おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.05.05column

「『川喜多長政と中国』展―映画の国際交流を求めてー」が始まりました‼

3日続いた連休も今日が最終日。人によっては8日(日)までの大型連休の場合もあるでしょう。「うらやましいなぁ」と思いつつ、5~6月の展示の用意をしていました。タイトルは「『川喜多長政と中国』展-映画の国際交流を求めて―」です。3月に当館で発行している小冊子7『川喜多長政と中国―映画の国際交流を求めて―』を出したことと、5月18日に当館が7回目の誕生日を迎えることの二つを記念して開催します。というわけで展覧会のタイトルは、小冊子執筆者である海口経済学院(中国海南省)准教授高橋伸彰さんの小冊子のタイトルを引用しました。

展示資料だけよりも、高橋さん自身の川喜多さんへの思いを肉声で話してもらえないかと考えて、ビデオメッセージを依頼しました。高橋さんの論文には幾度も日経新聞に連載された川喜多さん自身による「私の履歴書」が登場します。全30回にも及ぶこの紙面は展示資料にも加えていますが、この連載を中国語に翻訳されたのが蔡 剣平さんです。現在は北京国際映画祭プログラミング・アドバイザーをされていますが、川喜多さんへの関心が映画を仕事にしようと思う契機になったそうです。せっかくの機会ですので、このお二人にビデオメッセージをお願いしました。6月26日までの期間中は、随時お二人のビデオメッセージを上映いたします。

川喜多長政といえば、「東和商事」。戦前、戦後を通じて、ヨーロッパの名作や傑作映画の多くを日本に紹介し、また日本映画をヨーロッパに紹介してきました。それらの映画を何度も観て映画ファンになった人も多いでしょう。戦前には『巴里の屋根の下』(1930)や『自由を我等に』(1931)、『会議は踊る』(1931)、『巴里祭』(1933)や『女だけの都』(1935)、『どん底』(1936)、『望郷』(1937)、『民族の祭典』(1938)など。戦後も『天井桟敷の人々』(1945)や『落ちた偶像』(1948)、『第三の男』(1949)、『巴里の空の下セーヌは流れる』(1951)、『禁じられた遊び』(1952)、『居酒屋』(1956)など、世界映画史の中で煌めくヨーロッパ映画群を日本に紹介したのは「東和」です。長政さんとかしこ夫人が映画を通じて、国際交流を続けてきたことを、戦時下の中国の人たちも理解されたのだと思います。

今回の展示には、戦前・戦後の映画黄金期に映画ポスターのデザイナーとして大活躍された野口久光さん(1909-1994)の手描きポスターも含まれていて、ヨーロッパや中国の名作映画を香り豊かに紹介しています。

川喜多長政さんのことを一人でも多くの方に知ってもらいたくて、展示の様子とメッセージのダイジェスト版を編集して先ほどYouTubeで公開しました。ぜひこちらをご覧ください‼説明もたっぷり書きましたので、お読みいただければ嬉しいです。

昨日は京都新聞「まちかど」でも紹介していただきました。早速、6月19日の特別上映『おもちゃ映画で見た日中戦争』の予約に来てくださった方があり嬉しいです。どうして日本は戦争に突き進んでいってしまったのかを学ぶ場のひとつになれば良いと思って計画しました。2月24日に突如始まったロシアによるウクライナ軍事侵攻の様子は、かつて日本が中国に侵略を始めたときの様子とどうしても被さって見えます。後の歴史を知る者の一人として戦争は【悪】でしかない、絶対にしてはいけないことだと訴えたいと思い、今日の小学生をお連れのご両親に日本が作った傀儡政権“満洲国”や国策の映画会社“満洲映画協会”の話などをしたのですが、学校で詳しく学ぶ機会がなかったことや、連日マスコミ報道される余りに酷い映像の量に辟易されているのか、「そういう話は興味がない」と手を横に振られました。

でもねぇ、あとで「こんなはずじゃなかった」と後悔するより、今のうちに「かつて何があったのか」「どうしてそうなったのか」を知っておくことは大切だと思うのです。5月3日憲法記念日のツイッターで、ある人が「閉塞感や紛争、疫病などを口実に国民の権利を削って戦争ができる国にしようという意図を持つ人たちが(憲法を)改変、改悪しようと湧いて来ますが、絶対に口車に乗ってはいけません」と言っておられましたが、全く同感です。

若い人が来ると「選挙には、絶対行ってね」と言うようにしています。「どうせ変わらないから」と無関心でいると、そのツケは自分や周りの親しい人に必ず返ってきますから。ということもあり、6月19日の『おもちゃ映画で見た日中戦争』は、若い人にぜひ見てもらいたいです。残席はあと少しなので、お申し込みはお早い目にどうぞ‼

 

 

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