2022.06.08infomation
今年も7月24日に映画『祇園祭』(1968年)をテーマに研究発表会をします‼
2019年7月から始まった映画『祇園祭』(日本映画復興協会製作、1968年、168分)を取り上げた研究発表会も、今年で4年目。2019年の時に参加を呼びかけた記事はこちらです。そして、その当日の様子はこちらに書いています。この研究発表会を始めたきっかけは、前年10月に受け取った1通のメールです。
2018年10月に京都大学人文科学研究所で開催されたシンポジウム「映画『祇園祭』と京都」に、7人の登壇者にまじって、連れ合いもこの映画の復元に関わった経緯を話しました。その催し案内をメールマガジンで発信したところ、映画製作当時京都府の新人職員だった知人から、ボランティアとして熱心に“参加”した思い出と共に「行政が関わった視点からのアプローチも面白いのではないか」と返信メールを頂戴したのです。その後、その方が大切にしまわれていた台本や「映画『祇園祭』製作上映協力会ニュース」など今となっては大変貴重な資料も寄贈して頂きました。
当時は、研究発表会が4年も続くとは想像もしていませんでしたが、2020年7月24日にも開催。その時のご案内はこちらに。その振り返りは、8月21日付けで(1)(2)(3)(4)に分けて書いています。2021年7月17日と24日に開催した折の参加呼びかけはこちらで書いていますが、多忙だったことからその振り返りは恐縮ながらまだ書けていません💦昨年は「戦国時代の祇園祭」の演題で講演してくださった河内将芳・奈良大学教授が入手された紙芝居「祇園祭」の展示もしましたので、新聞で大きく報道して頂きました。おかげで、1952年5月に東京大学での初上演に参加した京都大学の女子学生さんだった方のお話を伺うこともできました。
この女子学生さんだった方のように、当時京都大学や立命館大学の学生が入った「民科京都(支部)歴史部会」が作った紙芝居が、やがて西口克己の小説『祇園祭』の原作になり、それが映画『祇園祭』へと繋がります。
さて、4年目を迎える映画『祇園祭』をテーマにした研究発表会のテーマは、「映画『祇園祭』論争とは何だったのか―伊藤大輔の降板をめぐって」です。講師は当団体正会員の紙屋牧子さん。玉川大学ほかで非常勤講師をされているほか、早稲田大学演劇博物館招聘研究員としてもご活躍です。京都大学人文科学研究所発行『人文学報116』(2021年)に書かれた論考が面白かったので、もっと多くの方にも聞いてもらいたいと思い、昨年7月17日の催しに参加された折に、即、講演をお願いしました。
チラシにも要旨が書いてありますが、映画『祇園祭』は、途中降板した伊藤大輔監督に代わって山内鉄也監督が完成させた作品です。降板に至った経緯を伊藤は、映画雑誌『キネマ旬報』1968年12月上旬号に公開状として発表し、脚本家・製作者たちを批判したことから、いわゆる『祇園祭』論争が勃発しました。その後、実に半年にわたって、当事者のみならず、映画評論家や読者までも巻き込み展開した論争は、多くの映画ファンの記憶に深く刻まれ、「呪われた映画」とまで評されました。『祇園祭』が公開されるまでの複雑な経緯に対して未だ多くの人々が関心を寄せ、様々な論考が発表されています。今回司会進行を申し出てくださった京樂真帆子・滋賀県立大学教授は、歴史学者の視点から精力的に研究を続けておられ、その一端を昨年当館が発行している小冊子5『“参加する”映画「祇園祭」の記録』にまとめてくださいました。
今回紙屋先生には、これまでの先行研究をふまえ、さらに昨年展示にも加えさせていただいた山本明コレクション(京都大学人文科学研究所所蔵)に含まれる資料なども参照しながら、『祇園祭』論争とはいったい何だったのか、を伊藤大輔の立場から問い直し、わかりやすくお話しして頂きます。ちなみに今回のチラシに用いたカッコいい三船敏郎を描いたポスターも、山本明コレクションのひとつをアレンジしたもので、実物は昨年の展示でご覧いただきました。
紙屋さんの研究発表に続き、今年も、「伊藤大輔監督が作りたかった映画は、このようなものではなかったか」と連れ合いが研究バージョンとして編集した『祇園祭』(130分)を参考上映します。
定員は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、通常より少し減らして25名に設定しています。予約優先で、1800円(入館料込み)。お申し込みは直接、電話:075-803-0033、ファクス:075-803-0034、電子メール:info@toyfilm-museum.jpのいずれかの方法でお願いいたします。万一予約されていてもご都合が悪くなった場合は、できるだけ早い目にお知らせください。キャンセル待ちの方にご案内しますので、ご協力をお願いいたします。当日無断キャンセルの場合は、料金を頂戴しますので、お気を付け下さいませ。
また、当館は築100年を超える古い京町家を再利用しています。隙間が多く、冷房していても不十分です。できるだけ涼やかな服装でお越しくださいませ。お願いいたします。
毎年7月24日に豪華絢爛に繰り広げられる山鉾巡行に引き続き、神輿渡御がミュージアムにほど近い神泉苑や、京都三条会商店街にある“八坂神社御供社・又旅社”(上掲写真は2019年7月24日の様子)でも行われるのですが、2年余り続くコロナ禍で今年は八坂神社から四条御旅所(京都市下京区四条通寺町東入)へ3基のお神輿往復のみに決定しました。残念ですが、致し方ないですね。来年は従来のように間近で見学できることを願うばかりです。