おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2023.12.31infomation

第6回活弁と演奏(収録版)無声映画上映会@旧伴家住宅

7月7日七夕様の夜にスタートした“伴市プロジェクト”の企画イベント。その杮落しにと声を掛けて頂き、当館の無声映画を上映しました。先ずはお試しという事で、当館でもお馴染みの大森くみこさんの活弁と天宮遥さんのピアノ演奏を収録したバージョンで、「おもちゃ映画de玉手箱」、「昔話編」や「そっくりさん篇」など3作品、関西弁の話芸が楽しい大森さんの『ブッシュ家のポンコツ自動車』(原題〈ファミリー・ライフ〉)、大河内傳次郎剣戟集〈寄らば斬るぞ!〉(8作品)、当館で発見されたラリー・シモンの『気弱なドライバー』も上映しました。

8月はお休みをしましたが、9月から原則最終金曜日夜に開催しています。年が明けた6回目は「笑う門には福来る」ということで、皆様の新年のご多幸をお祈りして三大喜劇王の一人、ハロルド・ロイド特集です。チャールズ・チャップリンは最初期の10分程度のパテ・ベビー版が3~4本有るほか、“おもちゃ映画”で楽しまれていた短い作品が幾本あり、当館でも上映することがありますが、残念ながらもう一人のバスター・キートンは当館には『白人酋長』1本しかありません。元祖ボードビリアン(軽演劇俳優)として日本の大衆演劇を支えた益田喜頓は、その名前から連想する通り、バスター・キートンを真似て人を笑わせていたことが原点だったそうです。本家のキートンは、無表情な顔をして凄いことをやってのけますよね。にもかかわらず、お茶の間に“おもちゃ映画”としてさほど流通してなかったような気がします。製作会社との配給契約に問題があったのかもしれませんね。

今年は世界的に知られている小津安二郎監督の生誕120年、没後60年の節目で、あちこちで上映会や展覧会が開催され賑やかでした。小津監督はハロルド・ロイドのファンだったらしく、『大学は出たけれど』の主人公の部屋に『スピーディ・ロイド』のポスターが貼ってあります。小津監督が明朗快活でモダンなロイドの影響を受けていることが窺われます。山中貞雄監督や小津監督が、アメリカ映画から「頂き!」と面白いアイディアがあると日本的にアレンジするのが上手だったと言われていますが、同時代の欧米と日本映画を比較してみるのも面白いだろうと思います。

1月26日(金)19時半からの第6回無声映画(活弁と演奏収録版)上映会でご覧頂くのは、いずれも当館所蔵ロイドの作品。最初に『ロイドのその日暮らし』(1919年)。大森くみこさんの活弁と天宮遥さんのピアノ演奏を撮影したバージョンです。

7年後の『ロイドの福の神』(1926年)と同じシチュエーションで、その原型ともいえます。物語は、無一文なハロルドと同じく餓えた少女が登場し、そこに子犬が札束を拾ってくる。やっと美味しいパンを沢山食べられると思ったら、それが偽札と分かり、危うく警官に訴えられるところを富豪の令嬢ミルドレッドに救われる。ハロルドは美しいミルドレッドに一目惚れ。一方、彼女の遺産相続金を狙う悪徳弁護士たちは、街のならず者たちを使ってミルドレッドを誘拐する。その策略に巻き込まれたハロルドは、如何に彼女を救出するのか?

続いて『ロイドの神出鬼没』(1920年)。天宮遥さんのピアノ演奏の収録版で。

アマチュア劇の公演にハロルドが到着していないことで、彼女のミルドレッドが激怒。電話で催促され、ハロルドは劇場に急ぐが、ガレージから自慢の自動車を乗り出す時から困難に連続。後進して隣の庭を壊し、エンジンのトラブル、警官に追いかけられ、さんざんな目に遭って漸く劇場に着くが、すでに劇は終わっていた。アンコールの間に、急いで仮面の剣士役の衣装に着替えて、舞台に立つと…。

監督のハル・ローチが作った映画は、家庭用に再編集されたパテ・ベビー版から発見されることが多いのですが、ハル・ローチ・プロがパテと契約していたからです。初期の「OUR GANG (ちびっこギャング)」の子役メンバーが登場するのも、ハル・ローチ・プロだったからでしょう。だから、ロイドの映画も多くパテの作品で見つかり、この作品もそのひとつです。

さらに、『ロイドの化物退治』ほか短編集(1920~22年)。天宮遥さんのピアノ演奏でお楽しみください。

失恋のあげく、何度も自殺を試るが必ず失敗してしまうロイド。一方、ミルドレットは、既婚でなければもらえない祖父の遺産を抱えて大弱り。弁護士の計らいで結婚した二人は、財産を渡したくない叔父が待つインチキ幽霊屋敷へ。当館にあるのは、その後の物語。様々な妖怪、幽霊が現れ、髪の毛総立ちの場面も。丸いロイドメガネが彼のトレードマーク。他にも所蔵する短編を繋いでご覧頂きます。

会場はアクセスがとても便利な位置にあるカンデオホテルズ京都烏丸六角レセプション棟(元は伴家の住宅だった京町家を美しくリノベーションした施設で、京都市登録有形文化財)の2階和室です。畳に座って、コーヒーや紅茶を飲みながらくつろいでお楽しみください。

先着15名で予約優先。1500円(同ホテル宿泊者と学生は1000円)。19:00より、玄関を入ってすぐの1階和室で受け付けます。恐縮ですが現金のみでの対応です。開演は19:30~20:30.映像を見るのが目的ではあるのですが、終わった後のおしゃべりも楽しい時間。お気軽にお越しくださいませ。会場でお会いできますことを楽しみにしております。

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