2019.10.04infomation
京都国際映画祭2019で『浪人街・予告編~1976年夏 東映京都撮影所』上映‼
今年の京都国際映画祭では、深作欣二監督特集もあります。19日10時から『火宅の人』
(1986年、東映。作家・壇(役名:桂)一雄役を緒形拳さんが演じます)▼19日14時
20分から『華の乱』(1988年、東映。歌人・与謝野晶子役を吉永小百合さんが演じま
す)を京都シネマで上映します。
牧野省三没後90年特集については、こちらで書きましたが、長男マキノ雅弘さんが監
督し、山上伊太郎さんが脚本を書いた『浪人街』が1928(昭和3)年に公開されました。
同年のキネマ旬報ベスト1に輝いた名作『浪人街』でしたが、その後1976(昭和51)年
になり、キネマ旬報で竹中 労さんが連載していた「日本映画史縦断」の中から、この
名作を再映画化する話が浮上します。監督には深作欣二さんが予定されていました。
結局、企画途中で頓挫し、幻となったリメイク版でしたが、当時、大阪芸術大学1年生
だった伊藤信幸さんたちが、関係者にインタビューして8㎜フィルムに記録していまし
た。今回は、深作欣二監督特集の一つとして、『浪人街・予告編~1976年夏 東映京都
撮影所』をご覧いただきます。同じ19日12時40分から、京都シネマです。
9月27日に伊藤さんが来館され、久しぶりに教え子と再会した連れ合いも嬉しそうでし
た。43年前に撮ったドキュメンタリー映画が、こうして日の目をみることを共に喜び
たいと思います。
昨夜、伊藤信幸さんに「上映会のお知らせ記事を書くので何か文章を」とお願いしま
したら、早速書いてくださいましたので、そのまま以下に掲載します。
-------------------------------------------------------------------------------- 『浪人街・予告編~1976年夏、東映京都撮影所』の頃 43年前の夏、 1976年の京都は相変わらず暑かったです。 その年の春に大阪芸術大学に入学した私は、当時キネマ旬報で 竹中労氏の連載する「日本映画縦断」を貪るように読んでいました。 昭和3年に公開された山上伊太郎脚本・マキノ雅弘監督「浪人街」の 再映画化の動きが誌面上で始まっていたからです。 私の属した映像計画学科(現・映像学科)の教授に映画評論家の滝沢一氏がおり、 講義が終わる度に滝沢氏に、「浪人街」再映画化の最新情報を聞きに行っていま
した。そんな日々から、映画の撮影所に対する憧れもあり、関係者にインタビュ
ーした8ミリドキュメンタリーを作りたいと申し入れ、滝沢氏も快諾されました。 合計3回、撮影所に通い、今となっては貴重なインタビューを記録する事ができ ました。 当時の映画人の方々の映画への情熱は、43年の歳月を経ても失われなかった。そ の情熱が、今回、2019年に行われる京都国際映画祭での上映へと繋がった、と思 います。
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一緒にお送りいただいたスチール写真の中から、いくつかをご紹介。
マキノ雅弘さん(1928年『浪人街』監督)
『浪人街』で主役を務めた南 光明さん。
リメイク版『浪人街』の深作欣二監督
高岩 淡さん(プロデューサー兼企画、当時の東映京都撮影所所長で後に社長)
中島貞夫監督(リメイク版『浪人街』ではプロデューサー。8㎜映像から)
赤塚 滋さん(カメラマン。後に大阪芸術大学教授)
千葉真一さんを取材する伊藤さん。千葉さんにとっては、初の時代劇作品になるはずでした。
ピラニア軍団の志賀 勝さんを取材する伊藤さん。カメラは大阪芸術大学生の花井信也さん。
竹中 労さん(映画評論家、プロデューサー。8㎜映像から)。「日本映画縦断」執筆中。
大学に入学して間のない学生たちのインタビューに、真摯に、そして丁寧に答えてくださっ
た皆さん。とりわけ深作欣二監督が「今、映画を製作する意味」を同じ創作者として学生た
ちにこたえる姿が印象的です。長くネット上に公開されていたのですが、そのまま埋もれて
しまうのをもったいなく思い、今回の深作欣二監督特集に合わせて上映することにしました。
伊藤さんが書かれているように、今となっては貴重な映像です。ぜひ、この機会に大きなス
クリーンでご覧ください。
登壇ゲストには、中島貞夫監督、奥山和由プロデューサー、深作健太監督、そして伊藤信幸
さんです。詳しくは、京都国際映画祭2019公式サイトをご覧下さい。
どうぞ、よろしくお願いいたします。