くみこさん、サイレント映画伴奏ピアニストの天宮遥さん。大森さんはいろんな声を使い分けて得意の関西弁を駆使して役を演じて、洋画のみならず、日本映画、アニメーションの活弁も巧みに演じてファンが多いです。他にラジオのパーソナリティ、ナレーション、テレビなどにも出演して幅広く活躍中。
天宮遥さんは、いつも映像を盛り立てて寄り添うような演奏が素敵です。ラジオ関西「天宮遥の私はピアノ」は毎週土曜日5時に放送。シンガーソングライターとしても活躍されています。
第二部のゲストになべおさみさんが登場。弁士は安定感抜群の片岡一郎さん。そして、太田館長が解説役で加わりました。
写真は内田吐夢監督の現代劇『天国その日帰り』(1930年)のタイトル部分。第二部で上映した最初の作品は、カツヤマ・プロ『京都ベビー・シネマ倶楽部』の作品から。かつて京都の四条通りに面して在った勝山呉服店の店主がパテ・ベビーカメラで撮った祇園祭や今宮神社のやすらい踊り、伏見にあった西本願寺別荘“三夜荘”で行われた園遊会の様子など、どれも皆貴重な映像です。他に市販されていた『御大礼』(1928年)の映像も。伊藤大輔監督『血煙高田の馬場』(1928年)は、当館所蔵パテの映像に片岡さんから提供受けた玩具映画フィルムの断片を繋いだ現状最長版。さらにその片岡さん所蔵の大阪シネマ倶楽部が製作したアマチュア時代劇『敵違い』(1929年)もご覧頂きました。
天宮さんは、第一部、第二部を通して、ずっと演奏し続けで、MCの高山さんから聞かれて「自分でも体力あるなぁ」と笑いながら仰っていましたが、随分大変だったろうと思います。翌日も11時からヒューリックホール京都で「活弁でGO! おいこが、すゑひろがりず揃い踏み&『I AM JAM』完成記念SP』で演奏されましたから、本当にお疲れ様でした。でも演奏は彼女らしい素晴らしいものでした。ぜひ公式サイトからアクセスをして、その華麗な演奏をご覧下さい。
出番の合間に、なべおさみさんに色紙を書いて貰いました。
そして、会場には映画祭名誉実行委員長の中島貞夫監督も来場くださいましたので、みんなで記念に写真を撮りました。
皆さんのおかげで、無事に今年の映画祭「サイレント/クラシック映画部門」を終えることができました。ありがとうございました!!!!!
16日京都祇園花月で行われた授賞式では、映画界に貢献した人に贈られる「牧野省三賞」に北大路欣也さんが、国際的活躍が期待される「三船敏郎賞」に竹野内豊さんが受賞されました。目の前のステージに立つお二人の、それはそれは格好良かったこと‼クロージングセレモニーでは、中島監督と北大路さんとの対談に続いて、サムライアーティスト島口哲朗さんとマルチクリエーターの広井王子さんが登壇され、島口さん率いる「剱伎衆かむゐ」の華麗な殺陣がステージで披露。「海外の人に殺陣が人気なのがわかる~」と思いました。3年ぶりにたくさんのお客様に入ってもらって行われたセレモニーは大きな喝采を浴びて無事終了しました。2014年から始まった京都国際映画祭は来年10回目を迎えます。今度はマスクを外して賑やかな映画祭として開催されることを願っています。