2026.01.22column
出会いを振り返って(2)
2026年最初のお客様は、段ボールアート作家として目覚ましい活躍をされている千光士義和さん。古川タク先生の展覧会「映像おもちゃふたたび展」を見に来てくださいました。お土産に『Wings』(塚本学院校友会誌№47、2026年1月)を持ってきてくださいました。
その中に、広瀬まりさんが書かれた映像学科の懐かしい写真(名キャメラマン宮川一夫先生、映画評論家滝沢一先生、若き日の連れ合いが写っている研究室の様子)も用いた文章と、連れ合いが学科の同窓会にご招待いただき、移転して再出発したことを卒業生の皆さんに報告し、支援をお願いしている様子をレポートして下さった千光士さんの文章も載っていました。お心遣い誠にありがとうございました。
それで思い出しましたが、去年の今頃は、初めてのクラウドファンディングに挑戦していて、右往左往していました。クラファンへの対応の外に、引っ越しの準備、新拠点の改装工事、旧町家の原状回復について家主さんとの交渉、さらに決算処理と社員(正会員)総会開催にむけての準備もあって、しっちゃかめっちゃかな状態。今も忙しいですが、比較にならないぐらい多忙な日々を過ごして一生懸命でした。無我夢中でやってきた一年だったと改めて思います。その間も応援いただいた皆様に心から御礼を申し上げます。

1月9日スイスのGary Carelさんが仕事で再来日されて、14時に京都国際マンガミュージアムを見学するからと連絡があったので、入口の前田珈琲店で待ち合わせをしました。壁一面に有名なマンガのキャラクターが描かれていて、「あしたのジョー」の前で記念写真を撮りました。昨年10月4日、11月6日に次いで3回目と短期間のうちに再会できてびっくりぽん。ドイツ語、フランス語、英語、イタリア語、中国語、日本語と驚異的な語学力を有しておられるので、出来上がったばかりのフランス語のチラシをお渡ししました。「よくできている」とのお墨付きを貰いました(翻訳に尽力してくださった皆様に感謝です)。「でもまだ英語版ができていない」と言ったら、「翻訳してあげます」と彼。ありがとうございます、ゲーリーさん![]()
この日の夜、facebookで繋がっている方から「秋山好正さんが昨年春に亡くなったらしいと耳にしましたが、何かご存じですか?」と尋ねられました。実は昨年12月18日に秋山さんにご相談したいことがあっていろいろ連絡を試みたのですが、繋がらなく、どうしたものかと思っていたところでしたので、びっくりしました。私も秋山さんと交流があった方々にお尋ねしたのですが、どなたもご存じではなく…

1月11日真夜中にSNSで、秋山さんが気に入って下さったこの写真を貼って少しでも情報を得ようと「会いたい人がいます、秋山好正さん。フーテンの寅さんみたいに、ふらりふらりと。今どこにおられるのかしら?」と呼び掛けました。「見たよ」「知ってるよ」という人からの連絡がないまま、ほどなく彼が所属していたASIFA-JAPANから、秋山さんの訃報が報じられたことを知りました。
開館以来、アニメ―ションのワークショップなどで助けて頂き、とてもお世話になったので、そのお礼をちゃんと言えないままにお別れしてしまうことが残念でなりません。でも私はまだ亡くなったことが受け入れられずにいます。まだどこか国内外を旅しながら、手作りの“驚き盤”キットをリュックから取り出しながら、出会った子どもたちに「作ってみませんか?」と声をかけながら、アニメーションのおもしろさを語り掛けているように思われてなりません。
1月12日に来館くださった小谷佳津志さん(写真向かって左)と、秋山さんとのいろんな思い出話をしました。18日小谷さんが手作りで発行しておられる自主アニメ情報誌「月刊近メ像」インターネット版で、秋山さんが亡くなられた(らしい)ことを書いたと連絡を頂きましたので、その文章のリンクをこちらに貼ります。秋山さんの笑っている写真を見て、泣きべそをかいています。淋しいです。
1月16日に見覚えのある方が玄関に。「うーん」と首を捻って「誰だったっけ?」と考えているうちに、思い出しました。オーストラリアから昨年4月3日内覧会のイベントに、「勉強になるから」と帰国前の慌ただしい中をやりくりして参加してくださったDamien Spicciaさん。その内覧会についてもまだ振り返りが書けていないとお詫びしつつ、下掲の写真をお見せしました。

右端がダミアンさん。中央が内覧会の日に手作りのミュートスコープについて話して下さった橋本典久さん。左端が昨年6月28日に西陣空襲について講演してくださった佛教大学名誉教授原田敬一先生。内覧会から1年も経たない内にダミアンさんに再会できたことが嬉しいです。彼も私が覚えていたことを喜んでくださいましたし、教鞭を執る公立西オーストラリア演劇芸術アカデミー(WAAPA)はじめいろんな方に当館のことを紹介して下さっているのだそうです。ありがたいです。

WAAPAで映画を教えておられるので、展示している“オンブロチネマ”のみならず、手にしておられる本『ギャロップ‼』(ルーファス・バドラー・セダー著)のこともご存じでした。でも11月に展示品に仲間入りしたばかりの“オンブロチネマ”なので、オルゴール付きのアニメーションをご覧いただきながら、記念に写真を撮りました。
写真では下の棚が空っぽになっていますが、展示替えをした今は、日本独自のマジックランタン(幻燈機) “錦影絵”の道具“風呂”と種板など一式を並べています。背後にこれも日本独自の“紙フィルム”と映写機がみえていますが、オーストラリアで開催された日本映画祭はご存じでしたが、11月19日ブリスベン、23日シドニー、27日メルボルンで紙フィルムの特別上映会があったことはご存じじゃなかったようで残念でした(いずれにしても、大きな国ですから西から東の都市への移動は困難だったことでしょうけど)。

