おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2023.02.20infomation

展示「マジック・ランタン~さまざまな幻燈の楽しみ~」のお知らせ

3月1日~4月13日に開催する展示のご案内です。今回は「幻燈(灯)」。この度、幻燈機をテーマにした小冊子2冊を発行することになり、それを記念しての開催です。

昨年の1月にテレビ東京「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ」の制作関係者からスライド幻燈機について問い合わせを受けました。「開かずの金庫」を開けて見たらというコーナーでオンエアーされるのだから、念には念をと考えて、早稲田大学名誉教授の草原真知子先生にお繋ぎして情報を共有して対応することに。

メールのやり取りで、担当者から聞いた「オルゴール付き幻燈機」がどんなものか興味津々だったのですが、2月25日放送分を見て「横に付いている四角い箱状のものがオルゴールで、おそらく自分で取り付けたものだろう」と連れ合い。金庫の中身については忘れましたが、この「オルゴール付き幻燈機」の発想は良いですねえ。ともあれ、一連のやり取りの中で、草原先生の豊富な知識に魅せられて、「いつか当館で発行している小冊子に寄稿して欲しい」と要望しました。今年1月に草原先生から幻灯機・映写機合計8台を寄贈頂いたことは、こちらで紹介しています。

中京大学教授の岩田託子先生は2016年1月に当館所蔵の幻燈機用ガラス種板を調査して下さっただけでなく、幾度もブログなどで紹介しています。以前から「幻燈機をテーマに文章を書いて欲しい」と依頼していました。岩田先生からも2021年12月1日に多くのガラス種板を寄贈していただき、それはホームページの「展示物 ガラス種板」紹介欄で載せています(最初のページから5枚目の左上まで掲載分)。その折頂いた先生からのメッセージは、

…………「誕生日だから今夜は幻燈を見せよう」「子どもが幻燈機を贈られる。夜、上映することになる」――英国の物語によくある状景です。
幻燈機で何を観たのか?映画より前に、こんなに色彩豊かな娯楽に恵まれていたことを是非、わかちあいください。…………

さて、昨年8月2日韓燕麗東京大学大学院教授の企画で川喜多長政製作、鈴木重吉監督『東洋平和への道』(1938年)を観に行った前日、早稲田大学演劇博物館を見学しました。その折に早稲田大学文学学術院教授の細馬宏通先生とお会いし、同じように「幻燈機をテーマに文章を書いて欲しい」と依頼しました。初対面の時に当館が所蔵している光学玩具や幻燈機に大変興味を示して下さったのが嬉しかったことから、2019年5月「覗いて、写して、楽しむモノたち展」期間中の19日に「わたしにも覗かせて-覗くこと、待つことの想像力-」の演題で講演をしていただいたご縁もあります。

そうして、草原先生、岩田先生、細馬先生の三名に執筆して頂いたものを、小冊子2冊にまとめて発行することになりました。それを記念しての展示ということで、所蔵品を取り出して数えてみたら70台余りの幻燈機がありました。ガラス種板も多種多様あり、どれをご覧頂こうか楽しい思案中。

期間中の3月19日には、短い時間ずつではありますが、小冊子の内容に触れてそれぞれの先生に講演していただき、その後、当館所蔵の幻燈機で実際に投影して見る催しをします。以下にご講演順に概要を。

①草原先生のお話「着物柄に見る幻燈・映画・映写機」

江戸後期にオランダから伝わったマジック・ランタンは日本の語り物の伝統と融合して写し絵・錦影絵という庶民の娯楽になり、明治期に再び渡来したマジック・ランタンは幻燈という近代的メディアとして普及します。明治後期に伝来した映画は絶大な人気を博し、玩具映写機によって映画は家庭にも入ってきます。人々は映し出される映像に親しみ、映画を「身につける」ことで日常に組み入れました。明治期から戦前にかけてさまざまな事物や情報をテーマにして作られた「面白柄」と呼ばれる生地は日本独特のもので主に京都で生産されました。その中には幻燈機、映写機、楽譜、ポスター、キャラクター、俳優の絵や写真、映画を楽しむ子どもたちといった絵柄があり、これらは京都の伝統工芸である友禅染と京都に花開いた映画産業との近さと共に、映画と文学、音楽などとの関係も示しています。メディア研究の立場から収集した着物や端布の一部を紹介し、忘れられた歴史に光を当てます。

