おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2026.01.22column

出会いを振り返って(1)

デスクトップに、ミュージアムで出会った人々との写真が溜まりに溜まって💦遅まきながら、振り返りご紹介まで。

向かって左から、12月6日に来館いただいたイギリスの名門国立ダラム大学のDario Lolli先生。アニメーションを研究されていて、2026年7月までのプロジェクトで立命館大学を拠点に活動されているそうです。今ネットで調べたら、ダラム大学内に世界遺産登録されているダラム城と大聖堂があります‼先生によれば大学のオリエンタル博物館も凄いらしい。将来はその博物館で当館の収蔵品展ができないか、博物館の学芸員たちと話し合ってみますと仰って下さいました。実現すればなんてすばらしいことでしょう‼そのように思ってくださったことだけでも嬉しいです💗12月20日「世界のストップモーションアニメーション視察紀行~LAからチェコまで8カ国! “ニャッキ”作家伊藤有壱によるコマ撮りツアー報告~」にもお友達を誘って参加してくださいました。

連れ合いの右隣が一緒に来てくださったカナダのモントリオール出身Thomas Lamarre先生。谷崎潤一郎、映画、アニメーションを研究されています。この後、奥様の故郷オーストラリアに行かれた後、また日本に来てくださるみたい。「日本は昔から話芸が発達していて、映画が日本に入って来た時から、活動写真弁士が語りを付けて無声映画を上映していました」と、いつものように“活弁”が日本独特の文化だと話したところ、トーマス先生から、興味深いことを教えて貰いました。カナダでは、アメリカからの映画を上映する際、カナダのカトリック教会の概念に合わせるようにいわば活動写真弁士のような人が、内容に手を加えながらフランス語で紹介していたそうです。西洋は音楽演奏だけで上映していたと思い込んでいたこともあり、そうではないケースもあったのだと驚きました。

もっと詳しく知りたいと思い、「カナダでの活弁付き上映について教えて欲しい」とお願いをして、初対面の先生なのに指切りげんまんをしちゃいました。その後すぐに先生から、下記のメールが届きました。

…………

カナダのケベックの映画史のなかで、活弁の伝統が強かったです。アメリカの英語系映画を映した時にフランス語の活弁が映画の内容を説明しながら映画を作り直して、カトリック教会の概念にあわせることもありました。
 
論文が何冊もあるが、下のはおもしろいです。
 
…………
フランス語だからどうせ読めないし、と思いつつ検索したのですが、あいにく品切れでした。AIに尋ねたら、トーマス先生は日本研究、メディア史、アニメーションを専門とする著名な学者だそうです。そんな方とはつゆ知らず、私は世界の活弁事情が知りたくて、いきなり指切りげんまんをしてしまったわけで、後で赤面しました。3月に再びお会いできてお話を聞くことができるのを心待ちしています。
12月7日に韓国から来館の林嘉盈(イム・カヨン)さんと偶然居合わせた馬渕 愛さん。林さんは韓国の映像資料院やインディペンデント映画の記録保存に携わっておられるようです。韓国の映像資料院には、かつての韓国の様子を記録した映像を寄贈しましたし、この度も韓国の放送局に韓半島が映っている映像を幾本か提供しました。1作品はおもちゃ映画(35㎜)ですが、他はパテ・ベビー(9.5㎜)で撮影された映像で、そのうち1作品は昨年9月半ばに寄贈受けたばかりの映像です。映像は保存するばかりではなく、活かしてこそ価値があると思っています。
 
馬渕さん(向かって右)は「漸く来ることができました!」と第一声。山形国際ドキュメンタリー映画祭スタッフ、むさし府中アルキヴィオでフィルムや写真などのアーカイブ活動をされています。彼女らが尽力している山形国際ドキュメンタリー映画祭に一度は行ってみたいとずっと思っていますが、ミュージアムを運営しているのでいまだ実現できておりません。1989年にスタートし、昨年10月の開催が30回目だったようです。当館に関していえば、少しばかり関わった京都映画祭、その後継の京都国際映画祭が一方的に終了し、両映画祭のサイト自体が削除されて、まるで「なかったこと」になっているような状況がとても悲しいです。山形国際ドキュメンタリー映画祭には、これからも頑張っていただきたいです。
同じ7日、脚本家の島田龍さんが来館。2024年の第16回「京都映画企画市」で優秀映画企画として『引かれ者の小唄』(監督:栗本慎介/原案・脚本:島村 隆)が選ばれ、京都・太秦の撮影所で350万円相当のパイロット版映像制作に着手され、その完成披露上映が行われたようです。
 