展示替えをして、今は大映の映画『大魔神』3部作で用いられたマット画の一部を掲示しています。実写の人物と細密に描かれた絵を合成して描写した技術です。今ではCGが当たり前ですが、映画が作られた1966(昭和41)年当時の手仕事で表現した特撮技術の一端が分かります。

手にしておられるのが「大魔神」のレプリカ。イギリスのアローフィルムから2021年4月30日に発売された『大魔神BOX セット』をお持ちだと聞いてびっくりしました(そのディスク2に連れ合いがインタビューを受けた内容が収録されています)。目を輝かせてご覧いただいたのが何よりでした。

ダミアンさんと入れ替わるようにお越しいただいたのがパリの大学で学ぶレオノルさんと、今は京都にお住まいで芸術監督・作曲家・指揮者をされているお父様のYannick PAGETさん。おもちゃ映画とおもちゃ映写機の話から、フランスの蚤の市の話に及んだ時、彼女のお友達が映画に関するアンテークのお店2軒を営んでおられることを教えて貰いました。その影響でレオノルさんはパテの9.5㎜フィルムについての関心が高かったです。できることなら、いつかそのアンティークの店をのぞいてみたいものです。お父様とも、映像と音楽のコラボができないかと話しました。パリでは、そうした活動もされているのだそうです。

そうしている間に、福岡大学名誉教授平松信康先生ご夫妻が、パテ・ベビーの映写機とフィルム13本をもって来館。イギリス滞在中に、蚤の市で買ったそうですが、未だ中身を見ていないのでそれを見たいとお越しくださいました。イギリスでは“パテ・スコープ”と呼びます。

早速、連れ合いが、そのフィルムを取り出して巻癖をとるために巻き直しているところです。『チャップリンの消防士』などがありました。癖をとってからスキャナーでデジタル化する予定です。
このタイミングで、岡山市から骨董屋さんが来訪。

実は4日朝、今年初めの東寺ガラクタ市で、この骨董屋さんから上掲エジソンの蠟管蓄音機を買いました。一生懸命磨き、ピカピカになり、鳴らなかった音に関しては、Xで「どなたか教えてください」と呼び掛け、呼応してくださったVictanさんの取説を公開された動画 https://www.youtube.com/watch?v=QNIR2R_w7zI を見て再生できました。大阪芸術大学の柳知明さんから「EDISON HOME model B のおそらく後期型。本来は2分蝋管用のモデルですが、1908年から発売された4分蝋管を再生できるように2分用と4分用を切り替える“コンビネーション・アタッチメント”が付いています」と教えて頂きましたので、120年近く前の音色が楽しめるようになりました。で、件の骨董品屋さんは京都に来るついでに立ち寄ってくださったのですが、「もっと珍しいのが手に入った」と話すと、機械好きの平松先生が興味津々の様子。傍で見ておられた奥様から断捨離を言われて、今回の来訪になったにも関わらず…。これは私も同様なわけで。
そこに今度は、

アーカイブの仕事をされているというJonny Lay Avilaさん(向かって左)がアメリカのサリナスから、続いて、現在は京都アメリカ大学コンソーシアム(KCJS)の先生をされているベイツ大学アジア文化学科准教授ジャスティン・ウィッシンガー先生がお越しくださいました。このパテ・ベビーフィルムの作業を居合わせたみんなで眺めながら、この骨董品屋さんとの会話も交え、要所要所ジャスティンさんに通訳してもらいながら、何とも愉快な時間を共有しました。結局、骨董品屋さんの期待には沿えない結果でしたが…。平松先生ご夫妻とは話が盛り上がり、その効果もあったのか、正会員にもなって応援して頂くことになり、フィルム13本も寄贈いただくことになりました💕

ジョニーさんは、特撮のマット画にとりわけ興味を示して下さいました。ジャスティンさんはイエール大学のアーロン・ジェロー先生の教え子だそうです。今月30日に全米大学から日本に滞在して日本文化を学ぶKCJSの大学生さんたちを引率して見学に来てくださることになりました。

1月18日イギリスのLeedsからお越しくださったCamilla Greenwellさん。よく尋ねる質問ですが「ここへはどうやって来られましたか?」と彼女にも尋ねたところ、「人がいないようなところを歩き、面白そうだったので入った」とのこと。仰る通り、静かな住宅地なので「通りがかりに」という人はほとんどおられませんので、彼女の訪問はレアなケースといえましょう。見学後に「わたしはラッキーだった、ここが開いていて」と笑顔で仰って下さいました。聞けば写真家で、8㎜映画も数本とっておられるそうです。写真を見せて貰うと舞台やダンスの一瞬を切り取った素敵な作品です。ふと思いついて、来春の京都国際写真祭へ参加されてはどうかと提案しました。今年の写真祭には、当館の機材で協力する見込みですので、担当の方にも相談してみようと思います。カミラさん自身も興味を示して下さいましたので、写真と彼女の8㎜映画をこの町家で皆様にみてもらえたら素晴らしいなぁと思います。

希望的観測で「来年春に再会しましょう‼」と言ってカミラさんをお見送りしました。私たちも、カミラさんとの出会いをラッキーに思っています。
淋しい別れの報にも接しましたが、楽しい出会いが多々ある新年をスタートできました。なるべく溜めない様に気を付けつつ、これからも随時ご紹介していけたらと思っています。


