2026.10.07information
11月8日映画『狂った一頁』活弁付き上映と研究発表開催‼

11 月8日(日)13時半、昭和女子大学大学院生活機構研究科特任教授で、文化芸術センター長の福田淳子先生をお招きして、ご専門の川端康成が原作の『狂った一頁』について研究発表をしていただきます。当日は、先ず片岡一郎さんの活弁と天宮遥さんの電子ピアノ演奏でこの作品をご覧いただき、次に福田先生に「Mayu Hirano 『Une Page Folle』—『狂った一頁』の映像と音響による表現技法について-」の題で研究発表をしていただきます。

写真は、いつも私どもの活動を気にかけて応援して下さる福田先生と💗今年4月18日に来館いただいた折、「今年が『狂った一頁』公開から100年の節目なんですよ」と教えてもらったので、「じゃ、上映会しましょう!」とその場で決めました。先生が抱えておられる論文執筆の締め切りが9月中旬だったので、先ずはそれに全力で取り組んでいただき、10月末頃の希望に沿って調整した結果、11月8日に決定しました。
天宮さんは「前から演奏したいと思っていた映画なので、とても嬉しい。狂ったように弾きます!」と仰ったので、そっくりそのまま福田先生にお伝えしたところ、先生は「私も狂ったように書かなければなりません…。」と応えて下さいました。そうと決まって早速、国立映画アーカイブに映像の貸し出しを依頼しました。当初は、先生から教えて貰った平野真由さんが2021年に作曲された『Une Page Folle』のように演奏だけで、と思っていましたが、先生のご提案で片岡一郎さんに活弁を付けてもらうことにしました。
『狂った一頁』は第45回ポルデノーネ無声映画祭5日目の今日7日、可燃性プリントからスキャンした映像データを基に4Kで修復したデジタル版をワールドプレミア上映され、世界中の無声映画研究者、映画関係者、映画ファンらから、万雷の喝采を浴びていました。

弁士は片岡一郎さん、演奏は堅田喜三代さん(囃子方<鳴物>)、清元延亜希郎さん(三味線方)、松村牧亜さん(ピアノ)です。折角ならこの復元版で、と願いたいところでしたが、DCPしかないことと、ポルデノーネ無声映画祭お披露目に続き、国立映画アーカイブでもお披露目を予定されているので、それをお借りしての上映はできず。。。ご担当者によれば「おもちゃ映画ミュージアムにお貸しするブルーレイも、近年染色版のフィルムからスキャンしたデータを基にしているので、内容としては同一のものになりますし、薄い青色の染色が施されている点も同一です。2022年に初めて復元し、国立映画アーカイブでお披露目したバージョンになります」とのことです。
今回福田先生は、作曲家平野真由さんが、2021年にIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)とポンピドゥーセンター国立近代美術館から委嘱を受けて完成された『Une Oage Folle』を取り上げ、デジタル技術を駆使した音と映像が融合して、さらに高度な芸術へと昇華した事例から、無声映画の新たな可能性を探るというテーマでお話しくださいます。

7日は嬉しいことに、東京理科大名誉教授の硤合憲三さんがノーベル化学賞受賞の発表がありましたが、この作品原作者の川端康成は、1968年日本人で初のノーベル文学賞を受賞しています。1926年に公開された『狂った一頁』で「人生で最初のメダルを貰った」と喜んだことが、9月7日付け京都新聞「梵語」に書いてありました。パリ在住の平野さんは、この記事と一緒にチラシをIRCAMとポンピドゥーセンターに送って下さり、SNSでもフランス語で紹介してくださいました。福田先生も、丁度今、伊藤大輔監督映画特集を上映中のパリ日本文化会館に送って下さったようです。私どももイタリアのポルデノーネ無声映画祭で配ろうとチラシを持参しました。
たまたま整理していましたら、衣笠貞之助監督のスチール写真が出てきました。

どの作品を撮っておられた折のものかわかりませんが、ひょうきんな印象を受けます。実際の監督はどうだったのでしょうか?『狂った一頁』と余りに異なるような印象を受けます。女形スターから、牧野省三監督の下で監督になりました。この作品は独立後の衣笠監督が、新感覚派の作家横光利一宅を訪ねようと駅を降りた時に、精神病の人を見かけたのがきっかけとなり、東京の松沢病院を見学。その時に思い浮かんだ案で、その夜に横光と川端に相談して精神病院が舞台の話で行こうとなったようです。脚本は衣笠、川端、犬塚稔に沢田晩紅の4人ですが、撮影終了後に川端が撮影台本とメモをもとにしてシナリオとしてまとめ、7月1日刊行『映画時代』創刊号に川端の名前で掲載しています。特撮で知られる円谷英二(この時は英一)が杉山公平の撮影助手を務めています。
『狂った一頁』は日本サイレント映画史に誇る前衛的傑作として、今も世界的に高く評価されています。精神病院を舞台に、狂気と現実、過去の記憶が交錯する幻想的な世界を、字幕を一切排した革新的な映像美と疾走感あふれる編集で描き出し、それは観る者の記憶に強く印象付けます。関西で活弁付きで上映される機会は少ないので、どうぞお見逃しなきように。会場が狭いので定員は24名(予約優先)、参加費3500円です。お申し込みは☎075—496—8008(金曜~月曜)か電子メールinfo@toyfilm-museun.jpでお願いします。