『GABU』も島田さんのオリジナル脚本で、栗本慎介監督。これから先、本編を制作してスクリーンにかかるまで大変でしょうが、世界をマーケットに羽ばたいて欲しいなぁと願います。夢が叶うよう応援しています。
12月12日来館の滋賀県立河瀬高等学校2年生の野村美羽さんと後藤悠渚さん。同高校には「総合的な探求の時間」という授業があり、グループ毎に問いを立て、情報を収集し、調査を行い、1年間で論文を作成するという取り組みだそうです。二人は「映画の視聴環境はどのような影響を与えるのか」という問いを立てて、その研究のためのインタビューに来館。
・映画はなぜ人の感情を動かすと思いますか?
・感動したり、怖くなったりするシーンにはどんな工夫があると思いますか?
等といくつか質問が続き、最後の質問は
・サブスクがこれだけ普及しているのに、映画館に行く人が今も多いのはなぜだと思いますか?
インタビューに私は同席していないので、連れ合いが何と答えたのかは知りませんが、彼女たちが1年をかけて研究した成果が楽しみです。この問いを立てた理由を尋ねたら「映画と写真が好きだったので、二人に共通する“映画”をキーワードに検索して、おもちゃ映画ミュージアムに辿り着いた」と返ってきました。年々映画館人口が減少する中、見るためのツールは様々に変化していますが、若い彼女らが「映画が好き」と言ってくれたことが希望です。
同じ12月12日、シンガポールから3度目来館のオン・シー・ロンさん。最初は2015年7月12日。私が指さしている芳名帳にサインがあります。この時は国立大学の学生だったと記憶しています。2回目は彼が指さしている2017年5月18日。開館3年目をスタートした日で、修学旅行生たちも来てくれたのが嬉しくてプレゼントをお渡ししました。そして今回は翌日京セラドーム大阪で開催されるアイドルマスター20周年記念合同ライブに参加するために来日。その前に新しいミュージアムを見ておこうと思い出して立ち寄ってくださいました。その思いやりが嬉しいです。
12月13日はタイのバンコクから来館のヌーさん。彼の地で航空機パイロット養成の先生をされているのだそう。看護婦をされている奥様を待たせてはいけないと早足での見学でしたが、好奇心たっぷりにご覧になっていました。「お金はいつでもできるが、時間は限定」と名言を残して帰られました。
 
12月18日の古川タク先生展覧会の準備、20日の伊藤有壱先生ストップモーションアニメーションに関するトークイベント、21日の古川タク先生と橋本典久さんのトークイベントは、別に書くつもりでおりますのでここでは省略させていただき、12月19日留学生2人が、帰国の挨拶に来てくださったことについて。
ボストン大学のジーダン・リンさん(向かって左)とタフツ大学のアベム・フェティーンさん。二人は京都アメリカ大学コンソーシアム(KCJS )のメンバーで、たまたまミュージアムの南にある学生寮に滞在して日本文化を学んでいました。10月31日にほかのメンバーが見学した折に参加ができなかったことから、11月15日に来館。その折のことはこちらで書いています。「ご近所でもあり、いつでもふらりと遊びに来てね。私は日本語を教えるし、代わりに英語を教えてね」と約束しました。忙しかったようで実現できませんでしたが、20日に帰国する前にわざわざお別れの挨拶に来てくださったことが本当に嬉しかったです。「社会の役に立てるような立派な大人になって活躍してね」と語り掛けて見送りました。心がふんわり温かくなりました。とても感じが良い若者との出会いでした💕
12月19日には他にDmitry Frolovさんが来館。アーティスト・映画監督荒木悠さんからご紹介頂いたそうです。他に岩井俊雄さんのお名前も出ました。彼はロシア出身ですが、現在はドイツのベルリン在住。サイトに書かれた文章によると「ロンドン大学、ロシア国立人文学大学で学び、キュレーター、研究者、文化マネージャーとして現代美術と映画の両方で活動しており、映画祭、芸術関係、テレビ、映画劇場、教育分野で豊富な活動を持っています」ということです。一カ所で定住というより、自由に気が赴くままという印象でした。
12月27日にお越しくださったのは、ロサンゼルスを拠点に映画史を研究していると仰ったElizabeth Pauker さんとMarshallさんのお二人。生憎お顔が写った写真がピンボケになってしまい、どのような方かとネットで検索をしました。お名前からYouTubeで短編のドキュメンタリー映画『Death Metal Gramdma』を見つけ、凄いなぁと思いながら見入りました。デスメタルバンドで歌う96歳のホロコースト生存者を追った作品。この映画の監督で間違いがないか、今メールで確認していますが、もし合っていたなら素晴らしい映像作家さんと知り合えたことを誇りに思います。ニューヨーク大学で映画学の修士号を取得された彼女は、映画史と女性が交差する点に関心があって、歴史に埋もれがちな女性映画人の再評価などに力を注いでおられるようです。
 
続きは次回に。

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