②細馬先生のお話「幻燈を語る人々-映像による旅への誘い-」

19世紀中頃に写真を用いたガラス種板が発明されると、写真種板を用いた幻燈会が催されるようになりました。こうした種板には、しばしば、あらかじめ原稿が用意されており、誰かがそれを読み上げる形で公共の場で幻燈会が行われることもありました。一方、諸外国を旅行し、そこで撮影した写真をもとに自身の旅を語る旅行家も現れました。明治期に日本を撮影しに訪れたジョン・ストッダードやバートン・ホームズも、じつは写真を幻燈の種板にして「旅行幻燈講演」を行う旅行家でした。ジョンの場合は、写真師を同行させ、自らが写真に写り込む方法で。バートンの場合は自らが写真を撮影する方法で。では、彼らは、こうした写真をどのように組み合わせて、どのような語りのもとに日本を語ったのでしょうか。彼らの幻燈講演の原稿をもとに、その語られ方を紐解きます。

③岩田先生のお話「最盛期英国幻燈文化をおもちゃ映画ミュージアム コレクションに見る」

19世紀ヴィクトリア朝後期英国では、幻燈機のソフトにあたる種板が大量に製造され、欧米はもとより開化日本にもさまざま渡来しました。近代化を急ぐために教育での利用も奨励されましたが、娯楽用もありました。このたび、おもちゃ映画ミュージアム所蔵品の実演をとりわけ楽しみにしているのは次の二種類です。

まずは、光の芸術を支える技術力の粋、細工種板。英国で最もよく知られる例「髭男鼠吞み込み」は、明治の少年雑誌で紹介された記事やその後の広告文も読んでみます。そして、幻燈会のフィナーレを飾る色彩豊かなクロマトロープ/日本の花輪車。もう一つの楽しみは、圧倒的多数を占める定型種板のうち英米独自に発展を遂げたライフモデル種板です。背景の前でポーズをとる人を撮影、ポーズや背景を替えてまた撮影とくりかえし一連のお話を物語らせました――映画の先駆けと云えるでしょう。

このような多彩な幻燈世界を一緒に追体験してみましょう‼

暗闇の中、目を凝らしながら見る幻燈上映のワクワク感を醸し出そうと、昨年8月『I AM JAM ピザの惑星危機一髪』試写会で知り合ったばかりのイマイアキさんに、トイピアノの演奏をお願いしました♪この映画の活弁吹込み版の演奏は彼女が手掛けています♬「幻燈にトイピアノは絶対に合うはず!」と思っています。どうぞ、お楽しみに‼

実際の楽器の大きさと音色は、当日見てのお楽しみ💗ご存じの通りの会場の狭さですので、定員25名で予約を受付ます。入館料込み2500円。開場は13時、開演は13時半です。幻燈実演も含めて16:30には終了予定です。なお、まだ季節的に肌寒い頃かと思いますので、いつもながらのお願いで恐縮ですが、暖かい服装でお越しくださいませ。そして、お申し込みを頂いた方で、当日までにご都合が悪くなられたら、できるだけ早い目にご連絡をお願いいたします。

◎第26回京都ミュージアムロード(スタンプラリー)参加者の皆様へのお願い◎

開催中のスタンプラリーは3月19日最終日ですが、当日は上記催しのため、通常見学を12時半で終えます。悪しからずご了承くださいませ。

以上、皆様のご協力を宜しくお願いいたします。

 

 

 

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