おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.11.07infomation

12月11日小津安二郎監督をテーマに、映画研究者伊藤弘了さんの講演と上映会‼

上掲催しの翌日12月12日は、世界的に評価されている小津安二郎監督の誕生日でもあり、命日でもあります。偶然にも還暦を祝う60歳を迎えた誕生日に、闘病の末亡くなりました。

親友だった山中貞雄監督が日中戦争従軍中の1938年9月17日に29歳の誕生日を待たずに戦病死してから3年後の1941年、京都西陣の大雄寺境内に山中貞雄之碑が建てられ、小津は約600字に及ぶ碑文を揮毫します。映画評論家の岸松雄は「山中ほどの仕事をしてもそれが僅か六百字内外に詰められてしまうかとおもうと寂しいな」と小津が珈琲を啜りながら呟いたことを書いています(『シナリオ』山中貞雄追悼号)。

以前、「全国小津安二郎ネットワーク ニュースレター」に掲載して頂いた碑文の写真。ここにびっしり刻まれた文字が小津の筆跡です。その小津のお墓が、鎌倉市の円覚寺にあって、当団体正会員吉川恵子さんが10月に撮影された写真を借用します。

円覚寺にある小津の墓石には「無」一文字が刻まれていて、山中の碑文とは対照的ですね。元円覚寺派管長の朝比奈宗源老師の筆だそうです。1938年8月、軍曹に昇進した小津は、陥落した南京にある古鳴寺住職から「無」の書を受け取ります。小津はこの書を生涯大切に保管していたそうです。この年1月に中国の句容にいた山中貞雄を訪ねて二人は再会を喜び合いましたが、9月山中が赤痢で戦病死したとの報に接した小津は突然口をつぐみ、数日間無言で悲しみに耐えていた様子を戦友たちが目撃しています(『小津安二郎大全』223頁参照)。「無から無へ消えてゆく間に、束の間の生の映像が輝く。小津安二郎の墓はまさにそんな映画のスクリーンそのものだ」というネットでの文言も目に留まりました。墓石に刻まれた「無」一字は山中の死が大きく影響しているように私には思えます。

さて、今回講演をお願いした伊藤弘了(ひろのり)さんのプロフィールを紹介しますと、1988年生まれ。愛知県豊橋市出身で慶應義塾大学法学部法律学科卒業後に進まれた京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程を研究指導認定を受けて退学。現在は関西大学、同志社大学、甲南大学非常勤講師のほか、東映太秦映画村・映画図書室スタッフとしても活躍の若手映画研究者・批評家です。WEB媒体で二つの連載を担当中(「ひとシネマ」[毎日新聞社]の「よくばり映画鑑賞術」と「よみタイ」[集英社]の「感想迷子のための映画入門」)。著書には『仕事と人生に効く教養としての映画』(PHP研究所、2021年)があります。専門は今回取り上げる小津安二郎監督です。

チラシにも掲載していますが、改めて伊藤さんから届いた当日発表の要旨です。

…………小津安二郎と言えば、一般に『東京物語』(1953年)をはじめとする後期の作品に注目が集まりがちだ。しかし、じっさいには小津の監督作品54本のうち、実に34本までがサイレントなのである。小津の全体像を把握するうえでサイレント作品の検討は必須と言える。ただし、サイレント期の作品の半数はフィルムが現存していない。あとの半数についても、フィルムの全部ではなく一部のみしか残っていないものもある。

1929年に公開された『突貫小僧』は長らくフィルムが失われた作品のひとつだったが、パテ・ベビーと呼ばれる家庭用9.5㎜フィルムで作品の一部が発見された。38分の上映時間に対し、このとき見つかった部分は14分(24fps)の長さである。その後、2015年に、おもちゃ映画ミュージアムへの寄贈フィルムのなかから別ヴァージョンのフィルムが発見され、欠落していた冒頭のシーンを見ることができるようになった。今回は、おもちゃ映画ミュージアムと縁の深い『突貫小僧』を手がかりに、サイレント期の小津作品について考えてみたい。…………

新進気鋭の映画評論家が語る「小津安二郎」論をどうぞお楽しみになさって下さい‼

伊藤さんと知り合ったのは彼が京大大学院生時代のこと。それ以降、折に触れ「いつか研究発表してね」と言い続け、漸くその希望が叶うことになり嬉しいです💗

その約束を交わしたのが、昨年の12月26日のこと。評判の著書『仕事と人生に効く教養としての映画』を手土産に訪ねてきてくださいました。クリスマスプレゼントですね🎁

本の黄色いカバーにも載っていますが、「日本一わかりやすい」映画講師の伊藤さんが語る「小津安二郎」論を、どうぞ皆様聞きにいらして下さいね。心よりお待ちしております。

定員25名で予約者優先。参加費(入館料込み)は1500円です。

なお、今年8月にミュージアムで知り合った立命館大学の学生さん2人が、時代の波についていけてない私どもにサポートを申し出てくれて、試みに今回の伊藤さんの講演をWEB配信してみようということになりました。詳細は明日の打ち合わせ後に追記します。ようやく願っていた若者たちとも出会うことができました‼ このことも、とっても嬉しいです!!!!!

【11月9日追記】

昨日立命館大学映像学部で学ぶ2人の若者が、8日peatixでのイベント登録手続きを手伝ってくれて漸く一歩前進することができました。つい先ほどpeatixから、そのカテゴリー登録が済んで、告知が開始されたと連絡がありました。それがこちらです。遠方から参加できなくても、オンラインで講演の様子(字幕を付ける予定)や映画『突貫小僧』をご覧いただけますので、ぜひこの機会に多くの方にご覧頂きたいです。宜しくお願いいたします。

On December 11th, Hironori Ito, a film researcher, gave a lecture based on Yasujiro Ozu's early silent comedy film "TOKKAN KOZO", which was discovered in our museum. Screening of the same work. After that, the video of the archive will be released (for a fee) from peatix, so you can enjoy it online 💗please take a look here.

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